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工程管理・進捗管理とは

最終更新: 2026-07-14

💬 生産計画は立てたのに、その通りに進まない。工程管理ってどうやればいいの、、、?

💬 遅れに気づくのがいつも「納期直前」で、そこから慌てて挽回…を毎回くり返しているんだよなぁ、、、。

💬 進捗を見える化しろと言われるけど、何を・どう見えるようにすればいいのか分からない、、、。

そんな『工程管理・進捗管理』についての悩みにお答えします。

目次

☑ 記事の内容

  1. そもそも 工程管理とは何か (生産統制の中核・計画どおりに作りきる働き)
  2. 計画と実績のギャップ をどう管理するか
  3. 進捗管理の 道具と見える化 (ガントチャート・製造指示・現品票・かんばん的な仕組み)
  4. 遅れの検知と手の打ち方 / 余力管理・優先順位のつけ方
  5. 中小製造業でつまずく点 / 見える化・改善との連動 と Q&A

わたしは自動車メーカーの工場で改善活動の指導を 10 年以上行ってきました。実績を金額に換算すると 1 億円以上の改善を行ってきた、いわゆる改善のプロです。今は中小企業診断士として、中小製造業の生産管理や原価管理のお手伝いをしています。その中で、工程が計画どおりスッと流れていく現場も、毎日のように遅れと催促に追われて疲れきっている現場も、数え切れないほど見てきました。工程管理は、言葉だけ聞くと難しそうですが、「計画 → 指示 → 進捗把握 → 手を打つ」を回すこと だと分かれば、はじめての方でも自社の何が弱いかが見えてきます。本記事では、わたしがふだん現場で説明している順番のまま、計画どおりに作りきるための工程管理・進捗管理を整理していきます。

そんなわたしが解説していきます。

本記事は 生産計画を「計画どおりに実行しきる」ための工程管理・進捗管理 を扱う内容です。そもそも生産管理の全体像 (計画・手配・統制) から掴みたい方は、まず ▶ 生産管理とは(計画・手配・統制) を読んでください。工程管理は、その中の「統制」を現場で回す部分にあたります。また、工程管理は どんな計画に沿って回すか で進め方が変わります。計画そのものの立て方から知りたい という方は、▶ 生産計画の立て方 から読み進めるのもおすすめです。生産管理〜原価管理までの全体像は、まとめ記事 ▶ 中小製造業の生産管理・原価管理 完全ガイド にまとめています。

工程管理とは ── 「計画どおりに作りきる」生産統制の中核

まず、言葉の意味からそろえておきます。工程管理とは、立てた生産計画どおりに工程を進め、遅れやズレを見つけたら手を打って、決めた納期に作りきる活動 のことです。進捗管理とほぼ同じ意味で使われることも多く、どちらも「計画と現実のギャップを見て、埋め続ける仕事」だと考えてください。

ポイントは、工程管理は「計画を立てる仕事」ではなく、立てた計画を守り抜く仕事 だという点です。どんなに良い計画を立てても、現場でその通りに進まなければ意味がありません。計画と現実のあいだに立って、ズレたら舵を切り直す ── この現場での回し方を受け持つのが工程管理です。

工程管理のPDCA ── 計画 → 指示 → 進捗把握 → 手を打つ

工程管理 = 生産統制の中核

① 計画 いつ・どの工程で・何を作るか

② 指示 製造指示・現品票で流す

③ 進捗把握 予定に対し今どこまで

④ 手を打つ 応援・順番替え・残業で挽回

1回で終わりではなく、この4つを回し続けて納期に作りきる

工程管理とは ── 「計画 → 指示 → 進捗把握 → 手を打つ」を回す活動

工程管理とは、生産計画を現場で回しきるために、次の4つをぐるぐる回す活動 のことです。

  • 計画 ── いつ・どの工程で・何を・どれだけ作るかを決める (小さな単位の日程計画)
  • 指示 ── 決めた内容を製造指示・現品票などで現場に流す
  • 進捗把握 ── 予定に対して、今どこまで進んでいるかを見る
  • 手を打つ ── 遅れやズレがあれば、応援・順番替え・残業などで挽回する

この4つを回し続けて、注文どおりのモノを、決めた納期に作りきる ── それが工程管理のゴールです。1回で終わりではなく、回し続けるのが肝心です。

工程管理は「生産統制」の中核 ── 生産管理の「統制」を現場で回す部分

工程管理は、生産管理の中のどこに位置するのでしょうか。ここを整理しておくと、社内で言葉が飛び交っても迷わなくなります。

生産管理は、大きく 「計画・手配・統制」の3つの働き に分けられます。このうち、計画どおり進んでいるか見て、ズレたら直す「統制」を現場で回す中核が、工程管理 です。「生産統制」という言い方をすることもありますが、ほぼ同じものを指していると考えて差し支えありません。

