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【見落とし注意!】なぜなぜ分析で「なぜ」の抜けがなくなる方法 3選

💬 なぜなぜ分析をやっているのに、同じトラブルが再発してしまう、、、

💬 真因らしき「なぜ」は出るけど、本当に他に要因はないのか不安、、、

💬 「なぜ」の漏れ・抜けをなくす方法が知りたいんだよなぁ、、、。

そんな悩みにお答えします。

☑ 記事の内容

  1. 「なぜ」の抜けが起きる3つの典型パターン
  2. 抜けをなくす方法 3選 (言葉に着目/要因1つだけ/順序を逆遡)
  3. 3つの方法を組み合わせる網羅性チェック 5ステップ
  4. ベテランがやってしまう抜け失敗 3例
  5. 真因が出たあとの出口 ── 改善8原則への接続

私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。

そんな私が解説していきます。

改善活動の全体像については ▶ 中小製造業の現場改善 完全ガイド にまとめています。なぜなぜ分析の言葉の使い方でつまずいている人は ▶ なぜなぜ分析のNGワード10選 を、実施中の作法でつまずいている人は ▶ なぜなぜ分析を成功に導く7つのポイント から先に読むと、本記事の「網羅性」の話がスッと入ります。

「なぜ」の抜けが起きる3つの典型パターン

なぜなぜ分析が失敗する原因のほとんどは、深さ不足ではなく横方向の抜けです。1本のなぜを5回掘っても、隣に並ぶはずだったもう1本のなぜを見落としていれば、対策は片肺で打つことになります。

私が現場で見てきた抜けは、ほぼこの3パターンに集約されます。

  1. 分析前に項目を決め打ちしてしまい、リストにない要因が落ちる
  2. 1つの「なぜ」に要因を2つ以上詰め込み、片方しか掘らない
  3. 物事の順序を無視して、いきなり最後の段階のなぜを書く

逆に言うと、この3つを潰すだけで「抜け」はほぼ消えます。本記事ではその3つを3つの方法として順に解説していきます。

抜けパターン対応する方法
項目決め打ちで飛躍する方法① 文中の言葉に着目して「なぜ」を出す
1つのなぜに要因が2つ混じる方法② 1つの「なぜ」に要因を2つ以上入れない
順序を無視して飛ぶ方法③ 順序・繋がりを踏まえて「なぜ」を出す

方法① 文中の言葉に着目して「なぜ」を出す

1つめの方法は、事象や前の「なぜ」の文中にある言葉に着目して、その言葉ごとに並列の「なぜ」を出すことです。

例えば「設備のボルトが折れた」という事象を分析するとします。いきなり原因を考えると、思いつきベースで1本しか出ません。そうではなく、文中の言葉を◯で囲むつもりで分解します。

  • 「ボルト」 ── モノに関わる要因
  • 「折れた」 ── 起きた現象に関わる要因
  • 「設備」 ── 環境に関わる要因

「折れた」に着目すれば「ボルトの強度を超える力が加わった」(なぜ1) が出ます。さらに「ボルトの強度」「力が加わった」の2語に分解し、それぞれから並列のなぜ2を出していきます。

着目した言葉並列で出る「なぜ2」
ボルトの強度新品時より強度が低下していた/元々強度が低かった (不良品)/要求強度に対して低かった
力が加わった (力の種類)引っ張りが加わった/ねじりが加わった/曲げが加わった
力が加わった (加わり方)脆性破壊した/疲労破壊した

このように、1つの言葉から複数のなぜが横に並びます。言葉に着目しないと、この横並びが見えません

言葉拾いのコツ ── 名詞・動詞・状態語の3カテゴリ

着目する言葉は、おおまかに次の3カテゴリで拾います。

  1. 名詞 (モノ・場所・対象) ── 「ボルト」「設備」「点検シート」
  2. 動詞 (起きた動作・現象) ── 「折れた」「記入しなかった」「気がつかなかった」
  3. 状態語 (状態・程度) ── 「強度」「品番」「条件」

このうち1カテゴリしか拾わないと、必ず抜けが出ます。3カテゴリを行ったり来たりして言葉を拾うのがコツです。

NGワード排除との合わせ技

言葉に着目するときは、ついでに曖昧なNGワードを排除しておきましょう。「悪い」「不十分」「意識が無い」などの抽象語に着目してしまうと、いくら並列に出してもすべて抽象のままで終わります。

