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最終更新: 2026-07-13

💬 「生産管理をしっかりやれ」と言われるけど、そもそも生産管理って何をすることなの、、、?

💬 生産管理・工程管理・品質管理…似た言葉が多すぎて、違いがよく分からないんだよなぁ、、、。

💬 納期は遅れる、在庫は余る、コストは合わない…全部つながっている気がするけど、どこから手をつければ、、、。

そんな『生産管理とは何か』についての悩みにお答えします。

目次

☑ 記事の内容

  1. そもそも 生産管理とは何か・その目的 (QCD=品質・コスト・納期の最適化)
  2. 生産管理の 3大機能 (計画・手配・統制) と、その回り方
  3. 生産形態 (受注生産/見込生産・個別/ロット/連続) と、管理の違い
  4. 生産管理の 全体の流れ と、計画・在庫・原価とのつながり
  5. 中小製造業でつまずく点 / 見える化・改善との連動 と Q&A

わたしは自動車メーカーの工場で改善活動の指導を 10 年以上行ってきました。実績を金額に換算すると 1 億円以上の改善を行ってきた、いわゆる改善のプロです。今は中小企業診断士として、中小製造業の生産管理や原価管理のお手伝いをしています。その中で、生産管理がうまく回っている現場も、納期と在庫とコストの板挟みで疲れきっている現場も、数え切れないほど見てきました。生産管理は、言葉だけ聞くと難しそうですが、「計画・手配・統制」という3つの働き に分けて全体像を掴めば、はじめての方でも自社の何が弱いかが見えてきます。本記事では、わたしがふだん現場で説明している順番のまま、生産管理の地図を整理していきます。

そんなわたしが解説していきます。

本記事は 生産管理の全体像を、まず1枚の地図として掴む ための入口です。生産管理だけでなく、原価管理まで含めた全体像から知りたい方は、まずまとめ記事の ▶ 中小製造業の生産管理・原価管理 完全ガイド をご覧ください。また、生産管理は「コスト (原価)」と切っても切れません。原価がどう決まるのかを先に知りたい という方は、▶ 原価計算の基礎 から読み進めるのもおすすめです。

生産管理とは ── モノづくりを「QCD」で最適にコントロールする活動

まず、言葉の意味からそろえておきます。生産管理とは、「何を・いつ・どれだけ・どう作るか」を計画し、その通りに作れるよう手配し、計画どおり進んでいるかを見て直す、一連の活動 のことです。

ポイントは「作ること」そのものではなく、「作ることをうまく回すこと」だという点です。実際にモノを作るのは現場の作業ですが、その前後で「何をどれだけ作るか決める」「材料や人を段取りする」「遅れやズレを見つけて直す」という働きがなければ、現場は場当たりになってしまいます。この段取りと調整の全体を受け持つのが生産管理です。

生産管理とは ── 「何を・いつ・どれだけ・どう作るか」を決めて、その通りに回す活動

生産管理とは、モノづくりを「計画 → 手配 → 統制」の流れでコントロールする活動 のことです。

もう少し噛みくだくと、次の問いに答え続ける仕事です。

  • 何を、いつまでに、どれだけ作る必要があるのか (計画)
  • そのために、材料・人・設備・工程をどう段取りするのか (手配)
  • 計画どおり進んでいるか、遅れや不良が出ていないか (統制)

この3つを回し続けて、注文どおりのモノを、決めた品質・コスト・納期で届ける ── それが生産管理のゴールです。

生産管理の目的は「QCD」の最適化

生産管理の目的は、QCD の最適化 です。QCD とは、次の3つの頭文字をとった言葉です。

  • Q (Quality・品質) ── 良いモノを、ばらつきなく作る
  • C (Cost・コスト) ── ムダなく、安く作る
  • D (Delivery・納期) ── 決めた期日に、間に合わせる

大事なのは、この3つは 同時に引っぱり合う関係 だということです。たとえば納期を最優先で急げば、確認が甘くなって品質が落ちたり、残業でコストが上がったりします。逆に品質を上げようと検査を増やせば、時間もお金もかかります。

