最終更新: 2026-07-14
💬 クレームが出たとき、とりあえず謝って作り直せば、それで対応は終わりでいいのかなぁ、、、?
💬 「再発防止」って報告書に書けと言われるけど、結局また同じ不良が出てしまうんだよなぁ、、、。
💬 応急処置と是正処置って、言葉は聞くけど、何がどう違うのか正直あいまい、、、。
そんな『クレーム対応と再発防止』についての悩みにお答えします。
☑ 記事の内容
- クレームが起きたときの 初動 ── まず「流出を止める」と「お客様対応」
- 応急処置(暫定対策)と是正処置(恒久対策)の違い ── 「火を消す」と「二度と起こさない」
- 是正処置の型 ── 発生源 → なぜ発生 → なぜ流出 → 標準化 → 水平展開
- 「なぜ流出したか」の視点 と、再発防止を仕組み(標準・手順書)に落とし込む 進め方
- 是正処置報告書 のまとめ方(8D 的な考え方)/ Q&A
わたしは自動車メーカーの工場で改善活動の指導を 10 年以上行ってきました。実績を金額に換算すると 1 億円以上の改善を行ってきた、いわゆる改善のプロです。今は中小企業診断士として、中小製造業の現場改善や品質づくりのお手伝いをしています。その中で、「クレーム対応 = 謝って作り直すこと」で終わらせてしまい、しばらくするとまた同じ不良を出してしまう会社に、本当に数多く出会ってきました。ですが、クレーム対応の本当のゴールは、その品を直すことではなく、「二度と同じことを起こさない仕組み」に変えることです。わたしは自動車工場の現場で、その場の火を消す応急処置で止めず、原因(真因)までたどって手を打った現場ほど、同じ不良がぴたりと止まる場面を、何度も見てきました。本記事では、その「クレーム対応と再発防止」の進め方を、応急処置と是正処置の違いから順番に整理していきます。
そんなわたしが解説していきます。
本記事は クレーム対応の進め方と、是正処置・なぜなぜ分析による再発防止の考え方 を、はじめての方に向けてやさしくまとめた内容です。クレーム対応だけでなく、品質管理・検査・不良対策まで含めた全体像から知りたい方は、まずまとめ記事 ▶ 品質管理・品質保証 完全ガイド を読んでください。また、そもそも「品質管理とは何か(工程で品質を作り込む)」から知りたい方は、▶ 品質管理とは もあわせて読むと、この記事が頭に入りやすくなります。
クレームが起きたときの初動 ── まず「流出を止める」と「お客様対応」
クレームが入ると、まず慌ててしまうものです。ですが、そんなときこそ、動く順番が決まっています。順番を間違えると、目の前の火を消したつもりで、実は火種を残したまま終わってしまいます。まずは下の図で、クレーム対応の全体の流れをつかんでください。
クレーム対応の全体像 ── 初動 → 応急処置 → 是正処置 → 水平展開
クレーム対応は、大きく 4 つの段階 で進みます。①初動(流出を止める・お客様対応)→ ②応急処置(今出ている問題の火を消す)→ ③是正処置(原因をつぶして二度と起こさない)→ ④水平展開(似た工程へ広げる) の順です。
この順番を頭に入れておくことが、まず何より大切です。多くの現場では、①と②(謝って・選別して・作り直す)で対応が終わってしまいます。ですが、それでは原因が残ったままなので、しばらくすると同じ不良がまた出ます。「その場の火を消す」のと「二度と火が出ないようにする」のは、別の作業 だと覚えておいてください。以下、順番に見ていきます。
まず流出を止める ── 同じ不良が他に出ていないか(封じ込め)
クレームを受けたときの最初の一手は、「これ以上、悪いものを外に出さない」ようにすること です。これを封じ込めともいいます。
1 つ不良が見つかったということは、同じ不良が他にも潜んでいる可能性があります。同じ時期・同じ工程・同じロット(まとめて作った単位)で作った品に、同じ問題が隠れていないかを確認し、疑わしいものは出荷や次の工程を一旦止めます。たとえば、ある部品加工の現場で寸法の狂った品が 1 つ見つかった場合、その前後に作った品も、同じように狂っている可能性があります。まずは「どこまで疑わしいか」の範囲を押さえて、被害が広がるのを止めるのが先決です。
