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【全部知ってますか?】ムダの種類は7つもあります

💬 「ムダをなくせ!」と言われても、そもそも何がムダなのか、、、

💬 ムダって7つあるって聞いたけど、全部言える自信がない、、、

💬 ムダの見つけ方と、見つけたあとの打ち手をセットで知りたい

そんな悩みにお答えします。

☑ 記事の内容

  1. そもそも「ムダ」とは何か ── 価値を生まない作業のこと
  2. トヨタ式 7つのムダ ── 一覧と「見つける質問 + 打ち手」
  3. [コラム] 8番目のムダ ── 「作りすぎる前提」そのもの
  4. ムダ取りの2つのアプローチと、明日からの3アクション

私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきた、いわゆる改善のプロです。

そんな私が解説していきます。

改善活動の全体像については ▶ 中小製造業の現場改善 完全ガイド にまとめています。ムダはその中でも ▶ 3ム (ムリ・ムダ・ムラ) の一角を占める、改善活動の中心テーマです。

そもそも「ムダ」とは何か ── 価値を生まない作業のこと

まず定義をそろえます。ムダとは、顧客にとって価値を生んでいないのに、コスト (時間・人・モノ・カネ) を消費している作業のことです。

ここで大事なのは「顧客にとって」という視点です。社内の都合で必要そうに見える作業でも、顧客の視点で見ると価値ゼロというものは山ほどあります。たとえば、社内向けの報告書、念のための在庫、ダブルチェックの検査、、、これらの多くは顧客が対価を払ってくれる作業ではありません。

ムダと価値を整理すると、組織と顧客の2軸で4つに分けられます。

  • 組織にも顧客にも価値 → 表に出ている価値 (守るべき作業)
  • 組織にはムダ・顧客には価値 → 隠れている価値 (磨くべき作業)
  • 組織にも顧客にもムダ → 表に出ているムダ (すぐ取る)
  • 組織には価値・顧客にはムダ → 隠れているムダ (基準で炙り出す)

本記事の「7つのムダ」は、ほぼすべてが下2つに該当します。まずは「顧客に価値を生んでいるか?」を判断軸に持つことから始めましょう。

トヨタ式 7つのムダ ── 一覧と覚え方

トヨタ生産方式の元祖である大野耐一氏が整理した「7つのムダ」は、製造業のみならずホワイトカラー業務にもそのまま使えます。並べると次の通りです。

  1. 加工のムダ
  2. 在庫のムダ
  3. 造りすぎのムダ
  4. 手待ちのムダ
  5. 動作のムダ
  6. 運搬のムダ
  7. 不良・手直しのムダ

頭文字をとると 「か・ざ・つ・て・う・は・ふ」。語呂はイマイチですが、現場では「7つあったよな、、、えーっと、、、」となりがちなので、自分なりの覚え方を持っておくと便利です。

以下、1つずつ 「定義 → 見つける質問 → 打ち手の例」 の順で見ていきます。

1. 加工のムダ ── 標準なき過剰加工

定義: 標準が決まっていないことによる、必要以上の仕上げ作業や不要な検査のこと。機械加工・溶接・仕上げ・検査などが対象です。

典型例

  • 梱包になんとなくテープを5箇所貼っている (標準で3箇所と決めれば2箇所はムダ)
  • 外観検査が完了したあと、もう一度全体を見直している (過剰な再検査)
  • 「念のため」のヤスリがけ・面取り・拭き取り、、、

見つける質問: 「この作業を半分の量にしたら、顧客は本当に困りますか?」

打ち手の例: 作業標準書を作る/検査基準を数値化する/「念のため」を口癖にしている人がいたら、その根拠を一度聞いてみる。

2. 在庫のムダ ── 「念のため」が積み上がる

定義: 材料・部品・仕掛品・完成品など、目的を説明できない在庫のこと。「なぜここに、いくつ、置いてあるのか?」に即答できなければ、それはムダの候補です。

在庫は単にスペースを食うだけでなく、他のムダを覆い隠す という性質があります。在庫があるから手待ちが見えない、在庫があるから不良の発見が遅れる、、、いわば「ムダの保護膜」です。

