最終更新: 2026-07-12
💬 作業手順書を作れって言われたけど、そもそも何をどう書けばいいのか分からない、、、。
💬 人によって作業のやり方がバラバラで、品質も安定しないんだよなぁ、、、。
💬 前に作った手順書はあるけど、現場で誰も見てくれない、、、。
そんな『作業手順書の作り方』についての悩みにお答えします。
☑ 記事の内容
- そもそも 作業手順書とは何か・なぜ必要か (属人化・品質のばらつきを止める)
- 手順書に 必ず入れる 7 項目 (作業名・目的・工具・手順・急所・品質・安全)
- 作業手順書を 作る 5 ステップ (観察 → 分解 → 急所 → 記述 → 検証)
- 良い手順書の条件 と よくある失敗
- 写真・図での見せ方 / AI・動画で効率化したいときの進み先 と Q&A
わたしは自動車メーカーの工場で改善活動の指導を 10 年以上行ってきました。実績を金額に換算すると 1 億円以上の改善を行ってきた、いわゆる改善のプロです。今は中小企業診断士として、中小製造業の現場改善や標準化のお手伝いをしています。その中で、数え切れないほどの作業手順書を現場と一緒に作り、そして「作ったのに使われない手順書」を何度も作り直してきました。手順書づくりでつまずく所は、だいたい決まっています。入れる項目の型と、作る手順さえ押さえれば、はじめての方でも「現場で使える 1 枚」は作れます。本記事では、わたしがふだん現場で使っている作り方を、そのまま順番に整理していきます。
そんなわたしが解説していきます。
本記事は 作業手順書を、自分の手で 1 枚から作れるようになる ための基本を解説した内容です。作業手順書だけでなく、その先の標準作業 (トヨタ式の考え方) まで含めた全体像から知りたい方は、まずまとめ記事の ▶ 作業手順書・標準作業の作り方 完全ガイド をご覧ください。また、本記事は「人が観察して手で書く基本」を扱います。動画から自動で作りたい・AI で効率化したい という方は、先に ▶ 作業手順書をAIで作る をご覧ください。目的に合う方から読み進めるのがおすすめです。
作業手順書とは ── 「誰がやっても同じ結果になる」ための1枚
まず、言葉の意味からそろえておきます。作業手順書とは、ある作業のやり方を、順番・急所・注意まで含めて書き、誰がやっても同じ結果になるようにした 1 枚 (1 つの文書) のことです。
ポイントは「順番だけ」ではないところです。ただ手順を並べただけの紙は、実は現場ではあまり役に立ちません。うまくやるコツ (急所) や、外すと不良になる注意点まで書いて、はじめて「その通りにやれば、誰でも同じ品質でできる」文書になります。ここが、メモ書きと作業手順書の違いです。
作業手順書とは ── 順番・急所・注意を書いて「誰がやっても同じ」にする文書
作業手順書とは、作業を「主なステップの順番」「うまくやる急所」「品質・安全の注意」までそろえて書いた文書 のことです。
たとえば「部品を組み付ける」という作業でも、ベテランは無意識に「この向きで」「この力加減で」「ここを先に」といったコツを使っています。その頭の中にあるやり方を、紙の上に出して誰でも見られるようにしたものが作業手順書です。
作業標準書・作業要領書との呼び方の違い
現場によっては「作業標準書」「作業要領書」「作業指示書」など、いろいろな呼び方をします。呼び名は会社ごとに違いますが、ねらいはほぼ同じ で、「作業のやり方を決めて、誰でも同じようにできるようにする」ことです。
呼び方の違いに神経質になる必要はありません。本記事では、いちばん通りの良い「作業手順書」で統一して解説していきます。
手順書と標準作業 (トヨタ式) の関係
もう一つ、混同しやすい言葉に「標準作業」があります。ざっくり分けると、次のようになります。
- 作業手順書 = 「1 つの作業を、どうやるか」を書いたもの
- 標準作業 = 「工程全体で、ムダなく最も良いやり方をどう決めるか」という、もっと大きな考え方
