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IT導入補助金2026 採択される事業計画の書き方

最終更新: 2026-07-11

💬 事業計画書って書いたことがなくて、何から手を付ければいいのか分からない、、、。

💬 補助金の事業計画書って、定性的なことだけ書けばいいの? 数字も必要なの?

💬 加点項目って 15 項目もあるけど、全部取りに行くべき? どれが取りやすい?

そんな悩みにお答えします。

目次

☑ 記事の内容

  1. 採択される事業計画書 3 原則 (課題明確化 / 数値根拠 / 改善連動)
  2. 公募要領の 加点 15 項目 と事業計画書の対応マップ
  3. 数値根拠 の作り方 (生産性向上目標 / 賃上げ計画 / 投資回収期間)
  4. 製造業向け 事業計画書 構成テンプレ (10 章)
  5. 採択される人がやらない 3 つの失敗パターン

わたしは自動車メーカーの工場で改善活動の指導を 10 年以上行ってきました。実績を金額に換算すると 1 億円以上の改善を行ってきた、いわゆる改善のプロです。中小企業診断士として補助金の事業計画書を 書く側 / 添削する側 の両方を経験してきましたが、採択される事業計画書には 共通する組立て方 があります。本記事は、IT導入補助金2026 の公募要領 3-3 (交付申請の審査) と加点 15 項目 (p.24-26) を逐条で読み込み、私自身が中小企業診断士として書いた事業計画書 (六郷 BASE 移転計画) の組立て方も交えながら、採択される側の書き方を実践的に解説していきます。

そんなわたしが解説していきます。

本記事は IT導入補助金2026 における事業計画書の書き方だけを徹底深掘り した内容です。制度の全体像 (補助率・補助上限・申請の流れ・必要書類) から知りたい方は、まずまとめ記事の ▶ IT導入補助金2026 完全ガイド をご覧ください。また、補助金全般に共通する事業計画の 3 原則 (課題明確化 / 数値根拠 / 改善連動) は、まとめ記事 ▶ 補助金活用 完全ガイド で先に整理しています。本記事はこの 3 原則を、IT導入補助金2026 の公募要領に特化して深掘りした位置付けです。

採択される事業計画書の 3 原則 ── 補助金活用ガイドを IT導入補助金2026 に当てはめる

補助金が採択される事業計画書には 3 つの原則 があります。これはまとめ記事 ▶ 補助金活用 完全ガイド でも示した汎用的な原則で、IT導入補助金2026 の公募要領 3-3 (交付申請の審査) にもそのまま対応します。

3 原則 ↔ 公募要領 3-3 ↔ 事業計画書のどこに書くか 3 原則 公募要領 3-3 の審査項目 書く場所 (10 章構成) 原則 1 課題の明確化 事業面 経営課題を理解し 問題意識を持っているか 章 2 現状の経営課題 原則 2 数値根拠 計画目標値 労働生産性の向上率 章 6 計画目標値 + 章 8 投資回収期間 原則 3 改善連動 政策面 継続的な生産性向上と 事業の成長への取組み 章 10 継続的な改善体制 出典: 公募要領 (通常枠) 3-3 交付申請の審査 (2026 年版)

公募要領 3-3 が定める審査項目 ── 事業面 / 計画目標値 / 政策面

公募要領 p.24「(2) 加点項目及び減点項目の審査」では、審査項目を 3 つに分けています。

審査項目審査事項 (要約)
事業面自社の経営課題を理解し、具体的な問題意識を持っているか。改善すべきプロセスが導入する ITツールの機能と一致しているか。内部プロセスの高度化・データ連携・継続的な生産性向上に取り組んでいるか
計画目標値労働生産性の向上率
政策面生産性向上・働き方改革・国の関連事業への取組み / セキュリティサービスの選定 / 賃金引上げ