  • 生産管理 ── いちばん大きな傘。計画・手配・統制の全体を受け持つ
  • 統制 (生産統制) ── そのうち「計画どおり進んでいるか見て直す」部分
  • 工程管理・進捗管理 ── 統制を、日々の工程・進捗のレベルで回す実務

生産管理そのものの全体像は ▶ 生産管理とは(計画・手配・統制)▶ 生産管理の基本機能とは で解説しています。本記事は、その「統制」を現場で回す部分に絞って深掘りします。

進捗管理・現品管理・余力管理 ── 工程管理で並行して見る3つの目

工程管理では、実は3つの「見る目」を同時に働かせます。まとめて押さえておくと、後の話がつながります。

  • 進捗管理 ── 予定に対して、作業がどこまで進んでいるか (遅れていないか) を見る
  • 現品管理 ── モノ (仕掛品) が今どこに・どれだけあるかを見る
  • 余力管理 ── 人や設備に、どれだけ余力・過負荷があるかを見る

進捗だけを見ていても、モノがどこで止まっているか (現品) や、そもそも能力が足りているか (余力) が見えないと、手の打ちようがありません。この3つはセットで働きます。本記事では、進捗管理を中心に据えつつ、現品管理は道具の話で、余力管理は優先順位の話で扱っていきます。

なぜ工程管理が必要か ── 計画と実績のギャップを放っておくと起きること

「計画は立てているし、あとは現場がちゃんと作ってくれれば大丈夫」── そう感じる方もいるかもしれません。ですが、計画を立てっぱなしで実績と比べない現場では、じわじわと問題がたまっていきます。

「計画は立てた、あとは現場任せ」で起きる 4 つの問題

計画を立てるところで満足してしまい、その後の進捗を見ていない現場では、次のような問題が起きます。

  1. 遅れの発見が遅い ── 予定と実際を比べていないため、遅れに気づくのが納期直前になる
  2. 催促と割り込みに追われる ── 遅れが表に出ないので、得意先からの催促でようやく動く後手の対応になる
  3. 仕掛品がたまり、どこで詰まっているか分からない ── 工程の途中でモノが滞留し、全体のどこがボトルネックか見えない
  4. 納期回答が勘になる ── 今どこまで進んでいるか分からないので、「いつできますか?」に自信を持って答えられない

工程管理は、この4つをまとめて防ぐための土台になります。

工程管理は「計画と実績のギャップ」を管理する

工程管理の本質を一言で言うと、計画 (予定) と実績 (実際) を並べて、その差を見つけて埋めること です。

  • 予定では今日 100 個できているはずが、実際は 80 個しかできていない ── これがギャップです
  • このギャップが見えて初めて、「20 個分どう挽回するか」という手が打てます

逆に言うと、計画と実績を並べていない現場は、そもそもギャップに気づけません。気づけないものは、直しようがありません。工程管理とは、この「ギャップを見える状態にして、埋め続ける」仕事だと考えてください。

立てた計画は「守るための基準」── 立てて終わりにしない

ここで押さえておきたいのが、計画の位置づけです。計画は、立てて終わりの「予定表」ではありません。そこからのズレを測るための基準 です。

基準があるからこそ、「予定より遅れている/進んでいる」が分かります。基準がなければ、今の状態が良いのか悪いのかも判断できません。工程管理は、この基準 (計画) と現実を突き合わせ続ける営みなのです。なお、その基準となる計画を具体的にどう立てるか (必要な数の読み方、設備や人の負荷の見方など) は ▶ 生産計画の立て方 で解説しています。本記事では「立てた計画をどう守り抜くか」に集中します。

進捗管理の道具 ── ガントチャート・製造指示・現品票・かんばん的な仕組み

計画と実績のギャップを見るには、道具が要ります。ここでは、進捗と現品を「見える」ようにする代表的な道具を整理します。どれも特別なものではなく、中小製造業でもすぐ始められるものばかりです。

進捗を「見える」ようにする2つの形

① ガントチャート ── 予定バーと実績バーを重ねて遅れを見る 日付 → 工程A 工程B 工程C ← 予定より遅れ 予定 実績 遅れ (目立たせる)