まずは 1 つの作業を書ける、つまり作業手順書が作れることが土台になります。その先の標準作業 (トヨタ式の 3 票) については、別記事の ▶ 標準作業とは(トヨタ式3票) で詳しく解説しています。本記事を読み終えたら、次のステップとして読んでみてください。
なぜ作業手順書が必要か ── 属人化と品質のばらつきを止める
「手順書なんて作らなくても、現場は回っている」── そう感じる方もいるかもしれません。ですが、手順書がない現場では、じわじわと 4 つの問題がたまっていきます。
手順書がないと起きる 4 つの問題
手順書がない、あるいは形だけしかない現場では、次のような問題が起きます。
- 属人化 ── 「あの人しかできない」作業が増え、休むと現場が止まる
- 品質のばらつき ── 人によってやり方が違い、出来上がりの品質も安定しない
- 教育に時間がかかる ── 新しい人が入るたび、口頭・付きっきりで教えることになる
- ミス・事故が減らない ── 「なぜそうするか」が共有されず、同じ間違いが繰り返される
作業手順書は、この 4 つをまとめて防ぐための土台になります。
属人化を止める ── 頭の中の「暗黙のやり方」を1枚に出す
属人化とは、特定の人にしかできない状態 のことです。ベテランの頭の中にだけやり方があると、その人が休んだり辞めたりした瞬間に、現場が回らなくなります。
作業手順書は、その頭の中にある「暗黙のやり方」を紙に出して、誰でも見られるようにする道具です。書き出してみると、本人も気づいていなかったコツが見つかることも多いです。
品質のばらつきを止める ── 「良いやり方」を1つに決める
同じ作業でも、人によってやり方が違えば、出来上がりの品質もばらつきます。A さんが作ると良品、B さんが作ると不良、では現場は安定しません。
そこで、いちばん良いやり方を 1 つに決めて、全員がそこに合わせる ようにします。作業手順書は、その「決めたやり方」を全員で共有するための基準になります。「人に合わせる」のではなく「決めたやり方に人が合わせる」── これが品質を安定させる第一歩です。
手順書は改善の土台になる
意外に思われるかもしれませんが、作業手順書は改善の土台でもあります。
なぜなら、今のやり方が 1 つに決まっているからこそ、「そこからどう良くするか」を積み上げられる からです。やり方がバラバラのままでは、何を変えれば良くなったのか比べようがありません。決めたやり方 (標準) があって、はじめて改善が前に進みます。改善活動全体の考え方は、まとめ記事の ▶ 改善の進め方 完全ガイド にまとめています。
作業手順書に必ず入れる 7 つの項目 ── これが手順書の型
ここからが本題です。作業手順書には「必ず入れる項目」の型があります。この 7 項目をそろえれば、様式 (フォーマット) が会社ごとに違っても、中身のしっかりした手順書になります。
7 項目の早見
作業手順書に必ず入れたい項目は、次の 7 つです。
| # | 項目 | 何を書くか |
|---|---|---|
| ① | 作業名・工程名 | どの作業の手順かが一目で分かる名前 |
| ② | 目的 | なぜこの作業をやるか (1 行で) |
| ③ | 使用する工具・材料・設備 | 準備するモノ (段取りのヌケを防ぐ) |
| ④ | 作業手順 | 主なステップを番号順に |
| ⑤ | 急所 | うまく・確実に・楽にやるコツと その理由 |
| ⑥ | 品質・注意点 | ここを外すと不良、というポイント |
| ⑦ | 安全のポイント | ケガ・事故の危険と、それを避けるやり方 |
このうち、いちばん大事で、いちばん抜けやすいのが ⑤ の急所です。順に見ていきます。
① 作業名・工程名 ── 一目で分かる名前を付ける
作業名とは、その手順書がどの作業のものかを示す見出し です。「○○組立」「△△検査」のように、現場の人が見て一目で分かる名前を付けます。
ここが曖昧だと、必要なときに探せません。工程名・対象の製品や部品名も添えておくと、後で管理しやすくなります。