この 3 視点が、まさに 補助金活用ガイドの 3 原則 と対応します。

原則 1 ── 課題の明確化

公募要領「事業面」の 1 つ目「自社の経営課題を理解し、具体的な問題意識を持っているか」が 原則 1 = 課題の明確化 に対応します。

「効率化したい」「DX を進めたい」だけでは課題を理解したことになりません。「何の作業が、なぜ、どのくらい非効率なのか」を 定量データ付き で書く必要があります。

例:「現在、製造ライン A の段取り替えに 1 回 90 分かかっており、月 20 回発生 = 月 30 時間の非生産時間が発生している」── ここまで書いて初めて「課題を理解している」と評価されます。

原則 2 ── 数値根拠

公募要領「計画目標値の審査 = 労働生産性の向上率」が 原則 2 = 数値根拠 に対応します。

「数字を書く」だけでなく、「その数字がどのロジックで出てきたか」まで書きます。これが後半で詳述する数値根拠の作り方です。

原則 3 ── 改善連動

公募要領「事業面」の 3 つ目「内部プロセスの高度化・データ連携・継続的な生産性向上と事業の成長に取り組んでいるか」が 原則 3 = 改善連動 に対応します。

ITツールを買って終わりではなく、社内の改善活動と連動して継続的に成果を出す体制 を示すことが求められます。

3 原則 ↔ 公募要領 ↔ 書く場所の対応表

3 原則公募要領 3-3 の表現事業計画書のどこに書くか
課題の明確化自社の経営課題を理解し、具体的な問題意識を持っているか章 2「現状の経営課題」
数値根拠計画目標値の審査 = 労働生産性の向上率章 6「計画目標値」+ 章 8「投資回収期間」
改善連動継続的な生産性向上と事業の成長に取り組んでいるか章 10「継続的な改善体制」

公募要領の加点 15 項目 ── 事業計画書との対応マップ

公募要領 p.24-26「① 加点項目について」には 15 項目 が列挙されています。事業計画書本文と添付書類で どの加点を取りに行くか を決めることが、採択率の差を生みます。

加点 15 項目 ── まず取りに行く 5 つ (取りやすさ × 効果) ✅ 優先 5 項目 ── 無料・申請前に完了できる (製造業がまず取る) 加点 1: クラウド製品選定 (公式検索でチェックを入れて選ぶだけ) 加点 3: インボイス制度対応 (会計・受発注系なら同時取得) 加点 9: IT 戦略ナビ with 実施 (中小機構サイトで自己診断 → PDF 添付) 加点 12: 成長加速マッチングサービス登録 加点 13: 省力化ナビ活用 (解決策 PDF を社内検討記録に) ⚠ B: 賃金・経営施策系 (要件重い) 5〜8 賃上げ / 10 健康経営 / 11 えるぼし・くるみん 14・15 最低賃金 → 未達リスクを見て判断 ◯ A: ITツール・サービス選定系 1 クラウド / 2 お助け隊 / 3 インボイス対応 ツール選定段階で決まる (B⑤ と連動) 🚨 加点未達の代償 (公募要領【補足 4】) 加点を取って採択 → 未達なら、効果報告から 18 ヶ月間 中小企業庁所管の他補助金で大幅減点 出典: 公募要領 (通常枠) p.24-26 加点項目 / p.27【補足 4】(2026 年版)

加点 15 項目の一覧

#加点項目 (要約)
1導入する ITツールとして クラウド製品 を選定
2導入する ITツールとして 「サイバーセキュリティお助け隊サービス」 を選定
3導入する ITツールとして インボイス制度対応製品 を選定
4交付申請時までに デジタル化セカンドオピニオン の取組みを実施
5・6・7・8賃金引上げ計画 の策定・実行 (申請額 150 万円 / 過去採択有無の 4 区分)
9中小機構「IT 戦略ナビ with」を交付申請前に実施
10令和 7 年度に 「健康経営優良法人 2026」 に認定
11女性活躍推進法・次世代育成支援対策推進法に基づく認定 (えるぼし / くるみん 等)
12中小企業庁「成長加速マッチングサービス」会員登録 + 挑戦課題登録
13中小機構「省力化ナビ」活用 +「解決策」PDF ダウンロード
14令和 6 年 10 月〜令和 7 年 9 月で「最低賃金近傍の従業員雇用」が全従業員の 30% 以上の月が 3 ヶ月以上
15交付申請の直近月の事業場内最低賃金を 令和 7 年 7 月の事業場内最低賃金 +63 円以上 に引上げ