NGワードの一覧と言い換え方は ▶ なぜなぜ分析のNGワード10選 にまとめています。本記事の方法①と組み合わせると、言葉拾いの精度がさらに上がります。

方法② 1つの「なぜ」に要因を2つ以上入れない

2つめの方法は、1つの「なぜ」に要因を2つ以上詰め込まないことです。

分析を進めていると、こんな「なぜ」が出てくることがあります。

📝 NG例: 「いつもの品番と思っていたから、品番間違いに気がつかなかった」

この「〜だから、〜になった」形式は、見た目は1文ですが要因が2つ入っています。このまま掘り進めると「いつもの品番と思っていた」という前提条件でしか分析できなくなり、それ以外の要因がまるごと抜けます。

分解の手順 ── Before/After

「〜だから、〜になった」を見つけたら、必ず2文に分解します。

内容
Before (NG)いつもの品番と思っていたから、品番間違いに気がつかなかった
After (なぜA)品番間違いに気がつかなかった
After (なぜA→B)いつもの品番と思っていた

多くの場合「〜になった」の方が前段の「なぜ」、「〜だから」が次段の「なぜ」になります。順序を逆にして並べ直すだけで、分析の流れが整理されます。

分解したら、それぞれに3個ずつ並列要因を出す

分解しただけでは半分です。分解した「品番間違いに気がつかなかった」に対して、他の要因がないかを並列で3個出します。

  • いつもの品番と思っていた
  • 品番が違うことに気がつきにくい表示だった
  • 数字を一つひとつチェックする手順になっていなかった

こうして並べると、対策は「教育」だけではなく「表示の改善」「手順の見直し」にも広がります。これが網羅性です。

方法③ 順序・繋がりを踏まえて「なぜ」を出す

3つめの方法は、物事の順序や繋がりを踏まえて「なぜ」を出すことです。

人が何かを実行するときには、必ず「知る → 判断する → 実行する」という順序があります。問題が起きるのは「実行した後」ですから、原因を探るには順序を逆に遡るのが正解です。

3段階で遡る ── 実行 → 判断 → 知る

例えば「点検シートに点検結果が記入されていなかった」という事象を考えます。順序を意識しないと、いきなり「作業者は点検することを知らなかった」と最後の段階に飛んでしまいます。

正しくは、3段階を逆に遡って並列のなぜを出します。

段階遡って出す「なぜ」並列要因の例
① 実行する作業者が点検シートを記入しなかった記入する時間がなかった/用紙が手元になかった/記入を後回しにした
② 判断する作業者が点検シートを記入できなかった記入したくなかった/正しい記入欄がわからなかった/何を書くか判断できなかった
③ 知る作業者が点検シートを知らなかったシートの存在を知らなかった/正しいシートを知らなかった/使うタイミングを知らなかった

3段階すべてで並列要因を出してから、最も該当しそうな筋を絞っていきます。いきなり③に飛ぶと、①②に隠れていた本当の要因が抜けます

設備トラブルでも同じ ── 取り付け → 使用 → 破損 を逆遡

製品や設備のトラブルでも同じ考え方です。「設備のボルトが折れる」という事象なら、ボルトを設備に取り付けてから折れるまでの順序を逆に遡ります。

  1. 設備のボルトが折れる (問題発生)
  2. ↑ 設備のボルトが求められている強度を保てない (破損条件が整う)
  3. ↑ 設備のボルトが劣化する (ボルト材質の変化)
  4. ↑ 設備のボルトの状態 (取り付け時・使用時の状態)

「ボルトの設計強度が不足している」と飛躍した結論で対策しても、取り付け時や使用時の要因が抜けたまま再発します。順序を踏まえれば、この飛躍に自分で気付けるのです。

3つの方法を組み合わせる「網羅性チェック」5ステップ

3つの方法はバラバラに使うのではなく、組み合わせて使うと威力が出ます。私はA4 1枚で次の5ステップで回しています。

  1. 事象を1行で書く ── 「〇〇が〇〇くらい〇〇した」の型に当てはめる
  2. 文中の言葉を◯で囲む ── 名詞・動詞・状態語の3カテゴリで拾う (方法①)
  3. 各◯から並列に3個ずつ「なぜ」を出す ── 横に広げてから縦に掘る
  4. 要因が2つ混在していないか確認 ── 「〜だから、〜になった」を見つけたら分解する (方法②)
  5. 順序を逆に遡って飛躍を潰す ── 「知る→判断→実行」または工程順で確認 (方法③)