② 目的 (なぜこの作業をやるか)
目的とは、その作業を「なぜやるのか」を1行で書いたもの です。「この部品を固定するため」「異物混入を防ぐため」のように、ねらいを書きます。
目的を書くと何が良いかというと、作業者が「意味」を分かって動けるようになることです。意味が分かっていれば、少し状況が変わっても応用が利きますし、目的に反する手抜きも減ります。
③ 使用する工具・材料・設備
使用する工具・材料・設備とは、その作業に必要な「モノ」の一覧 です。使う工具、部品・材料、設備・治具を先に書き出しておきます。
これを最初に書くのは、段取りのヌケやモレを防ぐ ためです。作業を始めてから「あの工具がない」と探しに行くのは、大きなムダになります。準備するモノが手順書に書いてあれば、始める前にそろえられます。
④ 作業手順 (番号順の主なステップ)
作業手順とは、作業を主なステップに分けて、番号順に並べたもの です。ここが手順書の背骨になります。
書くときのコツは 2 つです。
- 主なステップに絞る ── こまかい動作を全部書くと読めなくなります。「大きな区切り」で並べます
- 1 ステップ 1 動作を目安に ── 「A して B する」と 2 つ入れず、1 つずつに分けると分かりやすくなります
⑤ 急所 ── コツと「その理由」を書く (手順書の心臓部)
急所とは、その手順を「うまく・確実に・楽に」やるためのコツと、その理由 のことです。作業手順書のいちばんの心臓部で、ここがあるかないかで手順書の価値が決まります。
たとえば「ボルトを対角に締める」という手順に対して、
- 急所 (コツ): 「対角に、2 回に分けて締める」
- 急所 (理由): 「片側から一気に締めると部品がゆがみ、密着不良になるから」
というように、コツだけでなく「なぜそうするか」の理由まで書く のがポイントです。理由があると、作業者が納得して守れますし、少し違う場面でも応用が利きます。ベテランの頭の中にある、この急所を引き出せるかどうかが、手順書づくりの一番の勝負どころです。
⑥ 品質・注意点
品質・注意点とは、「ここを外すと不良になる」というポイント です。合否の判断基準 (寸法・見た目・数量など) や、間違えやすい所を書きます。
急所が「うまくやるコツ」だとすれば、品質・注意点は「外してはいけない一線」です。両方あることで、良品を安定して作れるようになります。
⑦ 安全のポイント
安全のポイントとは、ケガや事故につながる危険と、それを避けるやり方 です。「回転部に手を入れない」「保護メガネを着ける」など、その作業に特有の危険を書きます。
安全は、どんな作業でも最優先です。手順書に安全のポイントを1行でも入れておくことで、事故を未然に防げます。作業に潜む危険の考え方は、厚生労働省の 職場のあんぜんサイト など公的な情報源も参考になります。
作業手順書を作る 5 ステップ ── 観察から検証まで
必ず入れる項目 (型) が分かったら、次は実際に作る手順です。作業手順書は、次の 5 ステップで作ります。
5 ステップの全体像
作業手順書を作る流れは、次の 5 つです。
- ステップ1 現状を観察する ── 実際の作業を見る・撮る
- ステップ2 作業を分解する ── 単位作業に区切る
- ステップ3 急所を抜き出す ── コツと理由を言語化する
- ステップ4 手順書に書く ── 7 項目に沿って記述する
- ステップ5 現場で検証する ── その通りにできるか試して直す
大事なのは、いきなり机の上で書き始めないことです。まず現場を見る ところから始めます。
ステップ1 現状を観察する ── 想像で書かない
第 1 ステップは、実際の作業を見ることから始める ことです。想像や記憶だけで書くと、現物とズレた手順書になります。
できれば作業を動画で撮っておくと、後で何度も見返せて便利です。ベテランの手元・目線・力の入れ方まで、細かく観察します。ここでの観察の質が、手順書の質をそのまま決めます。
