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【失敗事例と対策方法も】なぜなぜ分析を成功に導く7つのポイント

💬 なぜなぜ分析、本やセミナーでやり方は知っているのに、現場でやると上手くいかない、、、

💬 5回掘ったはずなのに、最後の対策が「点検する」「徹底する」になってしまう、、、

💬 失敗のパターンが知りたい、成功させるコツが知りたいんだよなぁ、、、。

そんな悩みにお答えします。

☑ 記事の内容

  1. なぜなぜ分析を成功に導く7つのポイント (準備3+実施3+詰め1で覚える)
  2. 準備層 ── 現象の書き方・正常状態の除外・「悪い」の言い換え
  3. 実施層 ── 人の心理を避け、遡り確認と抜け確認で精度を上げる
  4. 詰め層 ── 対策案が出るレベルまで必ず掘り切る
  5. 失敗事例3パターンと、それぞれの対策方法

私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。

そんな私が解説していきます。

改善活動の全体像については ▶ 中小製造業の現場改善 完全ガイド にまとめています。なぜなぜ分析を始める前の準備に不安がある人は ▶ なぜなぜ分析ができない理由3選 から先に読むと、本記事の7ポイントがスッと入ります。

7つのポイントを「準備3+実施3+詰め1」で覚える

なぜなぜ分析を成功させるポイントは7つあります。バラバラに覚えると現場で思い出せないので、私は準備3+実施3+詰め1の3層で整理しています。

ポイント狙い
準備層① 現象は「〇〇が〇〇くらい〇〇した」で1行に絞る掘る対象を1つに固定する
② 正常な状態は分析対象から除外する異常だけに焦点を当てる
③ 「悪い」を使わず数値・形状・状態で書く言葉の曖昧さを最初に潰す
実施層④ 人の心理は追及しない対策可能な物理側に視点を戻す
⑤ 遡り確認 ──「だから〜」で逆向きに検証する論理の飛躍を見つける
⑥ 抜け確認 ──「これが無くても起きる?」と問う並列要因のヌケを埋める
詰め層⑦ 対策案が出るレベルまで掘り切る「点検する」で止めない

つまり、なぜなぜ分析は準備で精度の上限が決まり、実施で精度を保ち、詰めで対策に着地させる3層構造なのです。

ここから1つずつ順に解説していきます。

準備① 現象は「〇〇が〇〇くらい〇〇した」で1行に絞る

1つめのポイントは、現象を1行で簡潔に書くことです。私は「〇〇が〇〇くらい〇〇した」というテンプレを毎回使います。

  • 対象 (〇〇が) ── 主語と物の特定
  • 程度・期間 (〇〇くらい) ── 数値・回数・時間で量を入れる
  • 現象 (〇〇した) ── 観察できた事実を動詞で書く

例えば「第2ラインのA工程で、今月に入ってから 不良率が前月比2倍 (1.0% → 2.1%) になった」のように書きます。Before の「ラインの不良率が高い」と比べると、掘る先がガラリと変わるのです。

注意点は、複合的な現象を1行に詰め込まないことです。「A工程で不良が出てB工程でも納期遅れが起きた」のように2つを並べると、どちらを掘っているかが途中でわからなくなります。1分析 = 1現象が鉄則です。

現象を1行に絞る際の5W2Hの使い方は ▶ 5W2Hとは何? で解説しています。

準備② 正常な状態は分析対象から除外する

2つめのポイントは、正常な状態をなぜなぜ分析の対象に入れないことです。

なぜなぜ分析は「異常」を掘る道具です。会社として正常な状態を「なぜ?」と掘っても、「会社の方針だから」「お客様の要求だから」という当たり前の答えしか出てきません。

具体的に除外すべき正常状態は次のようなものです。

  1. 受注増加による増産 ── これは喜ばしい状態。掘る必要なし
  2. 季節要因による負荷変動 ── 既知のサイクル。前提条件として扱う
  3. 法令改正や顧客仕様変更 ── 外部要因。掘っても変えられない

例えば「不良率が増えた」の原因をたどっていく途中で、「受注が増えて増産になったから」という答えが出てきたら、そこは正常な状態として扱います。掘るべきは「増産になったときに、なぜ不良が増える仕組みになっているのか」のほうです。

