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【使ってはいけない】なぜなぜ分析のNGワード10選 ── 5タイプで覚える曖昧表現と言い換え方

💬 なぜなぜ分析をしても、いつも「正しい手順で作業する」みたいな当たり前の対策になっちゃう、、、

💬 「気をつけます」「徹底します」で終わらせている自覚はある、、、

💬 真因にたどり着いた気がしないんだよなぁ、、、。

そんな悩みにお答えします。

☑ 記事の内容

  1. なぜなぜ分析が形骸化する3つの兆候
  2. 使ってはいけないNGワード10選 (5タイプに分類)
  3. NGワードを言い換える具体例 Before/After
  4. なぜなぜ分析を機能させる5つの仕掛け

私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。

そんな私が解説していきます。

改善活動の全体像については ▶ 中小製造業の現場改善 完全ガイド にまとめています。なぜなぜ分析で真因を掘ったあとに使う ▶ 改善の8原則 もあわせてどうぞ。

なぜなぜ分析が形骸化する3つの兆候

なぜなぜ分析が形骸化している現場には、共通する3つの兆候があります。

  1. 対策がいつも「当たり前」になる ── 「正しい手順で作業する」「チェックを確実に行う」など、わざわざ書く必要のない対策で終わる
  2. 「気をつけます」「徹底します」で締まる ── 行動でなく心構えで完結している
  3. 再発する ── 同じ問題が3ヶ月以内にまた起きる

つまり、なぜなぜ分析の出口の質を見れば、形骸化しているかどうかが一発でわかるのです。

形骸化の原因は、ほぼ全て「なぜの表現が曖昧」だからです。「なぜ」の表現が曖昧だと、その答えも曖昧になり、対策まで曖昧になってしまうのです。例えば「作業者の意識が低い」という「なぜ」に対する答えは、ほぼ確実に「意識を高める教育を行う」という対策になります。これでは行動が変わりません。

なぜなぜ分析を始める前に押さえておくべきことは ▶ なぜなぜ分析を始める前の注意点 で整理しています。

使ってはいけないNGワード10選 ── 5タイプで覚える

なぜなぜ分析でやってしまいがちな曖昧表現を10個に絞り、5つのタイプに分類しました。

タイプNGワード罠の本質
① 精神論逃避意識が無い・気をつけます・徹底します行動でなく心構えに逃げる
② 環境責任丸投げ〇〇管理不足・〇〇不十分主語が無く誰の問題か曖昧
③ 曖昧形容詞悪い・チェックが甘い・認識が甘い何が・どうなのかを言わない
④ 能力主観わかる・イメージが無い知る・判断・理解を区別しない
⑤ 慣れ表現見慣れていない・習慣が無い個人特性に逃げて構造を見ない

タイプ① 精神論逃避 ──「意識が無い」「気をつけます」

最も多い NG パターンです。私が指導してきた現場の8割で、これが顔を出します。

「作業者の安全意識が無いから事故が起きた」── これでは、対策が「安全意識を高める教育を行う」になってしまいます。意識という見えないものを対策の対象にしてしまうのです。

意識・気持ち・心構えは、なぜなぜ分析の答えにしてはいけません。行動で書きましょう。「ヘルメットの顎ひもを締めていなかった」「歩行通路を歩かず近道していた」── 行動で書けば、対策が打てる文章になります。

タイプ② 環境責任丸投げ ──「管理不足」「不十分」

「管理」という言葉には「計画」「実行」「検証」「見直し」など複数の意味が含まれています。「管理不足」と書いた瞬間に、どこが抜けているのかが見えなくなるのです。

「不十分」も同じです。何がどこまで足りなかったのかを言わずに、責任を環境側に丸投げしてしまう表現です。

このタイプを避けるコツは、「管理」「不十分」と書きそうになったら、必ず「**どの工程が・どこまで**」を続けることです。

タイプ③ 曖昧形容詞 ──「悪い」「甘い」

「チェックが甘い」「認識が甘い」── これらは何も言っていないに等しい表現です。

例えば「チェックが甘い」は、「チェックしているときもしていないときもある」「やりやすいところしかチェックしていない」「チェック項目を覚えていない」など、いくつもの状態を曖昧に丸めています。