ステップ2 作業を分解する ── 単位作業に区切る
第 2 ステップは、ひとまとまりの作業を「単位作業」に区切る ことです。単位作業とは、意味のある 1 つのまとまり (たとえば「部品を取る」「位置を合わせる」「締める」) のことです。
区切り方には目安があります。こまかく区切りすぎると読みにくく、大きく区切りすぎると急所が抜けます。「後で人に説明するとき、自然に区切る単位」を意識すると、ちょうど良くなります。
ステップ3 急所を抜き出す ── コツと理由を言語化する
第 3 ステップは、各ステップの 急所 (コツと理由) をベテランに聞いて言葉にする ことです。ここが 5 ステップの中で一番むずかしく、一番大事です。
ベテランは急所を無意識にやっているので、「なぜそうするの?」と聞いても「昔からこうだから」と返ってくることがよくあります。そんなときは「これを逆の向きでやったらどうなりますか?」「これを飛ばすと何が起きますか?」と、失敗の側から聞くとコツと理由が出てきやすくなります。
ステップ4 手順書に書く ── 7 項目に沿って記述する
第 4 ステップで、ようやく書きます。前段の 7 項目に沿って 記述します。
書くときは、次を意識します。
- 短い言葉で ── 長い文章より、体言止めや短文の方が読まれます
- 1 ステップ 1 動作 ── 1 行に動作を詰め込まない
- 急所と理由をセットで ── コツだけでなく、なぜそうするかも書く
ステップ5 現場で検証する ── 1回で完成させない
第 5 ステップは、書いた手順書を現場で試す ことです。作った本人ではなく、できれば別の人にその通りにやってもらいます。
すると、必ずどこかで詰まります。「ここの意味が分からない」「この順番だとやりにくい」といった声が出たら、それは手順書を直すヒントです。手順書は 1 回で完成させるものではありません。試して直す、を何度か回して、はじめて現場で使える 1 枚になります。
良い作業手順書の 5 つの条件 ── 使われる手順書の共通点
同じように作っても、「現場で使われる手順書」と「引き出しにしまわれる手順書」に分かれます。その差は、次の 5 条件を満たしているかどうかで、だいたい説明できます。
良い手順書に共通する 5 条件
現場で使われる作業手順書には、次の共通点があります。
- 現物に合っている ── 想像ではなく実際の作業と一致している
- 短くて具体的 ── ダラダラ書かず、読む気になる分量
- 急所と理由がある ── なぜそうするかが書いてある
- 写真・図で見える ── 文字だけになっていない
- 最新に保たれている ── やり方が変わったら直されている
① 現物に合っている
良い手順書の第一条件は、実際の作業と一致している ことです。当たり前のようですが、想像や古い記憶で書いた手順書は、現物とズレていることがよくあります。現場の人は「その通りにやると、うまくいかない」と感じた瞬間に、手順書を見なくなります。
② 短くて具体的
良い手順書は、短くて具体的 です。「ていねいに」「しっかり」といった曖昧な言葉ではなく、「2 回に分けて」「対角に」のように、具体的な言葉で書きます。分量も、読む気になる長さに抑えます。
③ 急所と理由がある
良い手順書には、急所 (コツ) と、その理由 が書いてあります。前述の通り、理由まであると、作業者が納得して守れますし、少し状況が違っても応用が利きます。急所のない手順書は、動作の羅列になってしまい、価値が半減します。
④ 写真・図で見える
良い手順書は、文字だけになっていません。言葉で説明しにくい所は、写真や図を使って見せます。見せ方の詳しいコツ (写真の撮り方・図の使い方・急所の伝え方など) は、別記事「わかりやすい手順書のコツ」で近日公開予定なので、そちらで深掘りします。この記事では「文字だけにしない」ことだけ押さえておいてください。
⑤ 最新に保たれている