つまり生産管理とは、この綱引きの中で、3つのバランスをできるだけ良いところに持っていく仕事 なのです。「どれか1つだけを完璧にする」ことではありません。ここを押さえておくと、後の話が一本の筋で理解できます。

生産管理・工程管理・品質管理の関係 ── 混同しやすい言葉を1枚で整理

生産管理と似た言葉に「工程管理」「品質管理」があります。ここで混乱する方が多いので、関係を整理しておきます。

  • 生産管理 ── いちばん大きな傘。計画・手配・統制の全体を受け持つ
  • 工程管理 ── その中で「計画どおりに工程が進んでいるか」を見る部分 (統制の一部)
  • 品質管理 ── その中で「品質を保つ・良くする」ことに絞った部分

つまり、工程管理も品質管理も、大きくは生産管理の一部 です。似た言葉に見えて、上下・包含の関係があると分かれば、社内で言葉が飛び交っても迷わなくなります。工程管理そのものの詳しい進め方は別記事で扱う予定なので、本記事では「生産管理という大きな傘の中にある」という位置づけだけ押さえておいてください。

なぜ生産管理が必要か ── 「なんとなく回している」現場で起きること

「生産管理なんて大げさなことをしなくても、うちは回っている」── そう感じる方もいるかもしれません。ですが、生産管理が弱い現場では、じわじわと 4 つの問題がたまっていきます。

生産管理が弱いと起きる 4 つの問題

生産管理の働きが弱い、あるいは特定の人の勘だけに頼っている現場では、次のような問題が起きます。

  1. 納期遅れ・欠品 ── 「いつ・どれだけ」が曖昧なため、間に合わない・作りそびれる
  2. 在庫の偏り ── 余るものは倉庫にあふれ、必要なものは足りない、という偏りが出る
  3. 原価が読めない・利益が残らない ── 作り方やムダが見えず、いくらで作れているか分からない
  4. 現場が場当たり対応で疲れる ── 割り込み・段取り替え・催促に追われ、いつも慌ただしい

生産管理は、この4つをまとめて防ぐための土台になります。

「勘と経験」だけでは限界が来る

小さいうちは、ベテランの頭の中だけで生産管理が回っていることがよくあります。品目が少なく、顔なじみの取引先が中心なら、それでも回ります。

ですが、扱う品目や受注のパターンが増えてくると、人の頭では回しきれなくなります。「あの人が休むと計画が止まる」「頭の中にしかないから引き継げない」という状態は、危うい状態です。ある程度の規模になったら、勘と経験を「仕組み」に置き換えていく発想が必要になります。

生産管理は「つながり」を管理する

生産管理のもう一つの役割は、営業・調達・製造・出荷を1本の流れとしてつなぐ ことです。

営業が受けた注文、調達がそろえる材料、製造が作る現場、出荷が届ける物流 ── これらがバラバラに動くと、どこかで必ず詰まります。「営業は受注したのに材料が間に合わない」「作ったのに出荷の段取りができていない」といったことです。生産管理は、この部門と部門のつなぎ目を見て、流れが止まらないように調整する役割を担っています。

生産管理の3大機能 ── 計画・手配・統制

ここからが本題です。生産管理は、大きく 「計画・手配・統制」の3つの機能 に分けられます。この3つの働きと、その回り方さえ掴めば、生産管理の骨格が見えてきます。

生産管理の3大機能 (計画・手配・統制)

① 決める 計画 何を・いつ・どれだけ作るか

② 段取る 手配 材料・人・設備・工程をそろえる

③ 見て直す 統制 計画どおり進んでいるか見て直す

実績を次の計画へフィードバック

順番は 決める → 段取る → 見て直す。統制で分かった実績を計画に返して、ぐるぐる回り続ける

3大機能の早見

生産管理の3大機能は、次の3つです。

#機能ひとことで言うと何をするか
計画決める何を・いつ・どれだけ作るかを決める (生産計画)
手配段取る材料・人・設備・工程を、計画どおりにそろえる
統制見て直す計画どおり進んでいるか見て、ズレたら手を打つ