② 進捗ボード ── 「未着手 / 仕掛 / 完了」の列にカードを並べる 未着手 仕掛 完了 オーダー #105 オーダー #101 オーダー #102 オーダー #103 ↑ ここに山積み = 詰まっている候補 オーダー #100

ガントチャート・工程表 ── 予定と実績を横に並べて遅れを見る

ガントチャートとは、横軸に時間 (日付)、縦軸に工程やオーダーをとって、いつ・何を・どこまでやるかを棒 (バー) で示した図 のことです。工程表とも呼びます。

予定のバーの下に実績のバーを重ねて描くと、遅れているところが一目で分かります。「この工程はいつも予定より右にずれる (=遅れる)」といった傾向も見えてきます。まずは主要な工程・オーダーだけでも、予定と実績を並べて描くところから始めるのがおすすめです。

製造指示・作業指示 ── 計画を現場の動きに変える

製造指示 (作業指示) とは、「何を・どれだけ・いつまでに作るか」を現場に伝える指示 のことです。

計画をいくら精密に立てても、それが現場に伝わらなければモノは作られません。製造指示は、計画を現場の具体的な動きに変える橋渡しです。ここが曖昧だと、「何を優先して作ればいいのか分からない」「指示が口頭で流れて記録に残らない」といったことが起き、進捗も追えなくなります。指示は、後で進捗と突き合わせられるように、番号や数量をひもづけて残しておくのがコツです。

現品票・現品管理 ── モノに情報を付けて「今どこに何があるか」を追う

現品票とは、モノ (材料・仕掛品・製品) に付ける、品番・数量・工程・指示番号などを書いた札やラベル のことです。現品管理は、この現品票を使って「今どこに・何が・どれだけあるか」を追う働きを指します。

現品票がモノに付いていれば、仕掛品が工程の途中で止まっていても、それが「どのオーダーの・どの工程のものか」がすぐ分かります。逆に現品票がないと、モノと情報がバラバラになり、「これは何のために作りかけたものだっけ?」という迷子の仕掛品が生まれます。モノと情報をひもづけておくことが、進捗を追う土台になります。

かんばん的な仕組み ── 「後工程が使った分だけ作る」で作りすぎを抑える

かんばん的な仕組みとは、後工程が使った分だけ、前工程が作り足す「引っぱる (プル)」やり方 のことです。もともとはトヨタ生産方式で有名になった考え方です。

前工程が「たぶん要るだろう」と先回りして作ると、後工程で使われないモノ (作りすぎ) が仕掛品としてたまります。かんばん的な仕組みは、使われた合図 (かんばん) が戻ってきて初めて作るので、作りすぎと仕掛の膨張を抑えられます。すべての現場にそのまま導入できるわけではありませんが、「後工程の使う分に合わせて作る」という考え方は、進捗と在庫を軽くするうえで参考になります。

道具は「大がかりでなくてよい」── 紙・ホワイトボード・Excel から

ここまで道具を並べてきましたが、大切なことを1つ。最初から高価なシステムを入れる必要はありません

ガントチャートはホワイトボードや Excel で描けますし、進捗ボードは付箋とホワイトボードで作れます。現品票は紙の札で十分始められます。まずは「1つ、進捗が見える状態」を作ることが先です。手で回してみて、何を見れば手が打てるかが分かってから、システム化を考えても遅くありません。道具に振り回されず、まず見える状態を作りましょう。

進捗の見える化 ── 何を・どこまで見えるようにするか

道具がそろったら、次は「どう見せるか」です。進捗の見える化は、工程管理の心臓部です。ここを外すと、道具があっても宝の持ち腐れになります。

進捗の見える化とは ── 「今どこまで進んだか」を誰が見ても分かる形にする

進捗の見える化とは、予定に対して「今どこまで進んでいるか」を、その場にいる誰が見てもすぐ分かる形にすること です。

大事なのは「誰が見ても」という点です。特定のベテランに聞かないと分からない状態は、見える化とは言えません。ボードやグラフを見れば、担当でなくても遅れが分かる ── これが目指す状態です。なお、見える化そのものの目的や進め方の全体像は、▶【まずはコレから】「見える化」の目的 6つあり で解説しています。本記事では、進捗に絞った見せ方を扱います。

進捗ボードで「今の状態」を見せる

進捗ボードとは、仕事の状態を「未着手・仕掛・完了」といった列に分けて並べ、今の流れを一目で見せるボード のことです。かんばん方式の考え方を、進捗の見せ方に応用したものだと考えてください。