加点を 3 グループに分類

15 項目を整理すると、以下の 3 グループに分かれます。

  • A: ITツール・サービス選定系 (1, 2, 3) ── ツール選定段階で決まる
  • B: 賃金・経営施策系 (5, 6, 7, 8, 10, 11, 14, 15) ── 経営方針として決まる
  • C: 公的サービス活用系 (4, 9, 12, 13) ── 申請前に 無料で実施できる準備項目

中小製造業がまず取りに行くべき 5 つ

15 項目すべてを取るのは現実的ではないので、取りやすさ × 効果 で 5 つに絞ります。

  1. 加点 1: クラウド製品選定 ── 公式検索の「クラウド対応ツールで絞り込む」にチェックを入れて選ぶだけ
  2. 加点 3: インボイス制度対応 ── 会計・受発注系を入れる場合は同時に取りに行ける
  3. 加点 9: IT 戦略ナビ with 実施 ── 中小機構サイトで 30〜60 分の自己診断 + IT 戦略マップ PDF 添付
  4. 加点 12: 成長加速マッチングサービス会員登録 ── 中小企業庁の無料サービス。挑戦課題を 1 つ登録
  5. 加点 13: 省力化ナビ活用 ── 中小機構サイトで「解決策」PDF をダウンロードして社内検討記録に残す

3〜5 の公的サービス活用系は 無料・申請前に完了できる ので、ここをスキップする手はありません。

賃上げ加点 (5〜8) は申請額 150 万円が境界

賃上げ系加点は 申請額 150 万円・過去の IT導入補助金 2022〜2025 採択有無 の 2 軸で要求水準が変わります。

申請額過去採択 (2022〜2025)該当加点給与年平均成長率
150 万円未満なし5)3% 以上
150 万円未満あり6)3.5% 以上
150 万円以上なし7)3% 以上
150 万円以上あり8)3.5% 以上

詳細な数値根拠の作り方は後段の「数値根拠の作り方 2 ── 賃上げ計画」で解説します。

加点項目を事業計画書本文にどう書くか

加点項目は 「○○を選定」「○○を実施」と書くだけでは不十分 です。

  • ❌ NG例:「クラウド製品を選定します」
  • ✅ OK例:「拠点が東京・神奈川の 2 拠点ある自社の業務特性上、両拠点でリアルタイムにデータ参照する必要があるため、オンプレミス型ではなくクラウド対応の○○を選定。これにより、月○○時間の拠点間データ転送時間を削減できる」

選定した理由 + 実施結果 + 自社課題との接続 を 1 段落で書きます。

⚠ 加点未達の重い代償

公募要領 p.27【補足 4】には、加点を受けて採択されたのに加点要件を達成できなかった場合は、効果報告から 18 ヶ月間 中小企業庁所管の他補助金 (ものづくり / 持続化 / 事業再構築 後継 / 中小企業省力化投資 等) で 大幅減点 されると明記されています。

「とりあえず取りに行く」のではなく「達成可能な範囲で取りに行く」が鉄則です。

数値根拠の作り方 1 ── 生産性向上目標

公募要領 3-3「計画目標値の審査 = 労働生産性の向上率」が事業計画書の中核です。

労働生産性の定義

労働生産性は次の式で定義されます (中小企業庁の標準定義)。

労働生産性 = 付加価値額 ÷ 従業員数

付加価値額の計算式

付加価値額は次の簡易式で計算します (公的に通用する 3 項目)。

付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費

直近期の決算書から 3 項目を拾って計算します。

3 年計画の数値目安

まとめ記事 ▶ 補助金活用 完全ガイド で示した 「年率 3% 以上」 を IT導入補助金2026 でも採用します。3 年で約 9% 以上 (1.03³ ≒ 1.0927) が目安です。