お客様への対応 ── 事実を確かめ、誠実に、素早く
初動でもう 1 つ大事なのが、お客様への対応です。ここで大切なのは、憶測で言い訳をせず、まず事実を確かめ、分かっている範囲を誠実に・素早く伝える ことです。
ありがちなのが、「原因が全部分かってから連絡しよう」として、連絡が遅れてしまうことです。原因の究明には時間がかかります。その間、お客様は「どうなっているのか」と不安を募らせます。原因が全部分かる前でも、「今こういう状況で、こう対応しています」という第一報を早く入れる ことが、信頼をつなぐうえで効きます。誠実で素早い初動対応そのものが、次の取引につながることも少なくありません。
応急処置と是正処置の違い ── 「火を消す」と「二度と起こさない」
クレーム対応でいちばん混同されやすいのが、「応急処置」と「是正処置」という 2 つの言葉です。似ているようで、役割がはっきり違います。ここを分けて理解することが、再発防止の第一歩です。
応急処置(暫定対策)とは ── まず火を消す
応急処置とは、今起きている問題を、とりあえず止めるための当座の手当て のことです。暫定対策ともいいます。
具体的には、不良品を選び出して良品と交換する、しばらくの間だけ全数を確認する(検査を一時的に増やす)、疑わしいロットを止める、といった手です。目的は「これ以上、被害を広げないこと」。いわば 火事の初期消火 です。応急処置は、お客様を待たせないためにも、必ず・素早くやる必要があります。ただし、応急処置は火を消すだけで、火が出た原因そのものをつぶすものではない という点を、しっかり覚えておいてください。
是正処置(恒久対策)とは ── 二度と起こさないようにする
一方、是正処置とは、その不良が「なぜ生まれ、なぜ外に流れたのか」という原因(真因)をつぶし、同じことが二度と起きない状態をつくる取り組み のことです。恒久対策ともいいます。
「火を消す」応急処置に対して、是正処置は 「そもそも火の出ない仕組みにする」 ことです。原因をたどって、作業のやり方・確認の仕組み・標準(決めごと)に手を入れます。応急処置がその場の対応なら、是正処置は将来への対応です。この記事の後半でくわしく見ていく「なぜなぜ分析」や「標準への落とし込み」は、すべてこの是正処置のための手順です。
応急処置で止めない ── ここで満足すると必ず再発する
クレーム対応で最も多い失敗が、応急処置で安心して終わってしまうこと です。
不良品を選別して、お客様に謝って、良品を作り直して届ける ── これで、その場は確かに収まります。ホッとして、対応完了とみなしてしまいます。ですが、原因は手つかずのまま残っています。だから、数週間後・数か月後に、また同じ不良が出るのです。応急処置は必ずやる。しかし、そこで止めない ── 応急処置と是正処置はワンセットで、是正処置まで進んで初めて「再発防止」になります。ここが、クレーム対応が「作業」で終わるか「学び」に変わるかの分かれ道です。
是正処置の型 ── 発生源 → なぜ発生 → なぜ流出 → 標準化 → 水平展開
「二度と起こさない」と言っても、気合いだけでは再発は止まりません。是正処置には 型(進める順番) があります。ここでは、5 つのステップに分けて見ていきます。この型に沿って進めれば、どんなクレームでも、原因をたどって仕組みに落とすところまで、迷わず進められます。
①発生源はどこか ── どの工程で生まれたか
最初のステップは、その不良が「どの工程で生まれたか」を特定する ことです。
ここで注意したいのが、不良が「見つかった場所」と「生まれた場所」は違うことが多い という点です。たとえば、最後の検査で見つかった寸法不良でも、その狂いが生まれたのは、ずっと前の加工工程かもしれません。見つかった工程だけを見ていると、本当の発生源を取り逃します。「どこで気づいたか」ではなく「どこで生まれたか」をたどってください。この、不良が生まれる工程そのものをつぶしていく「発生源対策」の考え方は、▶ 不良を減らす進め方 でくわしく解説していますので、あわせて読んでみてください。