オーダーや製造指示を1枚のカード (付箋) にして、進むにつれて左から右へ動かしていきます。こうすると、どの列にモノがたまっているか ── つまりどこで詰まっているか ── がすぐ見えます。「仕掛」の列にカードが山積みなら、そこがボトルネックの候補です。特別な道具はいらず、ホワイトボードと付箋から始められます。

予定と実績を「並べて」見せる

見える化のいちばんの基本は、予定と実績を、同じ場所に並べて見せること です。

  • 予定何個 ── 実際何個 (数量のギャップ)
  • 予定何時間 ── 実際何時間 (工数のギャップ)

この2つを並べるだけでも、ズレの傾向がはっきり見えてきます。予定と実績が別々の紙・別々の画面にあると、いちいち突き合わせる手間がかかり、結局誰も見なくなります。「並べる」だけで、見える化の効果は大きく変わります

遅れは「早く・目立つように」出す

見える化でもう1つ大事なのが、遅れを隠さず、早く・目立つように出すこと です。

遅れを色 (赤など) や位置で目立たせ、小さいうちに気づける状態にします。ここで気をつけたいのは、遅れを出した人を責めない文化をセットにすることです。遅れを出すと怒られる現場では、遅れが隠れてしまい、発覚したときには手遅れになります。「早く出したほうがみんなで助けられる」という空気をつくることが、見える化を機能させるカギです。見える化は、道具だけでなく、この使われ方まで含めて初めて効きます。

遅れの検知と手を打つ ── ギャップを見つけたらどう挽回するか

進捗が見えるようになったら、次は「遅れを見つけたら、どう手を打つか」です。見えるだけで手を打たなければ、意味がありません。ここが工程管理のいちばん動きのある場面です。

まず「遅れを検知する」── 兆候を早くつかむ

手を打つ前に、まず遅れを早く検知します。遅れの兆候は、次のようなところに現れます。

  • 予定対実績のギャップ ── 予定より実績が下回っている
  • 仕掛の滞留 ── 特定の工程にモノがたまり始めている
  • 工程の手待ち ── 前工程が遅れ、後工程が手を止めて待っている

これらは、見える化ができていれば早い段階で見つかります。遅れは、小さいうちほど挽回しやすい ものです。納期直前まで気づかなければ、打てる手はほとんど残りません。だからこそ、日々の進捗確認が効いてきます。

その場で打てる手 ── 応援・順番替え・残業・外注

遅れを見つけたら、まずはその場で打てる短期の挽回策を考えます。代表的なものは次の通りです。

  • 応援を入れる ── 手の空いた人・設備を遅れている工程に回す
  • 作業の順番を替える ── 納期の近いものを先に通す
  • 残業・シフトで能力を足す ── 一時的に稼働時間を増やす
  • 一部を外注する ── 社内で間に合わない分を外に出す

どれも「今ある遅れを埋める」ための手当てです。状況に応じて組み合わせます。ただし、これらはあくまで対症療法だという点は意識しておいてください。

繰り返す遅れは「真因」をつぶす

その場の挽回だけを続けていると、同じ遅れが何度も起きます。毎回同じ工程で遅れるなら、それは偶然ではなく、原因が現場に埋まっている サインです。

このときは、対症療法ではなく、原因そのものを改善します。「なぜその工程はいつも遅れるのか」を掘り下げ (段取り替えが多い/設備が古い/人が足りない、など)、真因をつぶします。この「なぜ」を掘り下げて原因をつぶす進め方は、▶ 改善の進め方 完全ガイド にまとめています。工程管理と改善は、この「繰り返す遅れ」でつながっています。

構造的に遅れを減らすなら ── 流れを速くする

もう一歩進んで、そもそも遅れが起きにくい流れをつくる という方向もあります。工程の途中の停滞 (仕掛が待っている時間) や手待ちを減らして、全体の流れを速くするアプローチです。

流れが速くなれば、1つの工程が少し遅れても全体への影響が小さくなり、そもそもの遅れも減っていきます。この「停滞と手待ちを減らして流れを速くする」考え方は、リードタイム短縮というテーマで、▶ リードタイム短縮 に詳しくまとめています。工程管理で「毎回どこかが詰まる」と感じたら、こちらもあわせて読んでみてください。

余力管理と優先順位 ── 限られた人・設備をどう割り振るか

遅れを挽回するにも、割り込みに応えるにも、「今、人と設備にどれだけ余力があるか」が分かっていないと動けません。ここでは余力管理と、仕事の優先順位のつけ方を整理します。