つまり、正常状態は掘る対象ではなく前提条件として横に置く ── これだけで、分析が空回りしなくなります。

準備③ 「悪い」を使わず数値・形状・状態で書く

3つめのポイントは、「悪い」という言葉を使わないことです。「悪い」は何も言っていないに等しい曖昧表現の代表格です。

Before (NG)After (具体表現)
製品の形状が悪い製品の長さが規格より 2mm 長い
切削条件が悪い送り速度が 標準より20%速い
段取りが悪い段取り替えに 標準15分のところ 32分かかった
取り付け方が悪いボルトが 規定トルク以下で締まっていた

ポイントは数値・形状・状態のどれか1つで書き換えることです。3つすべてが具体になれば、対策案がほぼ自動的に見えてきます。

「悪い」以外にも、「甘い」「不十分」「意識が低い」など、なぜなぜ分析で避けるべきNG表現は10種類あります。詳しくは ▶ 使ってはいけないNGワード10選 で5タイプに分類して解説しています。

実施④ 人の心理は追及しない ── 物理側で問う

4つめのポイントは、人の心理を分析の答えにしないことです。

「寝不足だった」「集中力が切れていた」「やる気が無かった」── これらを真因にしてしまうと、対策は「睡眠を取らせる」「気合を入れる」になります。しかし、人の睡眠・集中・気持ちは管理者がコントロールできない領域なのです。

同じ現象でも、心理ではなく物理側で問い直すと、対策が打てる文章に変わります。

心理に逃げた答え (NG)物理側で問い直した答え (OK)
作業者が寝不足で見落とした検査の標準時間が短すぎて、目視チェックが間に合わない設計になっている
集中力が切れていた2時間連続作業の休憩が無い シフトになっている
やる気が無かったその工程の手順書が3年前から更新されておらず、現物と一致していない

つまり、人の心理に行き着きそうになったら、「その人を取り囲む設備・手順・時間・配置のどこに穴があるか?」と問い直すのです。これだけで、なぜなぜ分析の出口が劇的に変わります。

もちろん、人の体調管理は別の管理項目として大事です。ただし、なぜなぜ分析の中では物理側を優先する ── これが鉄則です。

実施⑤ 遡り確認 ──「だから〜」で逆向きに検証する

5つめのポイントは、分析が終わったら、真因から現象に向かって「だから〜」で逆向きに読み直すことです。これを私は「遡り確認」と呼んでいます。

具体的にはこう読みます。

真因: 手順書が3年前から更新されていない

だから 現物と手順書がズレている

だから 作業者は古い手順で作業してしまう

だから 検査No.3を見落とした

だから 不良率が前月比2倍になった

真因から現象まで「だから〜」で繋いだときに、1ヶ所でも飛躍を感じたら、そこには中間の「なぜ」が抜けています。「だから」で繋がらない箇所には、もう1段の掘り下げが必要なのです。

遡り確認は、なぜなぜ分析の品質チェックそのものです。最後に必ず1回、声に出して逆向きに読みましょう。声に出すと、不思議なほど飛躍に気がつきます。

実施⑥ 抜け確認 ──「これが無くても起きる?」と問う

6つめのポイントは、各段階で「この要因が無かったとしても、前段の現象は起きるか?」と問い直すことです。これが「抜け確認」です。

なぜなぜ分析は縦に1本だけ掘っていくと、並列の要因 (他の枝) を見落とします。例えば「不良が出た」の原因が「手順書が古い」だけとは限りません。同時に「照明が暗い」「検査時間が足りない」「標本がボケた写真しか無い」といった並列要因が存在することが多いのです。

抜け確認の問い方は、毎段階で次の2つを口に出します。

  1. 「この要因だけで、前段の現象は起きる?」 ── イエスなら次に進む
  2. 「この要因が無くても、前段の現象は起きる?」 ── イエスなら、別の要因が並列で存在している

2つめの問いに「起きる」と答えた場合、必ず別の枝を追加で掘ります。1本のなぜなぜを最後まで掘り切ってから、もう1本掘る ── これが抜けを防ぐ唯一の方法です。

「なぜ」の抜けを防ぐもう1つの観点は ▶ 「なぜ」の抜けがなくなる方法3選 でも整理しています。

詰め⑦ 対策案が出るレベルまで掘り切る

7つめのポイントは、「対策案が1つに絞れるレベル」まで必ず掘り切ることです。

「点検を実施する」「徹底する」「教育する」── これらは対策ではなく、行動の前段階に過ぎません。なぜなぜ分析の出口がこういう曖昧な対策になっている場合、もう1段か2段、掘り足りていません。