数値の裏付けをどう書くか

「3 年で 9% 向上します」とだけ書いても審査委員は納得しません。ロジックチェーン で書きます。

  1. ITツール導入により 作業時間が月○○時間削減
  2. 削減時間を 人件費換算 すると年○○万円
  3. これが付加価値額の ○○% 増 に相当
  4. 結果として労働生産性が 3 年で○○% 向上

この 4 段階のうちどれか 1 つが抜けると「計画目標値の審査」でゼロ評価です。

失敗例 ──「向上します」とだけ書く

「業務効率が大幅に向上します」「生産性が向上します」と書いて数字なし ── これが最も多い失敗パターンです。改善すべき業務を 1 つに絞り、その業務の作業時間 / コストを Before-After で並べる だけで、ぐっと審査に通る計画書になります。

数値根拠の作り方 2 ── 賃上げ計画

加点 5〜8 はすべて賃上げ計画が必要です。申請額 150 万円・前回採択有無 で要求水準が変わります (前段の表を参照)。

全区分共通の必須 3 要件

加点 5〜8 のいずれも、次の 3 要件を 全部 満たす必要があります。

  1. 事業場内最低賃金 ≧ 地域別最低賃金 +30 円 (7・8 は +50 円)
  2. 1 人当たり給与支給総額 (全従業員) の年平均成長率を所定% 以上 (3%・3.5%)
  3. 賃金引上げ計画を従業員に 表明 していること

「+50 円水準」にすれば更なる加点

公募要領 p.25 の※印には、事業計画期間中に事業場内最低賃金を 地域別最低賃金 +50 円以上 にした場合、更なる加点を行うと明記されています。

「+30 円で加点を取る」「+50 円で更に加点を取る」の 2 段階があるので、自社の人件費余力と相談して判断します。

賃上げ計画を事業計画書本文に書く 3 項目

賃上げ計画は次の 3 項目で書きます。

  • 現状の事業場内最低賃金 (地域別最低賃金との差を明示)
  • 計画期間の目標値 (年度別の引上げ計画 / +30 円水準 or +50 円水準)
  • 表明方法 (全従業員向け説明会 / 社内掲示 / 個別面談 のいずれか + 日付)

⚠ 未達リスク

加点を取って採択された後に賃上げ計画が未達だと、効果報告 18 ヶ月後まで他補助金で大幅減点されます (前段の【補足 4】と同じリスク)。達成可能な範囲で計画を組む ことが重要です。

数値根拠の作り方 3 ── 投資回収期間と費用対効果

事業計画書では「いくら投資して何年で回収するか」を 読み手 (審査委員) が一目で理解できる形 にします。

投資総額の整理

補助対象経費の 3 大分類で整理します (B⑤ の補助対象経費と整合)。

分類内容
大分類 Iソフトウェア (クラウド利用料・最大 2 年分)
大分類 IIオプション (機能拡張 / データ連携 / セキュリティ・最大 1 年分)
大分類 III役務 (導入コンサル / マニュアル作成研修 / 保守サポート・上限 200 万円)

インボイス枠の場合は ハードウェア (PC・タブレット・POSレジ等) も加算します。

実質負担額の算出

実質負担額 = 投資総額 × (1 − 補助率)

通常枠の補助率は 1/2 (中小企業) / 2/3 (小規模事業者 ※最低賃金近傍要件あり)。補助上限は枠と類型で変わるので、上限を超えた分は補助対象外として実質負担に上乗せします。

投資回収期間の計算

投資回収期間 (ヶ月) = 実質負担額 ÷ 年間効果額 × 12

年間効果額は次の 3 要素を合算します。

  • 作業時間削減効果 (削減時間 × 時間単価)
  • 売上増効果 (受注効率化・販路拡大による上乗せ売上)
  • 不良削減効果 (品質改善による廃棄ロス削減)