順番は「決める → 段取る → 見て直す」です。そして、統制で分かったこと (実績) を次の計画に返して、また回します。順に見ていきます。

① 計画 ── 何を・いつ・どれだけ作るかを決める

計画とは、「何を・いつまでに・どれだけ作るか」を先に決める働き のことです。生産計画とも呼びます。

受注や需要の見込みをもとに、いつ・どれだけ作れば間に合うかを組み立てます。ここが曖昧だと、後の手配も統制もぶれてしまうので、生産管理の出発点になります。なお、生産計画を実際にどう立てるか (必要な数をどう読むか、設備や人の負荷をどう見るか) という具体的な立て方は、別記事「生産計画の立て方」で近日公開予定です。本記事では「計画が生産管理の起点である」という位置づけを押さえておいてください。

② 手配 ── 材料・人・設備・工程を段取りする

手配とは、計画を実現するために、必要なもの・人・工程をそろえる働き のことです。

具体的には、次のような段取りを指します。

  • 資材の手配 ── 必要な材料・部品を、必要な時期までにそろえる (発注・入荷)
  • 工程の手配 ── どの設備で、誰が、どの順番で作るかを割り付ける

計画で「何をどれだけ」が決まっても、材料が間に合わなければ作れませんし、設備が空いていなければ着手できません。手配は、計画と現場の間をつなぐ段取りの働きです。ここが弱いと、現場は「材料待ち」「段取り待ち」の手待ちだらけになってしまいます。

③ 統制 ── 計画どおり進んでいるか見て、ズレたら直す

統制とは、計画どおりに進んでいるかを見て、ズレていたら手を打つ働き のことです。生産管理の中でも、現場でいちばん動きのある部分です。

統制には、いくつかの見る観点があります。

  • 進捗管理 ── 予定に対して、作業がどこまで進んでいるか
  • 現品管理 ── モノが今どこに・どれだけあるか (仕掛品の把握)
  • 余力管理 ── 設備や人に、どれだけ余力・過負荷があるか

見て、ズレを見つけたら、応援を入れる・順番を変える・残業を調整するといった手を打ちます。計画を立てっぱなしにせず、現実に合わせて舵を切り続ける のが統制の役割です。

3つは「回り続けるサイクル」

ここが大事なところです。計画・手配・統制は、1回やって終わりではありません。統制で分かった実績 (遅れの原因、実際にかかった時間など) を、次の計画に返して回します

たとえば「この工程はいつも計画より遅れる」と統制で分かれば、次の計画では余裕を持たせる、あるいは工程そのものを改善する、といった手が打てます。こうして、計画 → 手配 → 統制 → また計画、とぐるぐる回り続けるからこそ、生産管理は少しずつ精度が上がっていきます。生産管理が「終わりのない活動」と言われるのは、このためです。

生産形態を知る ── 自社の作り方で管理は変わる

生産管理のやり方は、「どんな作り方をしている会社か」で重点が変わります。ここを飛ばして一般論だけ覚えても、自社に当てはまりません。まず、自社の生産形態を見立てておきましょう。

受注生産と見込生産 ── いつ作るかで在庫リスクが変わる

1つ目の軸は、注文を受けてから作るか、需要を見込んで先に作るか です。

  • 受注生産 ── 注文を受けてから作る。売れ残りの在庫リスクは小さいが、納期 (作る時間) を待たせやすい
  • 見込生産 ── 需要を見込んで、先に作っておく。すぐ渡せるが、読みが外れると在庫が余る

どちらが良い・悪いではなく、在庫リスクと納期のどちらを取るかのちがい です。受注生産なら「納期をどう短くするか」、見込生産なら「需要をどう読み、在庫をどう持つか」が管理の重点になります。

個別生産・ロット生産・連続生産 ── まとめ方で段取りが変わる

2つ目の軸は、どういう単位で作るか です。

  • 個別生産 ── 1点ずつ、その都度ちがうものを作る (オーダーメイド寄り)
  • ロット生産 ── 同じものを、ある程度まとめて作る (段取り替えをしながら品種を切り替える)
  • 連続生産 ── 同じものを、流し続けて作る (大量・少品種)

