
PL法って聞いたことあるけど、どんな内容?
そんな疑問にお答えします。
☑記事の内容
- PL法って何?
- 誰が対象の法律?
- 実際の業務で活かすには?
私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。
そんな私が解説します。
PL法って何?
PL法は製造物責任法のことで、「製造物の欠陥によって生じた損害に対して、製造物の不良や欠陥が原因だと証明できた場合、損害賠償責任の下、賠償を受けることができる」という内容の法律になります。
PLとは英語での製造物責任「Product Liability」の頭文字をとったものになります。
PL法の目的には以下のように定義されています。
この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
<https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=406AC0000000085>
民法では、「加害者の故意や過失について、被害者側が証明責任を行う」「過失を立証した場合に損害賠償が請求できる」と定められていますが。
PL法では、利用者保護の観点から「加害者の過失を立証しなくても損害賠償の請求ができる」といった特徴があります。
誰の何が対象の法律?
- PL法の対象となる物とは?
- PL法の責任は誰が負うのか?
PL法の対象となる物とは?
PL法の対象となるためには一定の要件を満たす必要があります。その要件は以下のものになります。
- 製造物である
- 製造物に欠陥がある
- 生命、身体または財産が侵害され、製造物以外のものについて損害が発生している
- 製造物の欠陥と損害発生の間に因果関係がある
製造物とは「製造又は加工された動産」ですので、サービスや不動産、加工されていない物、プログラムといった無体物は対象になりません。
この要件から、過失がない場合でも製品に問題が生じた場合は法的責任を負う可能性があることがわかります。
PL法の責任は誰が負うのか?
PL法の責任を負う必要がある者は以下の3種類があります。
- 製造業者および輸入業者
- 表示製造業者
- 実質的製造業者
製造業者および輸入業者
製造業者とは、製品そのものを製造したり加工したりする業者です。
輸入業者とは製品を輸入している業者です。
PL法では、製品そのものを製造、加工する業者だけに製造物責任を負わせるのではなく、輸入した業者にも製造物責任を問う特徴があります。
表示製造業者
表示製造業者とは、製造物を製造、加工した製造業者として氏名、商号、商標などを表示した者、そして利用者に対してその製造業者であると誤認させた者です。
OEMやプライベートブランド製品の製造を依頼し、商品に製造業者として会社名とうの表示を行うことでPL法の責任を負うことになるということです。
また、自社の名称を使用していなくてもその利用者が製造業者と誤認する恐れがある場合は責任を負う可能性があります。
実質的製造業者
実質的製造業者とは、製造物の製造、加工、輸入または販売形態において実質的な製造業者と認めることができる氏名、商号、商標その他を表示した者です。
共同研究などを行い、製品の製造にかかわっている場合などが実質的な製造者であるとされる場合がります。
実際の業務で活かすには?
PL法についての知識を前項までで解説しましたが、この知識を実務で活かす方法について解説します。
PL法について実務で行うべきことはその法律を守ることですので「PL法のコンプライアンス」について取り組むことになります。
- 従業員の教育と意識改革
- PL法への対応
従業員の教育と意識改革
PL法コンプライアンスへの取り組みには従業員の知識が必要になります。
PL法コンプライアンスの基本としては製品安全への取り組みです。
PL法における欠陥の定義や損害賠償責任を負担すべき当事者などの基礎知識を学ぶ必要があります。
また、実際に発生した事例を活用し学習することで、「対策を怠った場合の被害の拡大」や「問題の発生」について深く学ぶことができます。
関連企業や、同業他社の事例を用いることで効果的に当事者意識をもたせ、意識改革を推し進めていきます。
PL法への対応
PL法の対応としては以下の3つがあります。
- 製品の安全確保
- リコールによる損害の拡大防止
- 保険によるリスクマネジメント
製品の安全確保
対策として、製品の設計や製造時のおいて安全の確保をするととともに誤使用を避けるために、「わかりやすい」警告や表示を行います。
リコールによる損害の拡大防止
製品の安全性の欠陥による被害があり、その拡大を避けるためにはできるだけ早くリコールを行い速やかに製品を回収する必要があります。
保険によるリスクマネジメント
製品による事故や、リコールによる損害は企業にとって大きな金銭的なダメージを受けることになります。
そのような事態に備えて適切な保険でカバーし、リスクマネジメントを行います。
まとめ
記事のまとめです。
- PL法は利用者が製造業者責任の損害賠償を請求できる法律
- 利用者保護観点から、過失の立証が不要である
- 実際の製造業者以外でもその責任を負うことがある
- 業務に生かすためには従業員の教育と意識改革が必要
PL法について解説しました。
特に、現場や職場レベルでは意識せずに製造に関わっている人が多いのが現状です。
教育を通じて従業員の知識を向上させると大きな変化が生まれます。
現場から危険性を指摘してくれたりと、製品の欠陥の発生の可能性を大きく減らすことができます。
PL法を正しく理解して、現場や職場レベルの向上を図りPL法コンプライアンスの強化を図りましょう。