対策案が出るレベルとは、次の3つを満たす状態です。

  • 動作が1つに絞れる ── 「何を」「どうする」が動詞で書ける
  • 担当と期限が決まる ── 「誰が」「いつまでに」が即決できる
  • 改善の8原則のどれを使うかが宣言できる ── 廃止/削減/容易化など

3つすべてが満たせない場合、まだ真因に届いていません。「点検する」と書きたくなった瞬間が、もう1段掘るタイミングです。

そして真因が出たら、必ず改善の8原則のどれを使うかを1人が口頭で宣言します。これが、なぜなぜ分析の本当の出口なのです。8原則の使い分けは ▶ 改善の8原則の使い方 で詳しく解説しています。

失敗事例3パターンと対策方法

ここまで7つのポイントを解説してきましたが、現場では7つを守っていても失敗するパターンがあります。私が10年以上 指導してきた中で、繰り返し見てきた失敗を3つ紹介します。

失敗A. 現象が長文すぎて、3つめの「なぜ?」で迷子になる

会議の冒頭で「えーっと、先週のあのトラブルなんですが、A工程で不良が出て、B工程でも遅れて、結局お客様にも迷惑がかかって、、、」と現象を長文で語り出すパターンです。

対策方法: 会議を開く前に、現象を「〇〇が〇〇くらい〇〇した」の1行テンプレに書き直してから集まることをルール化しましょう。1行に絞れない現象は、まだ準備不足です。準備不足のままなぜなぜ分析を始めると、必ず途中で止まります。

失敗B. 人の心理に行き着いて、対策が「気をつける」で終わる

3〜4段掘ったあたりで「作業者の意識が低かった」「ベテランが慢心していた」という心理に着地してしまうパターンです。ここで止まると、対策は「気をつける」「徹底する」になってしまいます。

対策方法: 人の心理が出てきた瞬間に、ホワイトボードに「その人を取り囲む設備・手順・時間・配置」と大きく書きます。そこから物理側に視点を戻して、もう1段掘り直します。心理に行き着いたら必ず物理側に1段戻る ── これをルール化するだけで、対策の質が劇的に変わります。

失敗C. 真因が出たのに、対策が「点検する」「徹底する」で終わる

真因らしきものが出たので会議を締めてしまい、対策が抽象的なまま実行に移されないパターンです。私が新人の頃に1番やってしまった失敗がこれでした。

対策方法: 真因が出たら、会議を終わらせる前に必ず1人が「真因に対して、改善の8原則のどれを使うか」を口頭で宣言します。「廃止が使えないか試す」「ダメなら削減を検討する」── ここまで宣言して初めて、なぜなぜ分析は完成します。「真因はわかった」で終わらせない ── これが鉄則です。

失敗パターンが繰り返し起きるなら、そもそも準備の段階に問題があるかもしれません。準備の3点については ▶ なぜなぜ分析ができない理由3選 をあわせてご覧ください。

まとめ

記事のまとめです。

  1. なぜなぜ分析を成功に導くポイントは 7つ。準備3 + 実施3 + 詰め1 の3層で覚える
  2. 【準備3】① 現象は「〇〇が〇〇くらい〇〇した」で1行に絞る / ② 正常な状態は除外する / ③ 「悪い」を使わず数値・形状・状態で書く
  3. 【実施3】④ 人の心理は追及せず物理側で問う / ⑤ 真因から現象へ「だから〜」で遡り確認する / ⑥ 「これが無くても起きる?」で抜け確認する
  4. 【詰め1】⑦ 対策案が動作・担当・8原則レベルまで出るように掘り切る
  5. 失敗事例3パターン (現象が長文 / 心理に着地 / 「点検する」で終わる) の対策方法も合わせて押さえる

【失敗事例と対策方法も】なぜなぜ分析を成功に導く7つのポイントについて解説しました。

そんなわたしも、最初の数年は7つのポイントのうち⑦の「対策案が出るレベルまで掘る」を完全に外していて、「点検する」「徹底する」で会議を締めていた一人でした。準備3 + 実施3 + 詰め1の3層を意識するようになってから、現場でなぜなぜ分析が回るようになったのです。コツコツと積み上げて改善活動を進めていきましょう。

改善活動全体の地図は ▶ 中小製造業の現場改善 完全ガイド にまとめています。なぜなぜ分析を始める前に押さえておきたい注意点は ▶ なぜなぜ分析を始める前の注意点 をあわせてどうぞ。

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