最後の条件は、最新に保たれている ことです。作りっぱなしにせず、やり方や設備が変わったら手順書も直します。古いままの手順書は、現場から「どうせ合っていない」と信用されなくなり、形だけのものになってしまいます。作って終わりにしないことが、使われ続ける手順書のカギです。
写真・図・動画で分かりやすくする ── 文字だけにしない
作業手順書は、文字だけにしないと一気に伝わりやすくなります。ここでは基本の考え方だけ押さえ、詳しい見せ方は別記事に送ります。
写真は「急所」に付ける
写真は、すべての手順に付ける必要はありません。間違えやすい所・急所に絞って付けるのがコツです。全部に付けると、かえってどこが大事か分からなくなります。「ここだけは見てほしい」という所に写真を置きます。
図・イラストで「位置・向き」を示す
言葉で説明しにくいのが、「位置」や「向き」です。「部品の左上」「矢印の方向」などは、文章より図・イラストの方が一発で伝わります。手書きの簡単な図でも十分に役立ちます。
見せ方の詳しいコツは別記事へ
写真の撮り方、図の描き方、急所の伝え方、そして「初めて・変更・久しぶり」という 3 つの場面 (いわゆる 3H) を意識した書き方まで、わかりやすさを高める具体的なコツ は、別記事「わかりやすい手順書のコツ」で近日公開予定です。この記事 (基本) を押さえたら、次はそちらで見せ方を深掘りしてください。
動画やAIで効率化したいなら
ここまでは「人が観察して手で書く」基本を解説してきました。実際にやってみると分かりますが、1 枚 1 枚を手で作るのは、それなりに手間と時間がかかります。
「作業を撮った動画から、もっと早く手順書を作りたい」「AI を使って効率化したい」という場合は、AI ツールを使う道があります。動画を AI で解析して手順書のたたき台を作る方法は、別記事にまとめています。
- 詳しくは → ▶ 作業手順書をAIで作る (AI での自動化・効率化・テンプレの使い方)
- 動画解析の技術は → ▶ AI動画解析でマニュアル化
なお、作業動画から手順書を作る製品としては、TehonAI のようなツールも登場しています。ただし、AI に任せる場合でも、この記事で解説した「型・急所・検証」の考え方は土台になります。何が良い手順書かを分かっている人が使ってこそ、AI ツールも活きます。まずは基本を押さえてから、効率化に進むのがおすすめです。
作業手順書でよくある 5 つの失敗 ── これを避ければ使われる
最後に、わたしが現場で本当によく見てきた「使われない手順書」の失敗を 5 つ整理します。裏を返せば、これを避ければ使われる手順書になります。
失敗1 ── 詳しく書きすぎて誰も読まない
まじめな人ほど、細かく書きすぎてしまいます。ですが、情報を詰め込みすぎた手順書は、誰も読みません。主なステップに絞り、急所に力を入れる、というメリハリが大切です。
失敗2 ── 急所と理由がなく「動作の羅列」
「A する」「B する」と動作を並べただけで、コツと理由がない手順書です。これでは、書いてある通りにやっても、なぜか品質が安定しません。急所と理由 を入れることが、手順書の価値を決めます。
失敗3 ── 現物と合っていない
作った時のまま更新されず、現物とズレた手順書です。設備ややり方が変わったのに手順書が古いままだと、現場は一気に信用しなくなります。最新に保つ ことが必要です。
失敗4 ── 本人しか分からない言葉で書いている
作った人にしか通じない略語や、社内の一部でしか使わない言い回しで書いてしまう失敗です。手順書は、その作業を初めてやる人が読んでも分かる言葉 で書きます。読む相手を思い浮かべながら書くのがコツです。
失敗5 ── 作って終わりで、使っていない
いちばん多いのが、これです。手順書を作ること自体が目的になってしまい、現場での検証や教育に使っていない パターンです。手順書は、教育に使い、検証で直し、改善の土台にして、はじめて意味を持ちます。作ることではなく、使うことがゴールです。
よくある質問 Q&A
Q1: 作業手順書と作業標準書は何が違いますか?