この5ステップは、フォーマットがあるとさらに楽になります。A4 1枚のフォーマットや「7割の精度で進める」会議運用は ▶ なぜなぜ分析ができない理由3選 に詳しくまとめています。

ベテランがやってしまう抜け失敗 3例

抜けは新人だけの問題ではありません。むしろベテランほどやってしまう失敗があります。3例とその対処法を紹介します。

失敗① 分析前から項目を決めて分析してしまう

「ボルトが折れた」に対して、最初から「強度」「材質」「設備」「取扱方法」「設置場所」とリストアップして始めてしまうケースです。一見、人によるバラツキも出ず効率的に見えます。

しかし、これだと「材質」に対して「安いボルトを使った」、「取扱方法」に対して「力一杯締め付けた」など、いきなり飛躍したなぜが出ます。リストにない要因 (例: 取り付け時の角度、メンテナンス頻度) がまるごと落ちます。

対処法: 分析前に項目を決めず、方法① (文中の言葉に着目) で言葉から要因を出します。

失敗② 「新人だから」で止まり、見当違いの対策になる

「作業者が点検シートを記入しなかった」のなぜが進んで「新人作業者なので点検シートを記入することを知らなかった」で分析が終わってしまうケースです。

この結論だと対策は「新人作業者の教育体制を整備する」「新人作業者にはコーチをつける」になります。しかし新人以外も同じ事象を起こす可能性はまったく潰せていません。

対処法: 方法② (要因2つ以上入れない) で「新人だから」を前提条件として外に出し、「点検シートを記入しなかった」の他要因を並列に出します。

失敗③ 飛躍した結論で対策しても再発する

「設備のボルトが折れる」のなぜが進んで「ボルトの設計強度が不足している」で止まり、ボルトの強度を上げる対策を打ったが再発した、というケースです。

「設備のボルトが折れる」には、強度の他に環境・材質・締め付け方法・経年劣化など多くの要因が関わります。これらの関わりを意識せず、強度の話に偏った結果が「設計強度不足」という飛躍した結論です。

対処法: 方法③ (順序・繋がりを踏まえる) で、取り付け → 使用 → 破損の順序を逆に遡って各段階の要因を出します。

真因が出たあとの出口 ── 改善8原則へ接続する

3つの方法で抜けなく真因が出ても、最後の対策が「点検する」「徹底する」になっては意味がありません。真因が出たら改善8原則 (廃止・削減・容易化など) に当てはめて対策を選びます。

例えば「点検シートを記入できなかった」の真因が「記入欄が小さくて書きにくい」なら、対策は「徹底する」ではなく「容易化 (記入欄を大きくする)」が正解です。「いつもの品番と思っていた」の真因なら、対策は「ポカヨケで物理的に間違えられない仕組みにする (廃止)」が正解です。

改善8原則の使い方は ▶ 改善の8原則 ── 廃止・削減・容易化で迷子から脱出する完全ガイド にまとめています。なぜなぜで出した真因をそのまま8原則に当てはめれば、対策が「点検する」で終わることはなくなります。

また、設備や工程のトラブルでは、何が「ロス」として現れているかを先に整理しておくと、事象の切り分けが楽になります。設備に関わるロスは ▶ 【16大ロス】人、設備効率、原単位を阻害するロスについて解説 にまとめています。

まとめ

記事のまとめです。

  1. 「なぜ」の抜けが起きるのは、項目決め打ち・要因2つ混入・順序無視の3パターン
  2. 抜けをなくす方法は3つ
    1. 文中の言葉に着目して「なぜ」を出す
    2. 1つの「なぜ」に要因を2つ以上入れない
    3. 順序・繋がりを踏まえて「なぜ」を出す
  3. 3つを組み合わせる網羅性チェックは5ステップ (事象1行→言葉に◯→並列3個→分解→順序逆遡)
  4. ベテランの抜け失敗は、項目決め打ち/「新人だから」止まり/飛躍結論の3例
  5. 真因が出たら改善8原則に当てはめて対策を選ぶ

なぜなぜ分析で「なぜ」の抜けがなくなる方法について解説しました。深く掘ることばかり意識しがちですが、本当の精度は横に広げてから縦に掘る順番で生まれます。3つの方法を1つずつ意識して、コツコツと積み上げて活動を進めていきましょう。

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