②なぜ起きたか ── なぜなぜ分析で真因までたどる
発生源が分かったら、次は 「なぜ、そこで不良が起きたのか」を掘り下げます。ここで使うのが、有名な なぜなぜ分析 です。
なぜなぜ分析とは、「なぜ?」を何度も繰り返して、表面の原因から本当の原因(真因)までたどっていく手法 です。大事なのは、「不注意だった」「うっかりしていた」といった表面的な原因で止めないことです。そこで止めると、対策が「以後、気をつけます」で終わってしまい、必ず再発します。下の図で、この「なぜ」の掘り下げ方をつかんでください。
上の図は、一般化した仮想の例です。「寸法が狂った」→ なぜ? →「刃(工具)が摩耗していた」→ なぜ? →「刃の交換時期が決まっていなかった」→ なぜ? →「交換の基準が手順書に書かれていなかった」── このようにたどると、真因は「不注意」ではなく 「交換基準という決めごと(標準)が抜けていたこと」 だと分かります。ここまで来て初めて、「では、交換基準を手順書に定めよう」という、意味のある対策が打てます。なお、なぜなぜ分析の具体的な進め方や、深掘りの注意点 は、713 系の改善記事群でくわしく扱っています。まずは入口となる ▶ 改善の進め方 完全ガイド から、なぜなぜ分析の記事へ進んでください。原因を体系立てて洗い出す道具(特性要因図・魚の骨図)を使いたい方は、▶ QC7つ道具ガイド もあわせて読むと役立ちます。
③なぜ流出したか ── 検査をすり抜けた理由
「なぜ起きたか(発生)」だけを掘っても、実は半分です。是正処置のもう半分は、「なぜ、その不良が外に流れ出てしまったのか(流出)」を掘ること です。
不良が客先まで届いたということは、本来それを止めるはずだった検査を、すり抜けてきたということです。「なぜ検査で止められなかったのか」を、これも「なぜ?」でたどります。検査の項目に入っていなかった、良品・不良品を見分ける見本がなかった、そもそも見落としやすい不良だった ── といった理由が出てきます。この「流出」の視点をあわせて持つことが、再発防止の効き目を大きく左右します。流出を止める検査の考え方は、次の章と ▶ 検査の基本 でくわしく見ていきます。
④標準に落とす ── 手順書・チェックに反映
発生と流出の真因が分かったら、次は その対策を「決めごと(標準)」に落とし込みます。これが、再発防止のいちばんの肝です。
ここで、「担当者に注意しておきました」で済ませてしまうと、対策は人の記憶の中にしか残りません。人は忘れますし、担当者が替われば、また同じことが起きます。そうではなく、たとえば先ほどの例なら「刃の交換基準を作業手順書に書き込む」「その寸法を検査項目に加える」というように、誰がやっても同じになる形 にします。標準・手順書への落とし込み方は、▶ 作業手順書の作り方 でくわしく解説していますので、あわせて読んでみてください。
⑤水平展開 ── 似た工程・似た製品に横展開する
是正処置の最後のステップが、水平展開 です。これは、1 か所で見つけた原因と対策を、似た工程・似た製品にも広げること です。
同じ原因は、たいてい他の場所にも潜んでいます。ある工程で「工具の交換基準が抜けていた」なら、同じような加工をしている別の工程でも、同じ抜けがある可能性が高いのです。1 か所直しただけで安心せず、「同じ問題が起きそうな所はどこか」を探して、先回りで手を打っておく ── ここまでやって、是正処置は完了です。水平展開は、1 件のクレームを「会社全体の学び」に変える仕上げの作業だと考えてください。
「なぜ流出したか」の視点 ── 発生と流出は別々にたどる
前の章で「なぜ発生」と「なぜ流出」を分けてたどる、という話をしました。ここは再発防止のカギになるところなので、もう少していねいに見ておきます。
発生の対策だけでは足りない
