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【保存版】自主保全活動の進め方 ── 初心者でも7ステップで始められる現場のリアル手順”

TPM

💬 自主保全活動ってどうやって進めるの、、、?

💬 TPM の本を読んだけど、結局現場で何から手をつければいいのかわからない、、、

💬 自主保全を始めたけど、いつの間にか清掃イベントになってしまった、、、。

そんな悩みにお答えします。

☑ 記事の内容

  1. 自主保全活動とは何か (TPM の中での位置と3つのメリット)
  2. 自主保全の7ステップマップと進め方
  3. 推進を加速する三種の神器
  4. 導入で失敗する3パターンと続ける仕組み

私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。

そんな私が解説していきます。

改善活動の全体像については ▶ 中小製造業の現場改善 完全ガイド にまとめています。自主保全が解消しようとしている ▶ 16大ロス の全体像もあわせてどうぞ。

自主保全活動とは何か ── TPM の中での位置と3つのメリット

自主保全活動とは、オペレーター一人ひとりが全員参加で、自分の使っている設備の管理を行い、設備を正しい姿で維持し、正しい運転を行うための活動です。

TPM (全員参加の生産保全) 活動の中で、最も基本的な活動と位置付けられています。つまり、「オペレーターは造る人、点検修理は保全部門」という従来の役割分担から脱却し、オペレーター自身が設備を見られる状態を目指すのです。

この活動は会社や部門にもメリットがあるのですが、オペレーターにも3つのメリットがあります。

  1. 設備の故障がなくなり、快適に仕事ができる
  2. 設備に愛着がわく
  3. 自己成長を感じることができる

つまり、自主保全活動とは「設備に強いオペレーターになる」ための活動なのです。

なぜ中小製造業に自主保全が必要か ── 3つの圧力

中小製造業の現場には、いま3つの圧力が同時にかかっています。

  1. 人手不足 ── 専門保全人員を増員する余裕がない
  2. 設備の老朽化 ── 大手のように設備更新の予算は組みにくい
  3. 原価高騰 ── 故障停止1分のコストが年々重くなっている

これらの圧力を、新設備の購入や保全人員の増員で解決しようとすると、ほぼ確実に行き詰まります。一方、オペレーターが自分の設備を見られるようになると、故障の初期サインを誰よりも早く拾えるようになり、設備寿命は確実に伸びます。

自主保全は、中小製造業が「人と組織」で勝負する道です。継続的な現場改善を支える人材育成については ▶ 製造業の人と組織マネジメント 完全ガイド もあわせてご覧ください。

自主保全の全体像 ── 7ステップマップ

自主保全活動は、3つの基本構成からなる7つのステップに分けて実施します。

自主保全活動の7ステップマップ ── 3つの基本構成で進める

  • 第1段階 劣化を防ぐ (ステップ1〜3) ── 設備の基本条件を徹底的に整備し、維持できる体制をつくる
  • 第2段階 劣化を測る (ステップ4〜5) ── 五感から理屈に裏付けされた日常点検へ。「設備に強いオペレーター」を育てる
  • 第3段階 標準化と自主管理 (ステップ6〜7) ── オペレーター自身が必要な保全技能の完成を目指す

つまり、自主保全は「掃除する」だけの活動ではないのです。劣化を防ぎ・測り・定着させるという、3段階の体制づくりです。

ステップ1〜3 ── 設備の基本条件を整える (劣化を防ぐ)

ステップ① 初期清掃 (清掃点検)

第1ステップのねらいは「不具合を不具合として見る目を養う」ことです。

設備の清掃点検をすることで、不具合の洗い出しを行います。設備周辺の不用品の撤去も行います。隅々まで清掃し、おかしな所がないか確認します。すぐに直せるものは直しましょう。

清掃点検で「不具合」とする項目は次の11個です。

  1. ゴミ、汚れ
  2. 曲がり、摩耗
  3. 振動、振れ
  4. 漏れ、飛散
  5. サビ、キズ
  6. 異音、発熱
  7. ゆるみ、ガタ
  8. 偏心、傾き
  9. 異臭、変色
  10. 欠け、抜け
  11. 異常な動き