余力管理とは ── 人・設備の「空きと過負荷」を見る

余力管理とは、人や設備に、どれだけ余力 (空き) や過負荷 (仕事の詰め込みすぎ) があるかを見て、仕事を割り振れる状態にすること です。

余力が見えていれば、遅れが出たときに「どこから応援を回せるか」がすぐ判断できます。逆に見えていないと、すでに手一杯の人にさらに仕事を積んでしまい、全体がもっと遅れる ── という悪循環に陥ります。まずは主要な設備・工程だけでも、「今どのくらい埋まっているか」をざっくり見えるようにするだけで、割り振りの精度が上がります。

優先順位のつけ方 ── 基準を決めておくと迷わない

複数の仕事が並んだとき、何から手をつけるか。ここで迷わないために、優先順位の基準をあらかじめ決めておく ことをおすすめします。よく使われる基準は次の通りです。

  • 納期の近さ ── 締め切りが近いものを先に
  • 後工程への影響 ── そこが遅れると後ろが全部止まるものを先に
  • 段取り替えの都合 ── 同じ段取りでまとめて作れるものをまとめる

その場の声の大きさや思いつきで順番を決めていると、現場は混乱します。基準を決めておけば、誰が判断してもぶれにくくなります。

割り込み・特急への向き合い方

現場には、必ず割り込みや特急が入ってきます。割り込みはゼロにできない前提で、どう受けるかのルールを先に決めておく のが現実的です。

たとえば「特急を1本入れたら、どれを後ろにずらすかをその場で決める」「1日に受ける特急は何本まで」といったルールです。ルールがないと、割り込みが入るたびに全体の計画が崩れ、通常の仕事まで遅れていきます。割り込みを断つのではなく、割り込みが入っても崩れにくい受け方を用意しておく ── これが実務的な向き合い方です。

山谷をならす (平準化)

最後に、少し計画寄りの話です。特定の日や特定の工程に仕事が偏る (山ができる) と、そこだけ遅れやすくなります。前倒し・後ろ倒しで負荷の山谷をならすこと を、平準化と呼びます。

工程管理の現場でも、「今週は月曜に山、金曜は谷」と分かれば、少し前倒しして山をならすことができます。ただし、平準化は本来、計画を立てる段階で作り込むほうが効果的です。負荷をどう見て、どう計画に織り込むかは ▶ 生産計画の立て方 で解説しています。工程管理側では「山谷に気づいたら、できる範囲でならす」ところから始めましょう。

中小製造業が工程管理でつまずく 5 つの点 ── あるあると対処の方向

最後に、わたしが中小製造業の現場でよく見てきた「工程管理でつまずく点」を 5 つ整理します。裏を返せば、ここを押さえれば工程管理は前に進みます。

つまずき1 ── 進捗が「口頭とその場確認」だけで、全体が見えない

いちばん多いのが、これです。進捗が現場の口頭でしか把握されておらず、聞いて回らないと全体が分からない 状態です。これだと、誰も全体像をつかめません。

対処の方向は、進捗を1か所に集めて見える化することです。ボード1枚でかまいません。「そこを見れば全体の進み具合が分かる」場所を1つ作るだけで、聞いて回る手間と抜け漏れが大きく減ります。

つまずき2 ── 遅れの発覚が「納期直前」

遅れに気づくのが毎回ギリギリで、そこから慌てて挽回するパターンです。小さいうちに気づけないと、打てる手が残っていません。

対処の方向は、予定と実績を毎日並べて見る ことです。1日単位でギャップを見ていれば、遅れは小さいうちに表に出ます。「日々の朝礼で進捗ボードを見る」といった、短くても続く習慣にするのがコツです。

つまずき3 ── 計画を立てっぱなしで、実績と比べていない

計画は立てるものの、その後の実績と突き合わせていないパターンです。これでは、計画が良かったのか悪かったのかも分かりません。

対処の方向は、まず 計画と実績を並べて見る習慣 をつけることです。この「並べて見る」が、工程管理の第一歩になります。何をどう見えるようにするかは、▶【まずはコレから】「見える化」の目的 6つあり も参考にしてください。

つまずき4 ── 製造指示・現品票が曖昧で、何を作っているか追えない

指示が口頭で流れ、モノに情報が付いていないパターンです。これだと、仕掛品が「何のためのものか」分からなくなり、進捗も追えません。

対処の方向は、指示とモノに情報をひもづける ことです。製造指示に番号を振り、その番号を現品票でモノに付けておけば、進捗と現品がつながります。ここがつながって初めて、「あのオーダーは今どこ?」に答えられるようになります。