「悪い」も同じです。何が・どうズレているのかを必ず分解しましょう。間違った「手順」なのか、間違った「道具」なのか、間違った「道具の使い方」なのか ── 分解した瞬間に、対策が見えてきます。

タイプ④ 能力主観 ──「わかる」「イメージが無い」

「わかる」という日本語は曖昧です。同じ「わかる」でも、3つの意味があります。

  • 「分かる」=知る
  • 「判る」=判断できる
  • 「解る」=理解できる

この3つを区別せずに使うと、対策が打てなくなります。「作業者が分かっていなかった」では、知識が無いのか、判断ができないのか、理解できていないのかが見えません。

知識が無いなら教育、判断ができないなら判断基準の明示、理解できていないなら手順書の見直し ── どれを打つかが変わります。

タイプ⑤ 慣れ表現 ──「見慣れていない」「習慣が無い」

「見慣れていない」「習慣が無い」は、個人の特性に問題を丸投げする表現です。

本当に問うべきは、「なぜ見慣れる機会が設計されていないのか?」「なぜ習慣になる仕組みが無いのか?」── 構造側の話です。

「Aさんが見慣れていないから不良を見逃した」と書く代わりに、「Aさんはこの製品を月1回しか担当しないため、不良の典型パターンを把握する機会が無い」と書きます。すると対策は「ローテーション頻度の見直し」「典型不良パターンの掲示」「ベテランとペア作業」など、構造的な改善に切り替わります。

NGワードを言い換える具体例 ── Before/After 一覧

10選それぞれの言い換え方を整理します。

Before (NG)After (具体表現)
〇〇意識が無い〇〇であるかどうか判断できない / 〇〇に気がついていない
気をつけます〇〇のときに △△ をする (動作と条件を書く)
徹底します△△ のチェックリストを毎朝確認する
〇〇管理不足〇〇の 計画 が △△ について抜けている
〇〇不十分〇〇しなかった / 〇〇できなかった / 〇〇しづらかった
悪い間違った 手順 で作業していた (手順 / 道具 / 道具の使い方を分解)
わかる知る / 判断できる / 理解できる のどれかに置き換える
チェックが甘いチェックしているときとしていないときがある / やりやすいところしかチェックしていない
見慣れていないこの作業を月に1回しか担当していないため、〇〇のサインに気がつけない
習慣が無い毎日の朝礼に〇〇の確認が組み込まれていない

ポイントは、「動作」「対象」「条件」のどれか一つでも具体化することです。3つすべてが具体になれば、ほぼ間違いなく対策が打てる文章になります。

「なぜ」の抜け漏れを防ぐチェックリストは ▶ 「なぜ」の抜け漏れ 見落としチェックリスト で解説しています。

結果を出すための3原則 ── 曖昧排除・主語明示・時期具体化

NGワードを避けるだけでなく、なぜなぜ分析の表現には3つの原則があります。

原則① 曖昧表現を使わない

H2-2 で挙げた5タイプ10ワードを意識的に避けるだけで、なぜなぜ分析の質は大きく変わります。最初は紙の脇にNG10ワードを書き出しておき、書きそうになるたびに止める ── これだけで現場の感覚は変わります。

原則② 主語を入れて分析対象を明確にする

「〇〇を見ていなかった」ではなく、「監督者は 〇〇を見ていなかった」と書きます。「〇〇と判断した」ではなく、「作業者Bは 〇〇と判断した」と書きます。

特にヒューマンエラーの分析では、主語を入れることは必須です。主語が無いなぜなぜは、誰の問題かが曖昧なまま終わってしまうのです。主語を入れることは個人攻撃ではありません。**どの役割の人がどこで詰まったか** を明確にして、構造の弱点を見つけるためです。