ここでの重点は、段取り替えと平準化 (仕事の山谷をならすこと) です。個別生産は都度の段取りが多く、ロット生産は「まとめる大きさ (ロットサイズ)」の取り方がカギになり、連続生産は流れを止めないことが大事になります。

自社の生産形態を見立てる

実際の中小製造業は、きれいに1つの形に収まらないことがほとんどです。「受注寄りだけど、定番品は見込みで少し作る」「基本はロット生産だが、特注は個別」 といった混在型が普通です。

大切なのは、まず自社が「だいたいどのあたりにいるか」を見立てることです。作り方が分かれば、力を入れるべき管理の重点 (在庫・納期・段取りのどれか) が見えてきます。自社を地図の上に置いてみる ── これが生産管理を自分ごとにする第一歩です。

生産管理の全体の流れ ── 受注から出荷まで、どこで何を管理するか

3大機能と生産形態が分かったら、次は「実際にモノがどう流れ、どこで何を管理するのか」を1本の流れで見てみましょう。

生産管理の全体フロー (受注から出荷まで)

受注・需要予測 何を作るか掴む

生産計画 いつ・どれだけ

手配 資材・工程を段取り

製造 現場でモノを作る

統制 進捗・品質を見る

出荷 できたモノを届ける

実績のフィードバック → 次の計画へ

脇でつながる → 在庫 計画と実需のズレは「在庫」として残る (適正在庫・発注点は別記事へ) 脇でつながる → 原価 作り方・段取り・ムダは、そのまま「原価」に乗る (原価計算の基礎へ)

全体フローの一覧

生産管理の全体の流れは、大きく次のように進みます。

  1. 受注・需要予測 ── 何を、どれだけ作る必要があるかを掴む
  2. 生産計画 ── いつ・どれだけ作るかを決める
  3. 手配 (資材・工程) ── 材料・人・設備を段取りする
  4. 製造 ── 現場でモノを作る
  5. 統制 (進捗・品質) ── 計画どおり進んでいるか見て、ズレを直す
  6. 出荷 ── できたモノを届ける
  7. 実績のフィードバック ── かかった時間や遅れの原因を、次の計画に返す

この流れの上に、先ほどの「計画・手配・統制」がちょうど乗っています。順に見ていきます。

入口 ── 受注・需要予測から始まる

流れの入口は、「何を作る必要があるか」を掴む ところです。受注生産なら受けた注文が、見込生産なら需要の見込み (需要予測) が出発点になります。

ここが実際の必要とズレると、後の計画も在庫もすべてズレていきます。ですから、入口の情報をできるだけ正確に掴むことが、流れ全体の精度を左右します。

中核 ── 生産計画で「いつ・どれだけ」を決める

流れの中核が、生産計画です。入口で掴んだ必要量をもとに、いつ・どれだけ作れば間に合うか を組み立てます。ここで設備や人の負荷 (能力) も見て、無理のない計画にします。

生産計画の出来が、この後の手配・製造・統制すべての土台になります。計画の具体的な立て方 (必要数の読み方、負荷の見方など) は、別記事「生産計画の立て方」で近日公開予定です。本記事では「計画が流れの中核である」という位置づけを掴んでおいてください。

現場 ── 手配・製造・統制でモノを作りきる

計画が決まったら、現場のフェーズです。手配で段取りをそろえ、製造で実際に作り、統制で進み具合と品質を見ながら作りきります

ここは、これまで解説してきた「手配」と「統制」がまさに動く場面です。材料をそろえ、工程を割り付け、進捗と品質を見て、遅れが出たら手を打つ ── この現場での回し方が、納期と品質を左右します。

出口とフィードバック ── 出荷し、実績を次に返す

流れの出口は出荷です。そして忘れてはいけないのが、出荷して終わりにせず、実績を次の計画に返す ことです。

このとき、生産管理は「在庫」と「原価」に直接つながります。計画と実需のズレは在庫として残りますし、作るのにかかった手間やムダはそのまま原価になります。在庫の適正な持ち方は別記事「在庫管理 (適正在庫・発注点)」で近日公開予定です。原価がどう決まるかは、▶ 原価計算の基礎 で解説しています。生産管理は、この2つと切り離せません。次の H2 で、そのつながりを整理します。

