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【16大ロス】人、設備効率、原単位を阻害するロスについて解説

TPM

💬 16大ロスって覚えにくいんだよなぁ、、、

💬 ロスの分類は知っているけど、どれから手をつければ良いのかわからない、、、

💬 改善活動をしているけど、結局なんのロスを潰しているのか説明できない、、、。

そんな悩みにお答えします。

☑ 記事の内容

  1. 16大ロスとは何か (3層で覚える地図)
  2. 設備効率を阻害する8大ロスの正体
  3. 人の5大ロス・原単位の3大ロスと OEE のつながり
  4. どのロスから手をつけるか (3つの優先順位ルール)

私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。

そんな私が解説していきます。

ロス改善はそのまま現場改善の土台になります。改善活動の全体像は ▶ 中小製造業の現場改善 完全ガイド にまとめています。ロスを実際に潰しに行く活動である ▶ 自主保全活動の進め方 とあわせて読むと、地図と現場道具がそろいます。

16大ロスとは何か ── 3層で覚える地図

16大ロスとは、生産活動の効率を阻害する 16 種類のロスの総称です。TPM (全員参加の生産保全) の教科書で必ず登場する、現場改善の共通言語です。

数を見ると16個もあって覚えるのが大変に見えます。しかし、3つの層に分けて整理すれば、覚える負担は一気に下がります。

  1. 設備効率を阻害する8大ロス (設備系)
  2. 人の効率化を阻害する5大ロス (人系)
  3. 原単位の効率化を阻害する3大ロス (原単位系)

8 + 5 + 3 = 16 です。「設備で8、人で5、原単位で3」── このリズムだけ覚えておけば、現場で議論する時に迷子になりません。

ロス分類のねらいは、丸暗記することではないのです。「いま自分たちが追っているロスは、設備系なのか、人系なのか、原単位系なのか」を1秒で識別できるようにすることです。識別できれば、打ち手の方向もすぐに決まります。例えば設備系なら自主保全、人系なら IE 手法、原単位系なら歩留まり改善や省エネ ── という具合に、引き出しを開ける順番が固まるのです。

TPM 活動の全体像については ▶ TPMについて理解を深めよう にまとめています。あわせて参考にしてください。

設備効率を阻害する8大ロス

設備効率を阻害する8大ロスは、「設備の負荷時間 (動いているべき時間) と価値稼働時間 (実際に良品を作った時間) の差」を生む 8 種類のロスです。

教科書によっては「7大ロス + SDロス = 8大ロス」と書かれます。本記事も合計8つで整理していきます。8大ロスは、ロスが発生するタイミングで 止まる系 / 動いているのにロス系 / 計画停止系 の3つに分けると覚えやすいです。

止まる系のロス (4つ) ── 故障・段取り・刃具・立上がり

止まる系のロスは「設備が止まっている時間そのものが損」になるロスです。

  1. 故障ロス ── 突発的・慢性的に発生している故障による停止と、その間に出る不良品のロス。突発故障より、慢性的に再発する故障に取り組む方が効果は大きいです。
  2. 段取り・調整ロス ── 製品の切り替え時に、完全な良品ができるまでにかかる時間ロス。一発段取り (シングル段取り) や前段取りでの時間短縮が主な打ち手です。
  3. 刃具交換ロス ── 刃具の定期交換・折損による交換時間ロスと、交換前後の不良品。刃具自体だけでなく、ホルダーの精度や設備本体の精度が原因のこともあります。
  4. 立上がりロス ── 始業時・休憩明け・長時間停止後、安定した良品が出るまでの時間ロス。多くは設備の熱膨張による変位が原因です。

動いているのにロスする3つ ── チョコ停・速度低下・不良手直し

設備は動いているのに、思ったほど良品が出ない ── これが「動いているのにロス」しているパターンです。止まる系より見落とされやすく、累計の損失は大きくなりがちです。