点検の具体的な方法は「目で見る」「耳で聞く」「表面を手で触れる」「カバーを外してみる」「においを確認する」の5つです。

確認できた不具合には「エフ」をつけていきます。これを「エフ付け」と呼びます。エフには通し番号をつけ、リストで管理します。オペレーターで処置できる「白エフ」と、保全部門に依頼する「赤エフ」に分けて運用するのが一般的です。不具合を直したらエフを回収する「エフ取り」で完了します。

ステップ② 発生源・困難箇所対策

第2ステップのねらいは「不具合箇所を発見する能力と改善する能力を養う」ことです。

第1ステップで見つけた不具合の発生源と、点検しにくい困難箇所に対策を行います。

例えば、汚れの不具合については、清掃を繰り返すのではなく、汚れがどこから出ているのかを突き止めて発生源対策をします。切削油が飛散しているような場合は、飛散範囲を最小限化できる飛散防止カバーを取り付けます。

ベルトの点検でカバーを外す必要がある場合は、カバーに点検窓をつけるなどの工夫を行います。エフ付け・エフ取りで得たデータを参考に、維持管理が必要な箇所をリストアップし、点検時間の短縮も合わせて検討します。

ステップ③ 自主保全 仮基準の作成

第3ステップのねらいは「設備の基本条件を守ることの重要性を学ぶ」ことです。

設備の姿図を描き、機構と構造を学びます。アナログな方法ですが、手を動かして姿図を描くことで、部品の位置関係・オイルの流れ・駆動系の関係への理解が一気に深まります。

そして、設備のあるべき姿に向けた仮基準書を作成します。基準書は次の3種類が中心です。

  • 清掃基準書: 基準・部位・清掃方法・周期・時間・改善履歴
  • 給油基準書: 基準・油種・油量・確認方法・給油箇所
  • 点検基準書: 基準・部位・方法・使用工具・異常時の処置

基準書は、できるだけ全体図や部位図を用いて、点検箇所がひと目で分かるようにする工夫が必要です。

ステップ4〜5 ── 設備に強いオペレーターを育てる (劣化を測る)

ステップ④ 総点検

第4ステップのねらいは「総点検教育で得た知識・技能を現場で実践する」ことです。

どういった点検を、どのように、なぜするのか ── という教育を行い、確実な点検ができるようにします。理解度のばらつきが出るときは、理解度の高い人の協力を得て進めます。ワンポイントレッスンを作成するのが一般的です。

点検基準書に沿って実際に点検すると、不具合がさらに見つかることがあります。見つけた不具合は直しましょう。あわせて、ゲージに適正範囲の表示、基準油量のマーキング、ベルトや配管の方向表示など、見える化を進めます。バルブの開閉は「運転時 開」などの表示札で迷いをなくします。

ステップ⑤ 自主点検

第5ステップのねらいは「目で見る管理の実践と、自主保全と専門保全の区分を明確化する」ことです。

保全部門とミーティングを行い、「どこまでをオペレーターが見るか」「どこからを保全部門に任せるか」を区分けします。意外な部品の交換が必要なことが判明したら、保全部門に伝えて保全カレンダーに落とし込んでもらいます。

区分けにより、点検周期や異常時の処置方法の変更箇所を改定します。これにより、ステップ3で作った「仮基準書」が「本基準書」に昇格します。

ステップ6〜7 ── 標準化と自主管理で定着させる

ステップ⑥ 標準化

第6ステップのねらいは「管理のための標準類の重要性を確認する」ことです。

自主保全における標準化は、ただルールを揃えるだけではなく、標準化の維持管理までを含みます。

本基準書が現場で本当に実施されるようにするには、点検の時間を明確に確保することが必須です。例えば「稼働前10分」「昼休憩後5分」「終業後10分」のように、いつ・どれくらいやるかを決めます。時間が確保されていない基準書は、現場では確実に形骸化していくのです。

