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【部下が無能?上司が無能?】部下が育たない理由とは

💬 何度教えても部下が育たない、、、自分の指導が悪いのか?

💬 「部下が無能なのか、上司の自分が無能なのか」と悩んでしまう、、、

💬 ちゃんと一生懸命やっているのに、空回りしている気がする、、、。

そんな悩みにお答えします。

☑ 記事の内容

  1. 「部下が無能? 上司が無能?」という問いの置き換え
  2. 育たない部下に共通する3つの状態
  3. 育たない上司に共通する3つの一生懸命
  4. 部下を育てる上司の3つの関わり方
  5. 部下側がオンにすべき3つの自走スイッチ

私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。現場で多くの上司・部下の関係を見てきた中で、部下が育たない原因は「上司が無能」でも「部下が無能」でもなく、関わり方の型でほぼ説明できると確信しています。

そんな私が解説していきます。

人と組織のマネジメント全体については ▶ 製造業の人と組織マネジメント 完全ガイド にまとめています。

「部下が無能? 上司が無能?」の問いを置き換える

はじめに、この記事の出発点を整えます。

「部下が育たないのは、部下が無能だからか? それとも上司の自分が無能だからか?」── 部下育成で行き詰まった上司の多くが、この二択で悩みます。しかし、この問いは そもそも立て方を間違えています

なぜなら、この問いは「犯人探し」だからです。犯人を1人決めて終わりにしたい気持ちは分かりますが、犯人を決めても部下は育ちません。育つのは 「上司の関わり方の型」と「部下の自走スイッチ」が噛み合ったとき だけです。

つまり、本当に立てるべき問いは次の3つです。

  1. 育たない部下は、いまどんな状態に置かれているか?
  2. 育てている “つもり” の上司は、何を一生懸命やってしまっているか?
  3. その状態と空回りを、どう噛み合わせるか?

この3つを順に見ていけば、犯人探しに戻らずに、明日から動かせる打ち手が見つかります。本記事ではこの順で解説していきます。

育たない部下に共通する3つの状態

まず、育たない部下が置かれている状態を整理します。現場でよく観察される7つの兆候は、突き詰めると 3つの状態 に集約されます。

  1. 目的が見えていない (なぜこの仕事をやるかが分からない)
  2. 任されていない (やる前に上司が手を出してしまう)
  3. 評価されていない (受け入れ・承認のフィードバックが返ってこない)

状態① 目的が見えていない

1つ目の状態は、仕事の目的とゴールイメージが共有されていないことです。

「3日後に納品予定だからやっておいて」── これだけの指示で部下は動きます。しかし、この仕事が部門目標のどこに位置するか、誰の何に使われるか、完成形はどんな品質か、何1つ伝わっていません。

目的とゴールが見えない部下は、「任された仕事をこなすだけ」の作業者になります。「部門の目標達成の一部を担っている」と認識する部下とは、姿勢も判断軸もまるで違うのです。仕事の目的を 5W2H で整理して渡すだけで、部下の動きは驚くほど変わります。

目的の言語化テンプレートとしては ▶ 5W2Hとは何? 5W1Hとどう違うの? で解説しています。

状態② 任されていない

2つ目の状態は、仕事を任されず、上司が代わりにやってしまっていることです。

「自分がやったほうが早いし正確だ」── 多くの上司がこの誘惑に負けます。短期の効率では確かに上司がやったほうが早いのです。しかし、これを続けると部下は永遠に経験を積めず、結果として「いつまで経っても任せられない部下」が出来上がります。

逆のパターンもあります。任せたのに、1から10まで細かく教えてしまうケースです。リスクのある工程だけ教えて、判断の余白を残す ── この匙加減ができないと、部下は自発的に考えなくなります。

状態③ 評価されていない

3つ目の状態は、努力や成長を受け入れてもらえず、承認のフィードバックが返ってこないことです。

部下が稚拙な成果物を持ってきたとき、第一声で何を言うか ── ここで部下の伸びが決まります。「ここがダメだ」「これじゃ使えない」と最初に出てしまう上司の下では、部下はやがて報告自体を避けるようになります。