製造業の妥当ライン ── 24 ヶ月以内

製造業の IT 投資の妥当ラインは 24 ヶ月以内 (= 2 年以内) で回収 です。これはクラウド利用料の補助対象期間 (最大 2 年分) とも整合しています。

回収期間が長すぎる時の打ち手

24 ヶ月を超える場合は、計画を再構成します。

  • 機能を絞る: 全機能契約ではなく、まず核となる機能だけで導入
  • ライセンス数を絞る: 全社一斉ではなく、効果の出やすい部署から段階導入
  • 役務を見直す: 大分類 III の役務 (導入コンサル) を社内対応に切替えて費用圧縮

採択される事業計画書 構成テンプレ ── 中小製造業向け 10 章

中小製造業向けの事業計画書 10 章構成テンプレを提示します。小売・サービス業向けは需要があれば派生記事で扱う予定です。

採択される事業計画書 10 章構成テンプレ (製造業) 1 事業概要 事業内容・従業員数・主要製品 (1 段落) 2 現状の経営課題 原則 1 定量データ付きで課題を 1 つに絞る 3 課題の構造分析 「なぜ起きるか」を 2 段階で掘り下げる 4 ITツール選定 B⑤ スコアシート 25 点以上 + 選定理由 5 改善後の業務フロー Before-After (作業時間 / 担当者 / 帳票) 6 計画目標値 原則 2 労働生産性 3 年 9% + 計算ロジック 7 賃上げ計画 加点区分 5〜8 + 表明方法まで記載 8 投資回収 原則 2 投資総額・実質負担額・24 ヶ月以内目安 9 加点項目との対応 取りに行く 5 項目 + 各項目の根拠 10 継続的な改善体制 原則 3 効果報告までの体制 + 5S・改善活動接続 A4 で 3〜5 枚 / 章ごとに 1 メッセージ + 数値裏付けが原則 出典: 公募要領 3-3 の審査項目に沿った あすなろ経営研究所 構成テンプレ

#書く内容 (要約)
1事業概要会社の事業内容・従業員数・主要製品 (1 段落)
2現状の経営課題3 原則の課題明確化。定量データ付きで現状を 1 つに絞って書く
3課題の構造分析「なぜそれが起きているか」を 2 段階で掘り下げる (改善現場の語り口)
4解決のための ITツール選定B⑤ のスコアシートで 25 点以上を満たした候補。選定理由を明示
5改善後の業務フローBefore-After 比較 (作業時間 / 担当者 / 帳票)
6計画目標値労働生産性 3 年 9% 以上 (年率 3% 以上) + 計算ロジック
7賃上げ計画該当する加点区分 5〜8 のいずれか。表明方法まで記載
8投資総額と実質負担額・投資回収期間24 ヶ月以内目安
9加点項目との対応1〜15 のうち取りに行く 5 項目 + 各項目の根拠
10継続的な改善体制効果報告までの体制 + 5S・改善活動との接続

この 10 章を A4 で 3〜5 枚 にまとめるのが標準です。長ければ良いのではなく、章ごとに 1 メッセージ + 数値裏付け が原則です。

私自身の事業計画書から学ぶ ── 六郷 BASE 事業計画書の組立て方

私自身が中小企業診断士として書いた事業計画書 (2026 年 6 月の六郷 BASE 移転計画 + 三層成長戦略) から、製造業の読者向けに 5 つの学びを抽出します。

※ 数字の細部は伏せ、組立て方の構造だけを共有します。

学び 1 ── 短期 / 中期 / 長期の 3 階層で数値目標を書く

1 ページに「1 ヶ月以内 / 3〜6 ヶ月以内 / 6〜12 ヶ月以内」の 3 階層で 具体的な数値目標 を並べます。これにより「この事業計画書は何年計画なのか」が一目で分かり、計画目標値の審査が読みやすくなります。