  1. チョコ停・空転ロス ── 「2〜3秒から5分未満」の一時停止のうち、部品交換を伴わずに簡単な処置 (ワーク撤去・リセット) で復帰するもの。処置が簡単なため見逃されがちで、累計すると大きく効率を阻害します。
  2. 速度低下ロス ── 設計時のスピードに対して実際のスピードが遅い、もしくは設計時スピード自体が現状技術水準より遅い状態。8大ロスの中で最も設備総合効率への寄与度が高く、十分検討する価値があります。
  3. 不良・手直しロス ── 不良品を修正して良品にするための時間ロスと、廃棄される製品の物のロス。突発的な不良より、慢性的な不良の方が放置されがちです。

計画停止のロス ── SDロス

  1. SD (シャットダウン) ロス ── 計画的な保全のために設備を止める時間と、その立上がりに発生する物のロス。シャットダウン中の清掃・点検・部品交換・オーバーホール・精度チェックは品質上・安全上・信頼性の維持から必要な作業です。ですから「ゼロにする」ではなく「1回あたりの時間短縮・周期延長・作業の見直し」で減らしていきます。

人の効率化を阻害する5大ロス

人の効率化を阻害するロスとは、作業者の動作・作業方法・レイアウトによる時間ロスと、本来作業以外の付帯時間ロスです。設備が動いていても人の動きにロスがあれば、生産性は伸びないのです。

  1. 管理ロス ── 材料待ち、指示待ち、修理待ちなどの「待ち」のロス。待たない工夫や、待ち時間に他の作業を入れることで改善します。
  2. 動作ロス ── 動作経済の原則に反する動きや、スキル差・レイアウトに起因する歩行ロス。「歩く・振り向く」など大きな動作から手をつけると、簡単で効果が大きいです。
  3. 編成ロス ── 多工程持ち・多台持ちの手待ちや、コンベヤ作業のラインバランスロス。時間の山と谷を平地にしていくイメージで改善します。
  4. 自動化置き換えロス ── 自動化で省人化できるのにやっていないために発生する人的ロス。部品供給・払い出し・運搬といった物流の自動化は費用対効果が高く、よく改善対象になります。
  5. 測定調整ロス ── 品質不良の発生・流出防止のための測定や調整にかかるロス。安定した品質を確保しないと、このロスは構造的に減りません。

人系のロスは、IE (インダストリアル・エンジニアリング) 手法と相性が良いです。動作分析・工程分析・時間分析の進め方は ▶ IE手法による現場改善のステップと進め方 で詳しく解説しています。

原単位の効率化を阻害する3大ロス

原単位とは、製品1つを作るために必要な原材料・エネルギー・所要時間などのことです。原単位を悪化させる3つのロスが「3大ロス」です。

  1. 歩留まり (ぶどまり) ロス ── 素材重量と製品重量の差、または素材投入総重量と製品総重量の差による物量ロス。鋳造工程の「バリ」「湯口」のように、製造上どうしても発生してしまう廃棄分を減らしていきます。
  2. エネルギーロス ── 電力・燃料・蒸気・エア・水 (排水処理を含む) のエネルギーロス。温度・圧力が本当に必要な量だけ使われているかの見直しや、可変式制御による省エネ化が打ち手です。
  3. 型・治工具ロス ── 製品を作るために必要な型・治工具の製作・補修にかかる金銭的ロス。摩耗・破損をいかに防止するかが主な改善ポイントです。

原単位ロスは「お金で測りやすい」のが特徴です。歩留まり 1% 改善が年間でいくらになるか、電力1割減で年間いくらかが直に計算できます。経営層への報告で響きやすいロスでもあるのです。継続して改善を進める組織体制づくりについては ▶ 製造業の人と組織マネジメント 完全ガイド も参考になります。