まず押さえたいのは、発生源をつぶす対策だけでは、再発防止として不十分だ ということです。
もちろん、不良が生まれる工程そのものを直す(発生源対策)のは、いちばん根本的で大事な対策です。ですが、どれだけ工程を整えても、「たまたま」不良が生まれてしまうことはゼロにはできません。そのとき、それを止める仕組み(流出防止)がなければ、また客先まで届いてしまいます。だからこそ、「なぜ生まれたか(発生)」と「なぜ止められなかったか(流出)」の 2 本立てで対策を打つ ことが必要なのです。
流出防止は検査の役割 ── ただし検査だけに頼らない
流出を止める最後の砦になるのが、検査 です。「なぜ流出したか」への対策は、多くの場合、検査の仕組みを見直すことになります。
ただし、注意点があります。「流出したから検査を増やそう」とだけ考えるのは危険 です。検査を増やせば、そのぶん手間とコストがかかりますが、不良そのものが減るわけではありません。検査はあくまで「関所」であって、不良を作らない活動ではないからです。大事なのは、発生源で不良を減らす対策(QC③)と、流出を止める検査(QC②)を、両輪でまわす ことです。検査を「流出防止の砦」として正しく効かせる考え方は、▶ 検査の基本 でくわしく解説していますので、あわせて読んでみてください。
再発防止を仕組み化する ── 標準・手順書に反映して定着させる
ここまで、原因をたどって対策を打つ流れを見てきました。最後の関門は、その対策を「一度きり」で終わらせず、仕組みとして定着させること です。ここが弱いと、せっかくの是正処置も、時間とともにうやむやになってしまいます。
「人に注意する」で終わらせない
まず、いちばん陥りやすい落とし穴です。それは、再発防止策を「以後、気をつけます」「担当者に注意しました」で終わらせてしまう ことです。
「気をつける」は、対策ではありません。人の注意力には限りがあり、忙しくなれば必ず抜けが出ます。ましてや、担当者が替われば、その注意はゼロに戻ります。個人の頑張りに頼った再発防止は、頑張りが続く間しかもちません。再発防止は、「人が気をつける」ではなく「気をつけなくても不良が出ない仕組み」に変える ことを目指してください。
標準・手順書に落とすと誰がやっても再発しない
そのために必要なのが、対策を標準(決めごと)や手順書に落とし込むこと です。
たとえば「工具の交換基準を手順書に明記する」「見落としやすい箇所に確認のチェック項目を足す」「良品・不良品の見本を作業場に置く」── こうして、やり方そのものを変えてしまえば、その人が気をつけていようがいまいが、決まった手順を踏むだけで不良が防げます。再発防止の効き目は、「どれだけ注意したか」ではなく「どれだけ仕組みに落とせたか」で決まります。手順書への具体的な落とし込み方は、▶ 作業手順書の作り方 を参照してください。
決めたことが守られているか確認する
最後に、意外と見落とされるステップです。標準や手順書に落とし込んだら、それが本当に守られているかを、時々確かめる ことです。
決めごとは、作った瞬間から少しずつ形骸化していきます。「決めたのに、いつの間にか守られていない」というのは、どの現場でもよく起きます。ときどき現場を見て回り、決めたとおりに運用されているかを確かめてください。そして、もし守られていないなら、それは 「守らない人が悪い」のではなく、「守りにくい決めごとだった」可能性 を疑います。守れないルールは、守れる形に作り直す。ここまで見届けて、はじめて再発防止は定着します。
是正処置報告書のまとめ方 ── 8D 的な考え方をやさしく
クレーム対応の一連の流れは、「是正処置報告書」という 1 枚の書類にまとめておく と、学びが会社に残ります。難しく考える必要はありません。考え方の型と、書くべき中身を押さえておきましょう。
是正処置報告書に書くこと ── 事実・原因・対策・効果確認
是正処置報告書に最低限入れておきたいのは、次の内容です。難しい様式は要りません。この項目が入っていれば、1 枚の紙でも十分です。