第一声は 「がんばったな。ありがとう。」 で受け入れる。指摘はその後に回す。たったこれだけの順序で、部下の次の一歩が変わります。成長を感じたときに素直に褒めることも、モチベーションを支える基礎体力なのです。

育たない上司に共通する3つの一生懸命

次に、育てている “つもり” の上司側が、何を一生懸命やってしまっているかを見ていきます。空回りには3つの典型パターンがあります。

パターン① 「俺の背中を見てついてこい」

1つ目は、何も教えていないことに一生懸命になっているパターンです。

「俺の背中を見て覚えろ」「やって見せれば分かるはずだ」── 自分が若手の頃にそうやって育ったから、同じ方法でやってしまう。気持ちは分かります。しかし、部下から見ると 「指示も解説もない、放置されている上司」 にしか見えません。

部下が望んでいるのは、丁寧で・わかりやすく・適度な裁量を持たせてくれる教え方です。背中を見せること自体は悪くありませんが、それを「教えた」とカウントしてはいけないのです。

パターン② 「叱って伸ばす」

2つ目は、部下を怒ることに一生懸命になっているパターンです。

ここで大事なのは、「叱る」と「怒る」の違いを理解することです。

  • 怒る: 粗暴な言葉遣い・感情的な態度・大声を出す。発信者の感情処理が目的
  • 叱る: 相手の欠点を指摘し、改善を促す。受け手の成長が目的

部下が求めているのは「適切な指摘」と「失敗に対する的確なアドバイス」です。感情をぶつけることではありません。「叱って伸ばす」と本人は思っていても、実態が「怒って萎縮させる」になっていれば、部下は萎縮してミスを隠すようになるだけです。

パターン③ 「俺が部下を育てる」

3つ目は、徹底した指導に一生懸命になっているパターンです。

このパターンに陥る上司は、責任感が強く、真面目で、部下思いの人が多いです。だからこそ厄介なのですが、部下は 「育てる」のではなく「育つ」 ものなのです。

徹底した指導は、部下からすると「やらされている仕事」に見えます。やらされ仕事には主体性が宿らないため、上司がいなくなった瞬間にすべて止まります。本当に育てたいなら、部下の自発的な成長意欲を芽生えさせて、それを 共同で育む アプローチに切り替える必要があるのです。

部下を育てる上司の3つの関わり方

育たない状態と空回りパターンを整理したら、噛み合わせる打ち手は自然に出てきます。育てる上司の関わり方は、3つの状態の反転です。

  1. 目的とゴールを共有する ── 仕事の背景・部門目標との関係・完成形を渡す。「3日後に納品」だけで終わらせない
  2. 任せて、適切に手を引く ── リスク箇所だけ事前に教え、判断の余白を残す。失敗のリスクを上司側で受け止める覚悟を持つ
  3. 第一声で受け入れる ── どんな成果物でも「がんばったな。ありがとう。」から入る。指摘はその後。成長を感じたら素直に褒める

この3つは、特別なスキルではありません。すべての上司が今日から始められる 関わりの型 です。型さえ守れば、部下は勝手に育ち始めます。

部下の側から見た「上司に信頼される行動」は ▶ 必要とされる部下の3つの特徴 にまとめています。上司と部下の両側から組織を見ると、噛み合わせどころが立体的に見えてきます。

部下側がオンにすべき3つの自走スイッチ

「部下が無能? 上司が無能?」の二項対立を超えるためには、部下側にも担う責任があります。上司がどれだけ関わりの型を整えても、部下側で 自走スイッチ がオフのままだと、組織は前に進みません。

自走スイッチは次の3つです。

  1. 目的を確認しに行く ── 上司が説明し忘れていても、「これは何のために、誰のための仕事ですか?」と1行聞きに行く
  2. 判断範囲を確認しに行く ── 「自分で決めていい範囲はどこまでですか?」と最初に握っておく。越境も放置も避ける
  3. 報連相を切らさない ── 上司が聞く前に状況を上げる。報連相は信頼の通信プロトコル