見つける質問: 「この在庫を半分にしたら、何が止まりますか?」

打ち手の例: 在庫の流れを1つひとつ追う/「ここに何個まで置く」の上限を線で書く (定置・定品・定量)/半分にしてみて、本当に困ったところだけ戻す。

3. 造りすぎのムダ ── 7つの中で最悪のムダ

定義: 必要量を超えて造ってしまうこと。シンプルに 「必要量 − 生産量」 がマイナスなら、その差が造りすぎのムダです。

造りすぎは「最悪のムダ」と呼ばれます。なぜなら、造りすぎは在庫のムダ・動作のムダ・運搬のムダを連鎖的に生み出し、さらに手待ちのムダを隠してしまうからです。「忙しそうに見える」のは、実は造りすぎが原因というケースが少なくありません。

見つける質問: 「今日この時点で、必要量を超えて作っていませんか?」

打ち手の例: 1時間ごとの生産計画と実績を「見える化」する/後工程引取り (プル型) に切り替える/作業者の評価指標を「生産量」から「計画達成率」に変える。

4. 手待ちのムダ ── 隠れやすい時間の漏れ

定義: 作業がなく、手が空いている状態のこと。前工程の遅れ・段取り替え・設備故障・指示待ち、、、原因はさまざまです。

手待ちは 作業者がスピードを落として隠してしまう ため、見つけにくいムダの代表格です。「ゆっくり丁寧に作業している」ように見えて、実は手待ちを薄めているだけ、というケースは現場でよく見かけます。

見つける質問: 「標準時間どおりに作業したら、最後の何分が余りますか?」

打ち手の例: 作業の標準時間を決める/観察用のストップウォッチで実態を測る/余った時間に何をするか (多能工化・5S・改善提案) をあらかじめ決めておく。

5. 動作のムダ ── 価値を生まない人の動き

定義: 探す・しゃがむ・振り向く・調べる・判断する、、、こうした「人の動き」のうち、顧客価値を生んでいないもの。

動作のムダは、現場を歩くだけで一番見つけやすいムダです。逆に言うと 「いつも見ている景色」になっているので、慣れた人ほど気づきにくい ムダでもあります。一度、新人や別部署の人に現場を歩いてもらうと、ハッとする気づきが出てきます。

見つける質問: 「この一連の動きのうち、製品の価値が上がっている動作は何秒分ですか?」

打ち手の例: よく使う道具を作業位置の半径50cm以内に置く/探す動作はゼロを目標にする (定位置管理)/作業を動画に撮って自分で見直す。

6. 運搬のムダ ── 仮置きと積み替えのサイン

定義: 必要以上にモノを運ぶこと。仮置き・積み替え・横持ちなど、付加価値を生まない「モノの移動」全般を指します。

運搬のムダのサインは 「仮置き台」と「積み替え」 です。仮置き台があるということは、前後工程が直接つながっていない証拠。積み替えがあるということは、容器や搬送方法が最適化されていない証拠です。

見つける質問: 「この製品は、完成までに何回持ち上げられていますか?」

打ち手の例: 工程レイアウトを直線化する/仮置き台を1つ撤去してみる/搬送容器を統一して積み替えをゼロにする。

7. 不良・手直しのムダ ── 表に出にくい工程内ロス

定義: 不良品を廃棄する・造り直す・手直しする作業のこと。検査でハネられた不良だけでなく、工程内でこっそり手直しされている不良 も含みます。

後者は伝票に残らないため、表面上の不良率には現れません。しかし、現場の作業時間を確実に食い、ベテランほど「これくらい直しておくか」と無言で吸収してしまう、厄介なムダです。