生産管理と「在庫」「原価」のつながり ── 全部つながっている

冒頭の悩みに「納期は遅れる、在庫は余る、コストは合わない…全部つながっている気がする」とありました。その通りで、生産管理・在庫・原価は1本でつながっています。ここでその関係を整理します。

在庫とのつながり ── ズレが在庫になる

在庫は、計画と実際の需要のズレが形になったもの です。多めに作れば余り、少なめに作れば欠品します。つまり、在庫が余る・足りないのは、多くの場合「生産管理の結果」なのです。

在庫を持ちすぎればお金と置き場を圧迫し、少なすぎれば欠品して機会を失います。この「ちょうど良い在庫 (適正在庫)」をどう決めるか、いつ・どれだけ発注するか (発注点) といった具体的な考え方は、別記事「在庫管理 (適正在庫・発注点)」で近日公開予定です。ここでは「在庫は生産管理と直結している」ことを押さえてください。

原価とのつながり ── 作り方がそのまま原価になる

原価とのつながりも見逃せません。どう作るか (段取り・不良・手待ち・作りすぎ) が、そのまま原価に乗ってきます。ムダの多い作り方をすれば、同じモノでも原価は高くなります。

だからこそ、生産管理を良くすることは、原価を下げることに直結します。原価がそもそもどう成り立っているか (材料費・労務費・経費の3つ) という基礎は、▶ 原価計算の基礎 で解説しています。生産管理と原価をセットで見られるようになると、「利益の残る作り方」に近づけます。

QCDは「三すくみ」で考える

ここで、最初に出てきた QCD (品質・コスト・納期) に戻ります。品質・コスト・納期は、どれか1つを立てると、他が崩れやすい「三すくみ」の関係 にあります。

  • 納期を急げば ── 品質が落ちたり、残業でコストが上がったりしやすい
  • 品質を上げれば ── 検査や手間が増えて、コスト・納期に響きやすい
  • コストを削れば ── 品質や納期にしわ寄せが行きやすい

生産管理の腕の見せどころは、この三すくみの中で、どれも大きく崩さずにバランスを取ること です。「1つだけ完璧」を目指すと、必ずどこかが破綻します。3つを同時に見る目 ── これが生産管理の背骨だと言えます。

中小製造業が生産管理でつまずく 5 つの点 ── あるあると対処の方向

最後に、わたしが中小製造業の現場でよく見てきた「生産管理でつまずく点」を 5 つ整理します。裏を返せば、ここを押さえれば生産管理は前に進みます。

つまずき1 ── 生産管理が特定の人の頭の中にある

いちばん多いのが、これです。生産管理がベテラン1人の頭の中にあり、その人がいないと計画も段取りも回らない 状態です。属人化とは、特定の人にしかできない状態のことです。

対処の方向は、頭の中にあるやり方を「見える形」にして、外に出すことです。標準化・見える化を進めると、少しずつ人から仕組みへ移していけます。

つまずき2 ── 計画が「なんとなく」で、実績と比べられない

計画が勘だけで、しかも「立てっぱなし」で実績と比べていないパターンです。これでは、計画が良かったのか悪かったのかも分かりません。

対処の方向は、まず 計画と実績を並べて見る ことです。「予定何個・実際何個」「予定何時間・実際何時間」を並べるだけでも、ズレの傾向が見えてきます。統制の第一歩は、この「並べて見る」ことから始まります。

つまずき3 ── 情報が口頭・紙・バラバラのExcelに散っている

受注は営業の頭の中、在庫は倉庫の紙、進捗は現場の口頭 ── というように、情報があちこちに散らばっている 状態です。これだと、全体が誰にも見えません。

対処の方向は、情報を1か所に集めて共有することです。いきなり大きなシステムを入れる必要はありません。まずは「どこを見れば全体が分かるか」を1つ決めるだけでも、流れが見えやすくなります。

つまずき4 ── 進捗・在庫・原価が「見えない」

進捗も在庫も原価も、数字として見えていない現場は多いです。見えなければ、手の打ちようがありません。

対処の方向は、見える化から始める ことです。まず現状を数字やグラフで見えるようにし、そこから「どこがまずいか」を掴みます。見える化の進め方は、▶ 改善の進め方 完全ガイド にまとめています。