原則③ 発生時期や時点、傾向を具体的に表現する

「間違った手順で作業していた」だけでは弱いです。「1年前から 間違った手順で作業していた」のように、時期を入れます。

発生時期・時点・傾向が具体的に書ける場合は、必ず書きましょう。なぜなぜ分析の何回目で止めるかの判断にも、この情報が効いてきます。何回で終わらせるかについては ▶ なぜなぜ分析の終着点とは で解説しています。

なぜなぜ分析を機能させる5つの仕掛け

NGワードを避け、3原則を守るだけでは、まだ不十分です。現場でなぜなぜ分析を回し続けるには、仕掛けが要ります。

  1. 動作主語をつけてから「なぜ?」を問う ── 「私たちは〜なぜ?」ではなく「監督者は〜なぜ?」と問う
  2. 1回ごとに「いつ・どこで・誰が」を必ず書く ── 時期・場所・対象が省かれた瞬間に曖昧化が始まる
  3. 5回で止めない・5回を超えても続けない ── 深さは内容で決める。5回はあくまで目安
  4. なぜなぜシートを PC で書く ── 鉛筆や付箋だと曖昧表現に流れやすい。タイピングは強制的に表現を要求する
  5. 終わったら次にどの改善手法を使うかを宣言する ── 真因が出た時点で「改善の8原則のどれを使うか」を決めて終わる

5つのうち、5番目は特に大事です。なぜなぜ分析で終わってしまうと、対策が打たれずに終わるのです。「真因はわかった」で会議を終えると、翌週には誰も覚えていません。「真因に対して8原則の **廃止** を試す」まで決めて初めて、なぜなぜ分析は完成します。

なぜなぜ分析がうまく回らない現場は、ほぼ間違いなくこの5つのどれかが抜けています。詳しくは ▶ なぜなぜ分析ができない3つの理由と解決策 で解説しています。

改善の8原則と組み合わせる5ステップ

なぜなぜ分析は「なぜ起きているか」を掘る道具です。一方、改善の8原則は「何を変えるか」を決める道具です。この2つは必ずセットで使います。

組み合わせる手順は次の5ステップです。

  1. 問題を1行で書く (主語・時期・対象を入れる)
  2. なぜなぜ分析で3〜5段掘る (NGワードを避けて)
  3. 出てきた真因を 1行で書き直す
  4. 真因に対して 8原則のどれが使えるか を問う (廃止 → 削減 → 容易化 → … の順)
  5. 選んだ原則をベースに具体策を1つに絞る

つまり、なぜなぜ分析の出口は「8原則のどれを使うか」の宣言です。8原則の中身は ▶ 改善の8原則の使い方 で詳しく解説しています。

まとめ

記事のまとめです。

  1. なぜなぜ分析が形骸化する原因は「なぜ」の表現が曖昧であること
  2. 使ってはいけないNGワードは 10選 × 5タイプ (精神論逃避・環境責任丸投げ・曖昧形容詞・能力主観・慣れ表現)
  3. 結果を出す3原則は 曖昧排除・主語明示・時期具体化
  4. 機能させる5つの仕掛けで、現場で回し続けられる
  5. なぜなぜ分析の出口は 改善の8原則のどれを使うかの宣言

【使ってはいけない】なぜなぜ分析のNGワードについて解説しました。

なぜなぜ分析の表現を具体的にすると、「個人攻撃になるのでは?」「上司批判につながるのでは?」と心配される方もいると思います。しかし、なぜなぜ分析の目的は 責任追求ではなく原因究明 です。表現にこだわるのは、犯人探しのためではなく、対策すべき構造を見つけるためなのです。

そんなわたしも、最初の数年は「徹底します」で締めていた一人でした。コツコツと表現を磨いて改善活動を進めていきましょう。改善活動全体の地図は ▶ 中小製造業の現場改善 完全ガイド にまとめています。

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