学び 2 ── 主要課題と対策を「課題 ↔ 対策」で並置

私の事業計画書では、6 つの主要課題それぞれに対して「問題 → 対策 4〜5 個」をセットで書いています。1 課題 = 1 対策 = 1 数値の三点セットにすると、定性記述だけにならず審査委員が 対応関係を追える 計画書になります。

学び 3 ── キャッシュフロー戦略を 4 段階で示す

「0〜1 ヶ月 / 1〜3 ヶ月 / 3〜6 ヶ月 / 6 ヶ月〜」で どの収入源がいつ立ち上がるか を 4 段階で書きました。これは IT導入補助金の投資回収期間と同じ発想で、投資した費用がいつ・どこから回収されるか を時間軸で見せます。

学び 4 ── 判断基準を「日々の 5 問チェック」で言語化

私の事業計画書には「迷ったときに自問する 5 問」が明示されています (例: この作業は 3 ヶ月以内の現金化に貢献するか? / 計測方法は決まっているか? など)。これは効果報告で問われる 継続性の証拠 になります。

学び 5 ── 業務委託 / 補助金活用 / 既存顧客導入で固定費を最小化

「キャッシュ → 人件費の順、逆は禁止」というルールを明示し、業務委託・成果報酬・補助金活用を組み合わせて固定費を抑える構成にしています。これは IT導入補助金の 実現可能性の説明 にも直結します ──「ITツールを入れて固定費が膨らみました」では計画が破綻するためです。

採択される人がやらない 3 つの失敗パターン

失敗 1 ── 定性記述だけで終わる

「効率化したい」「DX を進めたい」「業務改善を図りたい」── 数字のない計画書は、計画目標値の審査でゼロ評価です。現状の数字 → 改善後の数字 → 差分 を必ず書きます。

失敗 2 ── 数値根拠が宙に浮く

「3 年で労働生産性 9% 向上します」と数字は書いているが、その根拠の計算式がない ── これも頻出の失敗です。前段で示した 4 段階のロジックチェーン (作業時間削減 → 人件費換算 → 付加価値額増 → 労働生産性%) を必ず書きます。

失敗 3 ── 加点項目を放置する

加点 15 項目のうち 1 つも取りに行かず、本文でも言及しない ── これは政策面の審査で底に張り付きます。前段で挙げた 無料で取れる 5 項目 (1 クラウド / 3 インボイス / 9 IT 戦略ナビ / 12 マッチングサービス / 13 省力化ナビ) は最低でも取りに行きましょう。

補足 ── 減点措置 5 項目にも注意

公募要領 3-3 (2) ② には 減点措置 5 項目 も明記されています。

  1. IT導入補助金 2022〜2025 で交付決定を受けた事業者 (再申請に減点)
  2. 同時にインボイス枠で申請 / 交付決定を受けた事業者
  3. IT導入補助金 2024 / 2025 で交付決定を受けたソフトウェアと同一プロセスのソフトウェア導入
  4. IT導入補助金 2024 以降で賃金引上げ加点を取り未達の事業者
  5. 中小企業庁所管の他補助金で賃金引上げ加点を取り未達の事業者

特に 3 は「プロセスが完全に一致する場合は不採択」と明記されているので、過去採択履歴がある事業者は要注意です。

事業計画書を書く前にやる 3 つの準備

公募要領上、事業計画書を書く前に終わらせておくと加点に直結する 準備項目があります。

準備 1 ── G ビズ ID プライム取得

G ビズ ID プライムは申請の前提条件ですが、これがないと「IT 戦略ナビ with」「省力化ナビ」も使えず 加点 9・13 が取れません。郵送ベースで取得まで 1〜2 週間かかるので、事業計画書を書き始める前に申請しておきます。

準備 2 ── IT 戦略ナビ with の実施 (加点 9)

中小機構の デジタル化支援サイト「デジ with」 で「IT 戦略ナビ with」を実施します (▶ https://it-shien.smrj.go.jp/)。30〜60 分の自己診断で IT 戦略マップ が PDF 出力されるので、これを交付申請時に添付します。申請に用いた G ビズ ID プライムで実施することが条件です。

準備 3 ── 省力化ナビの活用 (加点 13)

同じく中小機構の 省力化ナビ で「解決策」PDF をダウンロードします。社内検討記録に残しておくと、効果報告時の根拠にもなります。G ビズ ID プライムを入力することが条件です。

いずれも無料・申請前に完了できる

3 つすべて 無料・申請前に完了 できます。ここをスキップすると、政策面の審査で他社に差を付けられます。

よくある質問 Q&A

Q1: 事業計画書のテンプレートは公式に公開されていますか?