つまずき5 ── 改善が単発で続かない

「思い立ったときだけ改善して、また元に戻る」というパターンです。単発の改善は、続かなければ効果が消えてしまいます。

対処の方向は、まず標準 (決めたやり方) を作り、そこから改善を積み上げる ことです。決めたやり方があるからこそ、「そこからどう良くするか」を比べられます。標準を決める考え方は ▶ 標準作業とは(トヨタ式)、改善を続ける進め方は ▶ 改善の進め方 完全ガイド で解説しています。生産管理と改善は、この「標準」でつながっています。

よくある質問 Q&A

Q1: 生産管理と工程管理は何が違いますか?

生産管理のほうが大きな概念です。生産管理は「計画・手配・統制」の全体を受け持つ活動で、工程管理はその中の『統制 (計画どおり工程が進んでいるか見る)』にあたる部分 です。品質管理も同じく生産管理の一部です。似た言葉ですが、生産管理という大きな傘の中に工程管理・品質管理がある、と捉えると整理できます。

Q2: 小さな会社でも生産管理は必要ですか?

必要です。むしろ、人が少ない会社ほど、1つのつまずきが全体に響きます。ただし、大きな会社と同じ仕組みを入れる必要はありません。まずは「計画と実績を並べて見る」「情報を1か所に集める」といった、小さくてもできることから始めるのがおすすめです。規模に合った生産管理で十分に効果は出ます。

Q3: 生産管理は何から始めればいいですか?

まず 自社の現状を見える化する ことから始めてください。進捗・在庫・原価のうち、いちばん困っているものを1つ選び、それを数字で見えるようにします。見えれば、どこがまずいかが分かり、次の手が打てます。いきなり全部をやろうとせず、1つの流れを見えるようにするところからで十分です。

Q4: 受注生産だと生産計画は立てられないのでは?

受注生産でも計画は立てられます。確かに「先に見込みで作る」ことはしませんが、受けた注文をいつ・どの順で・どれだけの負荷で作るか を決めるのは、立派な生産計画です。むしろ受注生産では、限られた設備と人をどう割り付けるか (負荷の調整) が計画のカギになります。詳しい立て方は別記事「生産計画の立て方」で近日公開予定です。

Q5: 生産管理システムを入れれば解決しますか?

システムは強力な道具ですが、入れただけでは解決しません。生産管理のやり方 (何を計画し、何を統制するか) が整理されていないままシステムを入れると、混乱をそのままデジタルに移すだけになりがちです。まずは「計画・手配・統制をどう回すか」を紙やExcelレベルで整理し、回り始めてからシステム化に進むのが失敗の少ない順番です。

Q6: QCDのうち、どれを優先すればいいですか?

これは自社の置かれた状況によります。納期で信頼を得ている会社は納期を、品質で選ばれている会社は品質を軸にする のが基本です。ただし、どれか1つだけを追うと他が崩れる「三すくみ」の関係なので、「今はどれを主軸に置き、他をどこまで守るか」をセットで決めるのがコツです。全部を同時に完璧にはできない、という前提で優先順位を決めてください。

まとめ

本記事で押さえてほしい 3 行サマリーは以下の通りです。

  1. 生産管理は 「何を・いつ・どれだけ・どう作るか」を回し、QCD (品質・コスト・納期) を最適にする 活動
  2. 3大機能は 「計画・手配・統制」。統制で得た実績を計画に返して回り続ける
  3. 生産管理は 在庫・原価と直結 する。まず全体像を掴み、見える化・標準化から一歩ずつ進める

生産管理とは何かについて解説しました。言葉だけ聞くと難しそうですが、要は 「決める (計画)・段取る (手配)・見て直す (統制)」を回し続ける活動 です。そして、それが在庫や原価とつながっていて、QCDのバランスを取ることがゴールになります。まずは自社の生産形態を見立て、いちばん困っている流れを1つ見える化するところから始めましょう。コツコツと積み上げて、納期・品質・コストの揃った現場を作っていきましょう。

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