💬 「改善しろ」と言われても、そもそも何が問題か分からないんだよなぁ、、、
💬 当たり前すぎて、これが問題だって気付けていないのかも、、、
💬 問題点を見つけるコツって、あるの?
そんな悩みにお答えします。
☑ 記事の内容
- よくある問題点 10選 (ヒト・モノ・方法の3カテゴリで整理)
- 問題点を見つける5つの着眼点 (安全・ムリ・ムダ・ムラ・標準化)
- 見つけるコツを高める3つの習慣
- 問題点を考えるときに陥る3つの失敗と対処法
私は自動車メーカーの工場で改善活動の指導を10年以上行ってきました。実績を金額に換算すると1億円以上の改善を行なってきたいわゆる改善のプロです。
そんな私が解説していきます。
改善活動の全体像については ▶ 中小製造業の現場改善 完全ガイド にまとめています。本記事で問題点を見つけたあとは、 ▶ 改善の8原則 で打ち返す流れを意識してみてください。
「問題点」とは何か ── 理想と現実のギャップのこと
まず「問題点」の定義をそろえます。問題とは、目標 (理想) と現状 (現実) の差のことです。
つまり、「困っていること」だけが問題ではありません。「もっとこうあるべき」という理想を持っているからこそ、現状とのズレが問題として浮かび上がるのです。
ここを押さえておかないと、現場で「うちは特に困っていないから問題はない」という結論で改善活動が止まってしまいます。困っていないのではなく、理想が描けていないだけというケースが非常に多いのです。
もうひとつ、混同しがちなのが 「問題」と「原因」の違い です。
- 問題: 起こっている事象 (例: 書類を探す時間がかかる)
- 原因: その事象を引き起こしているもの (例: 保管ルールが決まっていない)
本記事で扱うのは「問題」のほうです。原因の掘り下げは、なぜなぜ分析でじっくり行います。ですから、まずは原因に飛びつかず、問題そのものをたくさん見つけることから始めましょう。
よくある問題点 10選 ── ヒト・モノ・方法の3カテゴリで整理する
ここでは、私が現場で繰り返し出会ってきた問題点を10個に厳選しました。ただし、フラットに10個並べると頭に残らないので、「ヒト」「モノ」「方法」の3カテゴリに整理して紹介します。
あなたの職場・現場に当てはまるものがないか、チェックしながら読み進めてください。
ヒトに関する問題 (3つ)
- 不安全な作業を「気をつけて」やっている ── 危険な状態を当たり前にしているパターンです。本人は「慣れているから大丈夫」と思っていますが、慣れているからこそ事故の確率は上がっていきます。
- 一度に運びすぎて時間がかかる「ムリ」 ── 体力・能力以上の荷物を運ぼうとして、結局2往復したほうが早かった、というやつです。本人の善意で起こるので指摘しにくいのが厄介です。
- 違う人から同じ質問をされる ── 「あれってどうやるんでしたっけ」が複数の人から飛んでくる状態です。本人の時間が削られるだけでなく、答える内容が人によって微妙に違ってしまうリスクもあります。
モノに関する問題 (3つ)
- 書類や道具を探している ── PC のファイルも含みます。1日 10分の探し物でも、年間に直すと 40時間以上のロスです。
- 機械や設備の状態を、わざわざ確認しに行く ── 「止まってないかな?」「進捗どこまで?」と何度も見に行く動作です。表示やセンサーで自動的にわかる仕組みになっていないサインです。
- 目的が不明な書類・資料・メールが流れている ── 何のために作っているか、誰も答えられない帳票です。たいてい「昔から続いているから」が答えになります。
方法 (やり方) に関する問題 (4つ)
- 忙しい時期と暇な時期の差が大きい「ムラ」 ── 月末だけ残業、繁忙期だけ人手不足、というパターンです。平準化の問題と言い換えてもいいです。
- PC でいつも同じ作業をしている ── コピー&ペーストでひたすら集計、毎週同じ資料のフォーマット作成、などです。RPA や関数化のチャンスが眠っています。
- 業務や作業の手戻りが発生する ── 上司の確認後に修正、後工程からのやり直し依頼、などです。前工程での確認ポイントが抜けているサインです。
- 会議メンバーがなんとなくで決まっている ── 「とりあえず関係ありそうな人を呼ぶ」会議です。発言しない人が半分以上いるなら、その会議は再設計が必要です。
10個のうち、いくつ当てはまったでしょうか。3つ以上当てはまれば、改善ネタには困らないはずです。当てはまったものはメモ帳でいいので書き出しておきましょう。
問題点を見つける5つの着眼点 ── 「安全・ムリ・ムダ・ムラ・標準化」
10選を眺めるだけでは「自分の現場の問題点」は出てきません。見つけるための切り口 (着眼点) を5つ持っておくと、現場を歩くだけで問題が向こうから飛び込んできます。
- その作業・業務は「安全」ですか?