呼び方の違いで、ねらいはほぼ同じ です。どちらも「作業のやり方を決めて、誰でも同じようにできるようにする」ためのものです。会社によって呼び方が違うだけなので、社内で使われている呼び名に合わせて構いません。手順書の先にある「標準作業」という考え方については、▶ 標準作業とは(トヨタ式3票) で解説しています。
Q2: 手順書は何をどこまで細かく書けばいいですか?
主なステップに絞り、急所に力を入れる のが基本です。すべての動作をこまかく書くと、長くなって読まれません。「大きな区切りで手順を並べ、間違えやすい所・急所だけ詳しく書く」というメリハリを意識してください。
Q3: 急所 (コツ) はどうやって引き出せばいいですか?
ベテランに「なぜそうするの?」と直接聞くのが基本ですが、うまく言葉にならないことも多いです。そんなときは、「逆にやったらどうなりますか?」「これを飛ばすと何が起きますか?」と、失敗の側から聞く とコツと理由が出てきやすくなります。
Q4: ベテランが「言葉にできない」と言うときはどうすれば?
その作業を動画で撮り、一緒に見返しながら「今、何を見て判断しましたか?」と一場面ずつ聞く のが有効です。動いている最中は説明できなくても、映像を止めて振り返ると「あ、ここは音で判断している」などと言語化できることがあります。観察と対話をセットにするのがコツです。
Q5: 手順書が現場で使われません。どうすれば使われますか?
使われない手順書には、たいてい「現物と合っていない」「急所がない」「更新されていない」のどれかがあります。まず 現場の人と一緒に、実際の作業に合わせて直す ことから始めてください。作る段階から現場を巻き込み、検証して直す、を回すと「自分たちの手順書」として使われるようになります。
Q6: 作るのに時間がかかります。効率化する方法はありますか?
手で 1 枚ずつ作るのは、たしかに時間がかかります。作業を撮った動画から AI で手順書のたたき台を作る といった効率化の方法があります。詳しくは ▶ 作業手順書をAIで作る と ▶ AI動画解析でマニュアル化 で解説しています。ただし、効率化に進む前に、まずこの記事の「型・急所・検証」を押さえておくと、AI が作ったたたき台の良し悪しも判断できるようになります。
まとめ
本記事で押さえてほしい 3 行サマリーは以下の通りです。
- 作業手順書は 「誰がやっても同じ結果」 にして、属人化と品質のばらつきを止める 1 枚
- 必ず入れる 7 項目 (作業名・目的・工具・手順・急所・品質・安全) と、作る 5 ステップ (観察 → 分解 → 急所 → 記述 → 検証) が型
- 急所と理由を書き、現場で検証して更新し続ける ことが、使われる手順書の条件
作業手順書の作り方について解説しました。大事なのは、いきなり机で書き始めるのではなく、現場を観察し、急所を引き出し、現場で検証して直す ことです。そして、作ることではなく「使われること」をゴールにすることです。最初の 1 枚は時間がかかりますが、型と手順さえ分かれば、2 枚目からはぐっと楽になります。コツコツと積み上げて、現場で使える手順書を作っていきましょう。
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- ▶ 標準作業とは(トヨタ式3票) (手順書の先にある発展)
- ▶ 作業手順書をAIで作る (AI で自動化・効率化したい方へ)
- ▶ AI動画解析でマニュアル化 (動画から手順書を作る技術)
- まとめ記事 ▶ 改善の進め方 完全ガイド (手順書は改善の土台)
- ▶ 作業手順書の作り方(管理の基本) (維持・管理の視点)
個別相談
現場に合った作業手順書づくりや標準化の進め方で迷ったら、▶ あすなろ経営研究所 で個別相談を承っています。中小企業診断士として、自動車工場での改善経験をもとに、現場で使える手順書づくりからお手伝いしています。
外部の公的情報源
- 中小企業ビジネス支援サイト J-Net21: https://j-net21.smrj.go.jp/
- 中小企業庁: https://www.chusho.meti.go.jp/
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト: https://anzeninfo.mhlw.go.jp/
- 中央職業能力開発協会 (JAVADA): https://www.javada.or.jp/