これらは部下側の小行動ですが、効果は絶大です。上司側の関わりが多少不器用でも、部下の自走スイッチがオンなら、組織は前に進めます。逆に、上司側がどれだけ整えても、部下のスイッチがオフだと前に進まないのです。

報連相の作法そのものは ▶ 報連相のコツと事例 で詳しく解説しています。

それでも育たない部下にどう向き合うか

「目的を共有した、任せた、受け入れた、それでも部下が育たない」── このケースは確かに存在します。多くは、部下側の 努力の意思 が不足しているケースです。

このときに上司がやるべきことは、3つに整理できます。

  1. 意思疎通を増やす ── 1on1 や雑談を増やし、本人が仕事をどう捉えているかを聞きに行く
  2. 仕事の意義を伝え直す ── 単純作業に見える仕事も、組織にとっての意味を翻訳して渡す
  3. モチベーション源を一緒に探す ── 給与・スキル・人間関係・社外評価 ── 動機は人それぞれ。本人と一緒に探す

一方、部下が 努力しているのに身についていない ケースは、ほぼ100% 上司側の責任です。教育体系・OJT の組み立て・教える順番のどこかが間違っています。このときは、部下の努力不足を疑う前に、自分の教え方を疑うのが先です。

「育つ環境」を作るのは誰の仕事か

ここまで読んで気づいた人もいるはずです。育つかどうかは、個人の問題ではなく “環境” の問題 なのです。

育つ環境とは、次のような環境です。

  • 仕事の目的とゴールが、誰にでも見える形で共有されている
  • 失敗が許容され、失敗から学ぶサイクルが回っている
  • 稚拙な成果物にも、第一声で受け入れの言葉が返ってくる
  • 判断範囲が明文化されていて、越境も放置も起きにくい

この環境は、上司1人で作れるものでもなく、部下1人で作れるものでもありません。上司の関わりの型 × 部下の自走スイッチ の掛け算でしか成立しないのです。

また、現在の若手は情報アクセスが高度化していて、社内独自の不合理なルールに敏感です。育成を阻害する古いルールがあれば、上司が先陣を切って改革する。これも環境作りの一部です。

まとめ

記事のまとめです。

  1. 「部下が無能? 上司が無能?」の二択は犯人探し。本当の問いは「関わり方の型と自走スイッチが噛み合っているか」
  2. 育たない部下の3つの状態 ── ① 目的が見えていない / ② 任されていない / ③ 評価されていない
  3. 育たない上司の3つの一生懸命 ── ① 背中を見せる / ② 怒る (叱るのつもりで) / ③ 徹底指導
  4. 育てる上司の3つの関わり方 ── ① 目的とゴールの共有 / ② 任せて手を引く / ③ 第一声で受け入れる
  5. 部下側の3つの自走スイッチ ── ① 目的を聞きに行く / ② 判断範囲を握る / ③ 報連相を切らさない
  6. 努力の意思がない部下には、意思疎通・意義の翻訳・モチベ源探し。努力しているのに身につかない部下には、教え方を疑うのが先
  7. 育つ環境は「上司の型 × 部下のスイッチ」の掛け算でしか成立しない

部下が育たない理由について解説しました。

部下育成に行き詰まったとき、「部下が無能か、自分が無能か」と悩むのは、優しい上司ほど陥りがちな思考のワナです。そんなわたしも、若手リーダーの頃は「自分がもっと厳しく指導すれば」と空回りしていた時期がありました。しかし、答えは厳しさの量ではなく 関わりの型 にあります。コツコツと型を整えて、明日からの育成に活かしていきましょう。

部下側がどう動けばいいかは ▶ 仕事ができない人がやっていない7つの行動 もあわせてどうぞ。上司側がすべき行動の全体像は ▶ 現場リーダーがすべきこと5選 にまとめています。人と組織の全体像は ▶ 製造業の人と組織マネジメント 完全ガイド をご覧ください。

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