基準書を守りやすく改善する観点では、改善の4原則「ECRS の法則」 (排除・結合・組替・簡素化) や、より広い ▶ 改善の8原則 を使うと整理がはかどります。

ステップ⑦ 自主管理の徹底

第7ステップのねらいは「自主保全のしくみを自分たちで回す」ことです。

上位方針 (会社全体の方針) から、自分たちの職場で解決すべきテーマを取り組んでいきます。その改善を通じて、生産活動全体のレベルアップにつなげます。

具体的には、PDCA サイクルを回します。「確実に行えているか」「行いやすくするためにはどうすべきか」── この問いを止めない限り、自主保全は走り続けます。

推進を加速する三種の神器 ── 活動版・ミーティング・ワンポイントレッスン

自主保全活動には三種の神器と呼ばれるものがあります。これら3つを揃えるだけで、活動の継続性が一気に変わります。

① 活動版

活動版は、方針・目標・活動計画・進捗状況を関係者全員で共有するためのツールです。サークルごとに作成し、現場の壁に貼り出します。

活動版の効果は次の4つです。

  1. 全員が見ることができ、活動の推進力になる
  2. 管理者・他サークルから見たとき、サークルの活動状況が一目でわかる
  3. 管理者にとって、部下の指導に必要な進捗・レベル・問題点がわかる
  4. 優れた改善や資料が、他サークルでの水平展開の参考になる

② ミーティング

ミーティングは、活動のリーダーシップ・メンバーシップを発揮する場です。活動版を前にして行うことで、何をすべきかが明確になり、反省や勉強の場としても機能します。

全員が発言できる工夫が必要です。

  • 情報の共有化とメンバー間の知識レベル合わせを行う
  • 命令や強制はせず、合意で参加できる雰囲気をつくる
  • 全員がムラなく意見を出せるようリーダーが促す
  • 事前準備や内容の周知で効率を上げる
  • 短時間のミーティングを回数多く繰り返す

③ ワンポイントレッスン

ワンポイントレッスンは、5分程度で教えることを前提とした教育ツールです。まとまった時間を取れない現場でこそ威力を発揮します。1回が短いので、復習も容易です。

作成時のポイント:

  • 自分で考えて、自分で作る
  • 1テーマ1枚を守る
  • 体験者・発見者が作成するのが原則
  • 図・表・絵・写真でわかりやすく
  • 文字は大きく、読みやすさを意識する

導入で失敗する3パターンと続ける仕組み

自主保全を導入しても、続かない現場には共通の失敗パターンがあります。

  1. 形だけ ── 清掃イベントで終わり、ステップ2の発生源対策まで進めない
  2. 現場任せ ── 管理者・経営層が関与せず、現場のモチベーションだけに頼る
  3. 時間が確保されていない ── ステップ6の「時間確保」を飛ばし、勤務時間外の善意で運用してしまう

この3つを避けるには、次の3つの仕組みが効きます。

  • 朝礼にエフ報告を組み込む ── 毎日の5分で、活動の存在を見える化する
  • KPI を1つだけ持つ ── 「月間エフ取り件数」など、シンプルな数字で進捗を可視化
  • 小集団活動と接続する ── 既存の QC サークル等の枠組みに乗せて、独立イベント化させない

続ける仕組みが無いと、なぜなぜ分析と同じく形骸化していきます。なぜなぜ分析が回らなくなる構造については ▶ なぜなぜ分析ができない3つの理由と解決策 で解説しています。

まとめ

記事のまとめです。

  1. 自主保全活動は、TPM の最も基本的な活動で「設備に強いオペレーターになる」ための活動
  2. 7ステップは 劣化を防ぐ (1〜3) → 測る (4〜5) → 定着させる (6〜7) の3段階で進む
  3. ステップ1の「初期清掃」は11個の不具合項目を見る目を養うことから
  4. 三種の神器 (活動版・ミーティング・ワンポイントレッスン) を揃えると継続性が一気に上がる
  5. 失敗3パターンは「形だけ・現場任せ・時間不確保」、続ける仕組みは「朝礼・KPI・小集団」

自主保全活動の進め方について解説しました。

ステップ1からステップ7までは、確かに数年単位の時間が必要です。しかし、それに見合った効果は必ず出ます。そんなわたしも、ステップ3 の仮基準書作成までは半年以上かけました。コツコツと積み上げて活動を進めていきましょう。改善活動全体の地図は ▶ 中小製造業の現場改善 完全ガイド にまとめています。

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