- 何が起きたか(事実) ── いつ・どこで・どんな不良が・どれくらい出たか
- 応急処置 ── まず何をして火を消したか
- 真因 ── なぜ発生したか / なぜ流出したか(2 つに分けて書く)
- 恒久対策 ── どんな仕組み・標準に落としたか
- 効果の確認 ── 対策の後、本当に再発していないか
- 水平展開 ── 似た工程・製品にどこまで広げたか
ポイントは、真因を 「なぜ発生」と「なぜ流出」の 2 つに分けて書く ことです。この 1 枚を残しておくと、次に似たトラブルが起きたとき、過去の学びをすぐ引き出せます。
8D(8 つのステップ)という考え方
クレーム対応の型として、自動車業界などでよく使われるのが 8D(エイト・ディー) と呼ばれる問題解決の進め方です。「8 つの Discipline(規律・ステップ)」の頭文字をとった呼び名です。
中身は、おおまかに ①チームを組む → ②問題をはっきりさせる → ③応急処置 → ④真因をつかむ → ⑤恒久対策を決める → ⑥効果を確かめる → ⑦再発防止(標準化・水平展開)→ ⑧振り返り・ねぎらい という流れです。お気づきのとおり、これはこの記事でここまで見てきた流れと、ほとんど同じです。中小企業では、8D の正式な様式をきっちり埋める必要はありません。「この 8 つの考え方の順で進める」という骨組みだけ を取り入れれば、それで十分に効果があります。
報告書は「責める書類」ではなく「学びを残す書類」
最後に、いちばん大事なことをお伝えします。是正処置報告書を、「誰のミスか」を追及する犯人探しの道具にしてはいけません。
報告書が犯人探しに使われると、現場は自分を守るために、本当のことを書かなくなります。「不注意でした」で片づけ、真因は闇に埋もれます。それでは再発は止まりません。報告書は、「次に同じことを起こさないための学びを、会社に残す書類」 です。この位置づけを、経営者・トップがはっきり示すことが大切です。トップが「原因は人ではなく仕組みにある」という姿勢を持てば、現場は安心して事実を出せるようになり、真因にたどり着けます。再発防止の文化は、この一点から生まれます。
よくある質問 Q&A
Q1: 応急処置と是正処置、どちらから手を付ければいいですか?
まずは応急処置(火を消す)が先です。お客様を待たせないためにも、被害を広げないためにも、まず今出ている問題を止める応急処置を素早く行います。ただし、そこで止めないことが肝心です。応急処置はあくまで当座の手当てで、原因は残ったままなので、必ず是正処置(二度と起こさない対策)まで進めてください。応急処置と是正処置はワンセットです。詳しくは「応急処置と是正処置の違い」の章で解説しています。
Q2: なぜなぜ分析は、何回「なぜ」を繰り返せばいいですか?
回数そのものにこだわる必要はありません。よく「なぜを 5 回」と言われますが、大事なのは回数ではなく、「仕組みの原因(標準の抜け・決めごとの不足など)」にたどり着くことです。目安として 3〜5 回ほど掘ると仕組みの原因が見えてくることが多いですが、2 回で届くこともあれば、もっと必要なこともあります。「不注意」「うっかり」で止めず、”仕組みをどう変えれば防げるか”が見えるところまで掘る、と考えてください。なぜなぜ分析の詳しい進め方は、▶ 改善の進め方 完全ガイド の記事群を参照してください。
Q3: 「なぜ発生」と「なぜ流出」を分けると、何がいいのですか?
対策を打つ場所が変わるからです。「なぜ発生したか」の対策は、不良が生まれる工程そのものに打ちます(発生源対策)。一方「なぜ流出したか」の対策は、それを止める検査の仕組みに打ちます。この 2 つは打ち先が違うので、片方だけを対策すると、もう片方の穴から再発します。両方をたどって、両方に手を打つ ── これが再発防止の効き目を大きく高めます。詳しくは「『なぜ流出したか』の視点」の章で解説しています。
Q4: 原因が「個人のミス」だったときも、仕組みで対策するのですか?