16大ロスから設備総合効率 (OEE) へ ── 数字で語れる現場になる

16大ロスをただ覚えるだけでは、現場改善には届きません。ロスを 数字で語れる現場 になってはじめて、改善は動き出すのです。

そのための物差しが 設備総合効率 (OEE) です。OEE は次の 3 つを掛け合わせた数値です。

  1. 時間稼働率 ── 負荷時間に対して、設備が実際に動いていた時間の割合 (故障・段取り・立上がり・SD で下がる)
  2. 性能稼働率 ── 動いていた時間に対して、設計スピードで動けていた割合 (チョコ停・速度低下で下がる)
  3. 良品率 ── 作った数量に対して、良品だった割合 (不良・手直しで下がる)

つまり「8大ロスは、OEE のどの要素を下げているか」で整理できるのです。チョコ停を1つ潰せば性能稼働率が、慢性不良を1つ潰せば良品率が、それぞれ目に見えて動きます。

人の5大ロスや原単位の3大ロスは、OEE には直接出てきません。しかし、ロスとして見える化することで、設備効率改善とは別軸の改善テーマを生み出せます。OEE で測れる範囲だけが改善ではない ── ここを誤解すると、改善活動が設備偏重になってしまうのです。

OEE で測ったロスを、現場のオペレーター自身が潰していく活動が ▶ 自主保全活動 です。16大ロスは「測るための言葉」、自主保全は「潰すための活動」── このセットで初めて、現場は変わるのです。

どのロスから手をつけるか ── 3つの優先順位ルール

16ロスを並べて「全部やります」では、必ず途中で息切れします。優先順位の付け方には、現場で使える3つのルールがあります。

ルール① 慢性ロス > 突発ロス

突発ロス (たまにしか起きない大きな停止) は目立つので、つい優先したくなります。しかし、年間で見ると累計時間は慢性ロス (毎日少しずつ) の方が圧倒的に大きいことが多いのです。

例えば、毎日3分のチョコ停は、年間 240 日稼働なら 12 時間に積み上がります。月1回1時間の故障より大きいのです。慢性ロスは「いつも通り」と認識されて見えなくなりがちなので、意識して数値で拾いに行く必要があります。

ルール② 動いている時間のロス > 止まっている時間のロス

止まっている時間のロス (故障・段取り) は、現場の体感としては大きく感じます。しかし、設備が動いている時間に発生している速度低下・チョコ停の方が、設備総合効率への影響が大きいケースが多々あります。

「動いているのにロスしている」ロスから手をつけることで、見落としていた利益を拾えるのです。止まる系の改善が一段落したら、必ず動いている時間のロスに視点を切り替えましょう。

ルール③ 自分の手で測れるロス

人の5大ロスや原単位の3大ロスのうち、自分たちで毎日測れるロスから始めるのが鉄則です。月次でしか測れないロスを追っても、改善効果が出るタイミングが遅すぎて、活動が形骸化します。

打ち手の引き出しは ▶ 改善の8原則 の ECRS (排除・統合・順序変更・簡素化) が使いやすいです。「やめる→まとめる→順序を変える→簡単にする」の順で検討すると、迷子になりません。

まとめ

記事のまとめです。

  1. 16大ロスは 8 + 5 + 3 = 「設備8 + 人5 + 原単位3」の3層で覚える
  2. 設備の8大ロスは「止まる系4 + 動いているのにロス系3 + 計画停止 SD」
  3. 人の5大ロスは管理・動作・編成・自動化置換え・測定調整
  4. 原単位の3大ロスは歩留まり・エネルギー・型治工具
  5. 16ロスは OEE (設備総合効率) で数字化し、自主保全で現場の手で潰す
  6. 着手の優先順位は「慢性 > 突発 / 動いている時間のロス / 自分で測れるロス」

16大ロスについて解説しました。

ロスは種類が多くて丸暗記したくなりますが、暗記より「3層の地図」を持って現場を歩く方が、はるかに改善は進みます。そんなわたしも、最初は16ロスを覚えるのに苦労しましたが、現場でロスを見つけてから分類する逆引き型に切り替えてからは、自然と頭に入りました。コツコツと積み上げて活動を進めていきましょう。

16ロスの「言葉」を覚えたら、次は現場で具体的な問題を拾う段です。問題点の見つけ方は ▶ よくある問題点10選 にまとめています。

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