- その作業・業務に「ムリ」はありませんか?
- その作業・業務に「ムダ」はありませんか?
- その作業・業務に「ムラ」はありませんか?
- その作業・業務は「誰でも」できますか?
1つずつ実例で見ていきます。
① 安全 ── 危険を「当たり前」にしていないか
安全に関する問題は最優先で取り組むべき問題です。判断基準が「危ないか・危なくないか」なので、もっとも見つけやすい問題でもあります。
ただし、危険な状態を毎日続けていると、現場の人にとってはそれが「当たり前」になります。例えば、台車の動線と人の通路が交差している、機械の隙間に手を入れる癖がついている、など。第三者に現場を歩いてもらうと一発で見つかるので、定期的に外の目を入れることをお勧めします。
② ムリ ── 能力以上の負荷がかかっていないか
「ムリ」とは、ヒトや設備の能力以上に負荷がかかっている状態のことです。
- 機械であれば、定格を超えた使い方は故障につながります。
- 人であれば、長時間労働は疲労・体調不良・ミスを引き起こします。
「無理して頑張ったわりに成果が出なかった」という現場は、ほぼ間違いなくムリが発生しています。本人の頑張りでカバーしている状態は問題として記録しておきましょう。
③ ムダ ── 能力に余裕がありすぎないか
「ムダ」とは、能力に対して負荷が下回っている状態のことです。ムリの逆と考えれば分かりやすいです。
- 機械が動いていない時間。
- 人が作業せずに待っている時間。
- 運んでいるが価値が生まれていない動作。
10選の4〜10番はほぼすべてムダのバリエーションです。それくらい、現場で発生している問題の多くはムダの形をとります。
④ ムラ ── 出来高や時間がばらついていないか
ムラとは、ムリとムダがタイミングによって入れ替わり立ち替わり発生している状態のことです。
出来高にばらつきがある、日によって作業時間が大きく違う、月末だけ忙しい、というのはすべてムラのサインです。ムラはそのまま放置すると、忙しい時期にミスが集中する形で表面化します。
⑤ 誰でも ── 特定の人しかできない作業はないか
業務は、誰でもできる状態 (作業指示書・マニュアル整備済み) が理想です。
「○○さんしかできない」「○○さんが休むと回らない」という業務は、その人の有給取得を妨げ、退職や体調不良時にラインを止めます。属人化は本人にも会社にも不利益しか生まないので、必ず問題点として記録しましょう。
見つけるコツを高める3つの習慣
5つの着眼点を持っても、慣れないうちは問題が見えてきません。私が現場の若手に伝えている、見つける力を高める3つの習慣を紹介します。
習慣① 第三者の目で現場を歩く
自分の現場を毎日見ていると、おかしな状態に慣れてしまいます。週に1度でいいので、他部署の人・新人・取引先の目線で現場を歩いてみてください。「これ、なんでこうなってるんですか?」と聞かれて答えられないものは、ほぼ問題点です。
習慣② 「当たり前」を疑う
「昔からこうやっている」「ルールだから」と説明される作業は、ほぼ問題点が隠れています。「なぜ、こうしているのか?」を自分に問いかける癖をつけましょう。答えが「分からない」「決まっているから」になったら、それは見直しのチャンスです。
習慣③ 数字で測る (時間・回数・距離)
感覚で「めんどくさい」と言っているうちは問題点になりません。時間 (何分かかるか)・回数 (1日に何回発生するか)・距離 (何メートル運ぶか) を実際に測ってみましょう。
「めんどくさい」が「1日に12回、1回あたり3分のロス = 36分/日」になった瞬間に、それは立派な改善ネタになります。数字は、上司や同僚を巻き込むときの最強の武器なのです。
問題点を考えるときに陥る3つの失敗と対処法
問題点探しに慣れてくると、今度は別の壁にぶつかります。私が見てきた現場で繰り返し起こる、3つの典型的な失敗と対処法を紹介します。
失敗① 大きすぎる問題に取り組んでしまう
「会社の業績が悪い」「離職率が高い」のような、自分の権限を超えた問題に取り組んでしまうパターンです。原因の階層が深すぎて真因にたどり着けず、検討する権限もないため、結局なにも変わらずに終わります。