はい。個人のミスに見えるときこそ、仕組みで対策します。「なぜ、その人はミスをできてしまったのか」「なぜ、ミスに気づけない状態だったのか」まで掘ると、たいてい “ミスを誘発する仕組み” や “ミスを止められない仕組み” が見つかります。人を責めても再発は止まりません。誰がやってもミスしにくい・ミスしても止まる仕組みに変えることが、本当の対策です。詳しくは「再発防止を仕組み化する」の章で解説しています。
Q5: 是正処置報告書は難しそうです。簡単に始めるには?
まずは 6 項目の「1 枚メモ」から始めるのがおすすめです。「何が起きたか・応急処置・なぜ発生/なぜ流出・恒久対策・効果確認・水平展開」の 6 つを、1 枚に書くだけで十分です。特に、原因を「なぜ発生」と「なぜ流出」の 2 つに分けて書くようにするだけでも、対策の質がぐっと上がります。立派な様式より、続けられる形が大事です。詳しくは「是正処置報告書のまとめ方」の章で解説しています。
Q6: 水平展開は、どこまでやればいいですか?
「同じ原因が潜んでいそうな範囲」まで広げます。今回見つかった真因(たとえば “交換基準が決まっていない” など)が、他のどの工程・製品・設備でも起こりうるかを考え、当てはまる所を 1 つずつ点検していきます。似た加工・似た確認方法をしている所が対象です。全部を一度にやろうとせず、影響の大きそうな所から順に潰していけば十分です。詳しくは「是正処置の型」の章で解説しています。
まとめ
本記事で押さえてほしい 3 行サマリーは以下の通りです。
- クレーム対応は 初動(流出を止める・お客様対応)→ 応急処置(火を消す)→ 是正処置(二度と起こさない)→ 水平展開 の順。応急処置で止めると必ず再発する
- 是正処置は、「なぜ発生したか(発生源・工程)」と「なぜ流出したか(検査)」を分けて、なぜなぜ分析で真因までたどり、対策を 標準・手順書に落とす のが型
- 再発防止は 「人への注意」ではなく「仕組み化」。是正処置報告書(8D 的な考え方)は、責める書類ではなく学びを残す書類 と位置づける
クレーム対応と再発防止について解説しました。大事なのは、「クレーム対応 = 謝って作り直す」という思い込みを手放すことです。クレームは、確かにつらい出来事です。ですが、その 1 件を「なぜ起きて、なぜ流れたのか」まで掘り下げ、仕組みに落とし込めれば、それは会社を一段強くする学びに変わります。応急処置で火を消したら、そこで安心せず、必ず是正処置まで進んでください。最初から完璧な報告書は要りません。まずは「なぜ発生・なぜ流出」を分けて書く 1 枚から、始めてみましょう。1 件ずつ真因をつぶしていけば、同じクレームは、確実に減っていきます。
関連記事
- まとめ記事 ▶ 品質管理・品質保証 完全ガイド (品質管理〜検査〜不良対策の全体像・目次)
- ▶ 品質管理とは (工程で品質を作り込む ── 品質管理の基本)
- ▶ 検査の基本 (「なぜ流出したか」を止める流出防止の砦)
- ▶ 不良を減らす進め方 (「なぜ発生したか」をつぶす発生源対策)
- ▶ QC7つ道具ガイド (特性要因図で真因を洗い出す)
- ▶ 作業手順書の作り方 (再発防止を標準・手順書に落とす)
- まとめ記事 ▶ 改善の進め方 完全ガイド (★なぜなぜ分析の詳しい進め方はこちらから)
個別相談
自社のクレーム対応や再発防止の仕組みづくり、なぜなぜ分析による真因の掘り下げ方で迷ったら、▶ あすなろ経営研究所 で個別相談を承っています。中小企業診断士として、自動車工場での改善経験をもとに、応急処置で止めず真因までたどり、二度と同じ不良を出さない仕組みづくりのお手伝いをしています。
外部の公的情報源
- 中小企業ビジネス支援サイト J-Net21: https://j-net21.smrj.go.jp/
- 中小企業庁: https://www.chusho.meti.go.jp/
- 中小企業向け補助金・総合支援サイト ミラサポplus: https://mirasapo-plus.go.jp/
- 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 (中小機構): https://www.smrj.go.jp/