見つける質問: 「先月、伝票に乗らないかたちで手直ししたものは何件ありましたか?」

打ち手の例: 手直しを「報告して構わない文化」に変える/工程内不良を「見える化」する赤箱を置く/不良の原因は ▶ なぜなぜ分析 で掘る。

[コラム] 8番目のムダ ── 「作りすぎる前提」そのもの

近年、7つのムダに加えて 「8番目のムダ」 が語られることが増えてきました。論者によって中身は変わりますが、現場で一番効くのは次の定義です。

8番目のムダ = 「作りすぎる前提」「やり続ける前提」そのもの

つまり、「この作業はそもそも必要なのか?」という問いを立てないことが、最大のムダだという考え方です。

7つのムダは「やっている作業の中の」ムダを取る活動です。一方、8番目のムダは 「その作業を、そもそもやめてしまえないか?」 を問います。これは ▶ 改善の8原則 の最上位「廃止」と同じ発想です。

7つのムダ取りで月10時間を捻出するより、「この作業を廃止します」のひと声で月100時間が消える、ということは珍しくありません。7つを覚えたら、ぜひ8番目もセットで意識 してください。

ムダ取り 2つのアプローチ ── 明らかなムダから / 基準で炙り出す

7つ (+8番目) のムダを覚えても、「で、どこから手をつければ?」となるのが現場の本音です。ムダ取りには共通の2アプローチがあります。

アプローチ1: 明らかなムダから取りかかる

まずは表に出ているムダから着手します。仮置き台・探し物・「念のため」の検査、、、誰の目にも明らかなものから片付けるのがセオリーです。

なぜ先に明らかなムダを取るのか? ── それは 明らかなムダが残ったまま基準を作ると、ムダが基準に混入してしまう からです。「過剰な検査をしている状態」を基準化しても、ムダが固定化されるだけです。

アプローチ2: 基準を作ってムダを炙り出す

明らかなムダを片付けたら、次は基準 (標準) を作ります。標準時間・標準作業・標準在庫量、、、基準があってはじめて「基準からのズレ」としてのムダが見えるようになります。

この2アプローチで、表に出ているムダと隠れているムダの両方をカバーできます。設備に絡む大きなロスは ▶ 16大ロス の整理も合わせて見ると、ムダの全体像がさらにクリアになります。

なぜムダ取りは経営課題なのか

「ちょっとのムダぐらい、いいじゃないか」「ムダ取りしても顧客は気づかない」、、、そう思う気持ちは分かります。たしかに、ムダ取りを単発で見れば、顧客から見て何かが劇的に変わるわけではありません。

しかし、ムダ取りで生まれた経営資源 (ヒト・モノ・カネ) は、新商品開発・品質向上・人材育成 に振り向けることができます。この積み重ねが、企業の競争力をジワジワと押し上げていきます。

逆に言えば、グローバル化した現代において、ムダを放置することは 「競争力を毎月少しずつ削られている状態」 です。気づかないうちに、競合との差は開いていきます。

現場リーダーの立場では、ムダ取りの旗振りそのものが重要な役割です。リーダーが何をすべきかは ▶ 現場リーダーがすべきこと5選 にまとめてあります。

まとめ ── 明日からの3アクション

7つ (+1) のムダを振り返ります。

  1. 加工 / 在庫 / 造りすぎ / 手待ち / 動作 / 運搬 / 不良・手直し
  2. + 8番目: 「作りすぎる前提」そのもの (廃止できないか?)

記事を読んで終わりにしないために、明日からできる3アクションを置いておきます。

  1. 現場を15分歩いて、7つのうち何個のムダを見つけられるかカウントする
  2. そのうち1つを選び、「見つける質問」を上司または同僚に投げてみる
  3. 仮置き台・「念のため」の作業・探し物、いずれか1つを今週中に削る

「ムダの種類が言える」と「ムダを取れる」の間には、現場での観察と打ち手の実践が必要です。本記事の見つける質問を現場に持ち込み、少しずつでも実践していきましょう。問題点の洗い出しに迷ったら ▶ よくある問題点10選 も合わせてどうぞ。

ムダ取りは、企業の競争力と、現場で働くあなた自身の給与・賞与にも、確実につながっています。

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