公式テンプレートはありません。申請マイページ で事業計画情報を入力する仕組みで、自由フォーマットで書いた事業計画書を添付するわけではありません。ただし、本記事の 10 章構成テンプレを社内 Word で先に整えておくと、マイページ入力時にスムーズです。

Q2: 売上が減少傾向でも採択されますか?

採択されます。売上減少を「課題」として明確化し、ITツール導入で改善する道筋を数値で示す ことが条件です。むしろ売上が好調な事業者より「ITツール導入の必要性」が伝わりやすい面もあります。

Q3: 数値目標が達成できなかったらどうなる?

達成できなかった理由 (災害・市場環境急変など) が 正当と認められる場合 は減点免除されますが、それ以外は前段で示した通り 18 ヶ月間の他補助金減点措置を受けます。

Q4: 賃上げ計画の「表明」はどうやれば証拠になる?

全従業員向け説明会の 議事録 + 出席者署名 が最も確実です。社内掲示・個別面談記録でも構いませんが、日付と内容が記録されている書面 を残してください。

Q5: 加点項目は全部取りに行くべき?

全部取りに行く必要はありません。取りやすく / 達成可能な 5 項目 に絞るのが現実的です。未達のリスクが大きい賃上げ加点 (5〜8) は、自社の人件費余力を見て判断します。

Q6: 過去に IT導入補助金で採択されたことがあると不利になる?

公募要領 3-3 (2) ② 1) で 減点措置 が明記されています。特に IT導入補助金 2025 の通常枠 / 複数社連携型で交付決定を受けた事業者は、交付決定日から 12 ヶ月以内 は 2026 通常枠を申請できません (公募要領 p.22)。

Q7: 1 事業者あたり 1 申請のルールはどこで決まっている?

公募要領 3-2 (4)(ア) に「1 法人・1 個人事業主 当たり 1 申請のみ」と明記されています。ただし通常枠とインボイス枠・セキュリティ対策推進枠は 同時申請可能 な場合があるので、IT 導入支援事業者と相談してください。

Q8: 事業計画書を IT 導入支援事業者に丸投げできる?

事業計画情報の入力自体は IT 導入支援事業者側のマイページで IT 導入支援事業者が行いますが、自社の経営課題・数値根拠・賃上げ計画は申請者本人が決めるべき内容 です。丸投げするとマッチしない計画になり、効果報告時にも未達リスクが高まります。

まとめ

本記事で押さえてほしい 3 行サマリーは以下の通りです。

  1. 3 原則 (課題明確化 / 数値根拠 / 改善連動) を公募要領 3-3 (事業面 / 計画目標値 / 政策面) に揃える
  2. 加点 15 項目 から、まず無料で取れる 5 項目 (1 クラウド / 3 インボイス / 9 IT 戦略ナビ / 12 マッチング / 13 省力化ナビ) を取りに行く
  3. 数値根拠 は労働生産性 3 年 9% (年率 3% 以上) + 賃上げ計画 + 投資回収 24 ヶ月以内の 3 点セットで組む

事業計画書は「書くこと」より「組立て直すこと」が本質です。一度書いたら、3 原則 ↔ 加点 15 項目 ↔ 数値根拠の対応マップで自己点検してください。

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外部の公的情報源:

IT導入補助金2026 採択される事業計画の書き方について解説しました。コツコツと組立て直して、確実な採択を勝ち取っていきましょう。

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