対処法: シンプルに 「身の回りの問題点」から始めることです。自分の作業・自分のチーム・自分のフロアに範囲を絞ります。身の回りの問題を解決していると、自然と階層の深い問題を扱うスキルも身についていきます。
失敗② 周囲に反対されてしまう
「今まで問題なかったんだから変える必要はない」「仕事ってそういうものだから」と反発される、現場あるあるです。変化への抵抗は人として自然な反応なので、力で押し切ろうとすると関係が悪化します。
対処法: 時間を味方につけることです。人の考えが変化するには時間が必要です。あわせて「期限を決めて試しにやってみる」と提案すると、相手のハードルが大きく下がります。「3ヶ月だけ試して、ダメなら戻しましょう」という言い方は、私もよく使う殺し文句です。
失敗③ 対症療法で終わってしまう
3つ目の失敗は、見つけた問題点に対してその場しのぎの対策を打って、根本の原因を放置してしまうパターンです。
- 書類を探す時間が長い → とりあえず一時的に机を整理する
- 手戻りが多い → 上司の確認回数を増やす
これらは一見「対処した」ように見えますが、根本原因 (保管ルールがない・前工程の確認項目が決まっていない) が残っているので、しばらくするとまた発生します。
対処法: 問題点を見つけたら、必ずなぜなぜ分析で原因を1〜3段掘ってから対策を考えることです。なぜなぜ分析で陥りやすい言葉の罠については ▶ なぜなぜ分析でのNGワード にまとめてあります。
問題点リストを習慣化する ── 毎日3個書き出す
問題点を見つける力は、毎日の積み上げでしか身につきません。お勧めしているのは、メモ帳でもスマホでもいいので「今日見つけた問題点を3個書き出す」習慣です。
これを1ヶ月続けると、約90個の問題点リストが手元に残ります。
- すぐ直せるもの → その場で改善
- 少し時間がかかるもの → チームで分担
- 権限を超えるもの → 上司に相談
このように仕分けるだけで、改善ネタに困ることは二度となくなります。「問題点を見つける目」は筋トレと同じで、毎日見つけ続けている人と、そうでない人とで圧倒的な差がついていくのです。
改善8原則と組み合わせて「打ち返す」
問題点を見つけても、対策の方向性が定まらないと現場は動きません。そこで使うのが改善の8原則です。
改善の8原則は、見つけた問題点を「やめる・減らす・楽にする・標準化する・計画化する・同期化する・分担を変える・機械化する」の8方向から打ち返すフレームワークです。問題点リストと8原則を組み合わせると、改善ネタは自然と量産されていきます。
詳しくは ▶ 改善の8原則 で解説しています。あわせて、IE手法による現場改善の進め方を体系的に学びたい方は ▶ IE手法による現場改善 もどうぞ。
また、人や組織の視点から問題を捉え直したい方は ▶ 中小製造業の経営・人材マネジメント 完全ガイド もあわせて読むと、現場と組織の両輪で問題を見られるようになります。
まとめ
記事のまとめです。
- 問題点とは「理想と現実のギャップ」 ── 困っていないのではなく、理想を持てていないだけのことが多い。
- よくある問題点10選を「ヒト・モノ・方法」の3カテゴリで整理 ── 3つ以上当てはまれば改善ネタには困らない。
- 5つの着眼点 (安全・ムリ・ムダ・ムラ・誰でも) で現場を歩くと、問題が向こうから飛び込んでくる。
- 見つける力を高める3つの習慣 ── 第三者の目・「当たり前」を疑う・数字で測る。
- 陥りがちな3つの失敗 (大きすぎる問題・反対される・対症療法) には、それぞれ対処法がある。
- 毎日3個の問題点リストで「見つける目」を筋トレする。
- 見つけた問題点は改善の8原則で打ち返す。
問題点の発見について解説しました。問題は「困りごと」ではなく「理想と現実の差」です。毎日コツコツと積み上げて、見つける目を育てていきましょう。
設備まわりの損失を体系的に拾いたい方は ▶ 16大ロス (人・設備効率・原単位を阻害するロス) もあわせてどうぞ。問題点を見つけたあとの真因追究は ▶ なぜなぜ分析ができない理由3選 で詳しく解説しています。