つまずき5 ── 見える化を始めても続かない

進捗ボードを作ってはみたものの、更新されなくなって形だけになる ── というパターンです。凝りすぎたボードは、更新が負担になって続きません。

対処の方向は、凝りすぎず、更新が続く簡単な形にする ことです。そして、見える化そのものを1回の取り組みで終わらせず、改善として回し続けます。改善を続ける進め方は ▶ 改善の進め方 完全ガイド で解説しています。続く仕組みにすることが、見える化を生かすカギです。

よくある質問 Q&A

Q1: 工程管理と進捗管理は何が違いますか?

ほぼ同じ意味で使われることが多いです。厳密には、工程管理のほうが少し広く、「計画どおりに工程を進めるための管理全体 (進捗・現品・余力を含む)」を指し、進捗管理はそのうち『予定に対してどこまで進んだか』を見る部分 にあたります。日常の会話では、どちらも「計画どおりに作りきるための管理」を指していると考えて差し支えありません。

Q2: 工程管理と生産管理・生産統制はどういう関係ですか?

生産管理がいちばん大きな概念です。生産管理は「計画・手配・統制」の全体を受け持つ活動で、そのうち『統制 (計画どおり進んでいるか見て直す)』を生産統制と呼び、それを現場で回す中核が工程管理 です。生産管理という大きな傘の中に統制があり、その統制を日々回すのが工程管理、と捉えると整理できます。生産管理の全体像は ▶ 生産管理とは(計画・手配・統制) で解説しています。

Q3: 小さな会社でも工程管理は必要ですか?紙やExcelで始められますか?

必要ですし、紙や Excel で十分始められます。むしろ、人が少ない会社ほど、1つの遅れが全体に響きます。いきなりシステムを入れる必要はなく、ホワイトボードの進捗ボードや、Excel のガントチャートから始めるのがおすすめです。手で回してみて、何を見れば手が打てるかが分かってから、システム化を考えても遅くありません。

Q4: 進捗管理は何から始めればいいですか?

まず 「予定と実績を並べて見る」1枚を作る ことから始めてください。いちばん困っている工程やオーダーを1つ選び、「予定何個・実際何個」を毎日並べるだけでかまいません。並べれば、ズレ (遅れ) が見えてきます。見えれば手が打てます。最初から全工程をやろうとせず、1つの流れを見えるようにするところからで十分です。

Q5: 遅れが分かっても挽回できないときはどうすればいいですか?

まず、その場では応援・順番替え・残業・外注などで、できる範囲の挽回をします。それでも間に合わないなら、早めに得意先へ状況を伝えて調整する ことも立派な対応です。隠して直前に発覚するより、はるかに信頼を損ないません。そして、同じ遅れが繰り返すなら、その場しのぎではなく原因を改善します。繰り返す遅れは真因をつぶす ── これが根本の解決です。

Q6: 生産管理システム (工程管理システム) を入れれば進捗は見えますか?

システムは強力な道具ですが、入れただけでは見えるようになりません。何を計画し、何を進捗として見るか (予定と実績をどう並べるか) が整理されていないままシステムを入れると、入力の手間だけ増えて、結局使われなくなりがちです。まずは紙や Excel レベルで「予定対実績を並べて見る」回し方を作り、回り始めてからシステム化に進むのが、失敗の少ない順番です。

まとめ

本記事で押さえてほしい 3 行サマリーは以下の通りです。

  1. 工程管理は 「計画どおりに作りきる」生産統制の中核 ── 計画と実績のギャップを見て、遅れたら手を打つ活動 (計画→指示→進捗把握→手を打つ を回す)
  2. 進捗は 「予定と実績を並べて」「遅れは早く・目立つように」見える化 する。道具は紙・ボード・Excel で十分始められる
  3. 遅れは検知して挽回し、繰り返す遅れは真因をつぶす。構造的にはリードタイム短縮へ、見える化・改善は関連記事へつなぐ

工程管理・進捗管理について解説しました。言葉だけ聞くと難しそうですが、要は 「計画と現実のギャップを見えるようにして、埋め続ける」活動 です。まずは、いちばん困っている工程で「予定と実績を並べて見る」1枚を作るところから始めましょう。遅れは小さいうちほど挽回しやすく、見える化がその「小さいうち」に気づかせてくれます。コツコツと積み上げて、納期どおりに作りきれる現場を作っていきましょう。

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